流星のロックマン×ロックマンエグゼ ~願いが希望に変わる時~   作:フレイムナイト

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第六十九話  プロローグ

信じて、ボクを・・・・・・

         そして、博士の事も・・・・・・。

 

「・・・また、あの夢・・・」

 秋原町の彩斗の部屋に、窓から朝の日差しが降り注ぐ。 彩斗はベットから起き上がらず、ゆっくりと目を開けながらそう呟いた。

 

彩斗はここ最近、毎晩のごとく同じ夢を見ていた。

白い靄の中、不思議な声が彩斗に対して何かを願うように話しかけてくる。 だが彩斗はその人物を靄のせいで見ることが出来ない。

 

 

(信じてって、誰を? 君は誰なの?)

 彩斗は心の中で夢の人物に語りかける。

 

「彩斗ーーー! 朝よ、早く起きなさーーい!」

 彩斗がそんな事を考えていると、部屋の外から母親の声が聞こえてきた。

 

「はーーい! 今起きる!」

 彩斗は大きな声で返事すると、ベットから起き上がり、服を着替えた。

 

 

___科学省玄関ホール入り口前___

 

「銀色!」

「彩斗!」

 科学省の前に立っていた銀色に彩斗が声をかけた。

今日、彩斗と銀色は科学省を一緒に見学する約束をしていて、ここで待ち合わせをしていたのだ。

 

「熱斗はパパと一緒に科学省で待ってるはずだよ。 行こう!」

 彩斗は銀色の手を握ると、そのまま科学省の中へと入っていった。

 

 

「パパ!」

「彩斗! 銀色ちゃん! いらっしゃい」

 科学省の研究室の一室、数人の助手の科学者と一緒に、彩斗の父・光 祐一郎博士が彩斗と銀色をにこやかに迎え入れた。

 

「パパ、熱斗は?」

 彩斗は自分の弟が辺りに見かけられず、キョロキョロと部屋を見渡す。

 

「熱斗は今、私の研究室を見に行ったよ。 今やっている研究も、あと少し区切りが着くから私が科学省を案内しよう。 熱斗と一緒に私の研究室で待っていてくれないか?」

 

「分かったよ、パパ」

「分かりました、おじさん」

 そう言うと彩斗と銀色は光博士を残し、研究室へと向かっていった。

 

 

この時、光博士が彩斗達と一緒に行っていたら・・・あんな事にはならなかったかもしれない。

 

 

「熱斗?」

 光博士の研究室へと続く廊下、その廊下の研究室の扉の前で、彩斗は自分の弟・熱斗が立っているのを見つけて声をかけた。

 

「彩斗兄ちゃん!」

 彩斗の声が聞こえて、熱斗がハッと顔をこちらに向ける。 心成しかその顔は不安な顔をしていた。

 

「どうしたの?」

「パパの研究室、入ろうとしたら中でゴソゴソしてるの・・・」

 熱斗は研究室の扉を指差して、彩斗に訴えるように話す。

 

「ゴソゴソって・・・中に誰かいるのかしら?」

 銀色は怪しげに扉に視線を向ける。

 

 

 すると・・・

 

 

「やっと見つけた・・・」

研究室の中からくぐもった男性の声が三人の耳に入ってきた。

 

「「「・・・!?」」」

 

「光 祐一郎め・・・よもやこんな所に『コレ』を隠していたとは・・・・・・」

 研究室からさらに、そんな男性の声が聞こえてくる。

 

「「・・・!」」

「ちょっ! 彩斗、熱斗君待って!!」

 彩斗と熱斗は銀色の制止も聞かず、研究室への扉を勢いよく開いた。

 

 

「・・・・・・!!?」

 勢いよく入って来た彩斗と熱斗に驚いた男性がバッと振り向く。

明かりが点いていない研究室内にいるので、男性の顔は暗がりでよく見えない。

 

「おじさんなにやってるの?」

 彩斗が男性に質問する。 その声は幼い子供ながら、威圧感のある声だった。

 

「あっ、それは!」

 熱斗が男性の手を指差しながら叫んだ。 

見ると男性の手には、透き通ったグリーンの色の錠前が握られていた。 その錠の中では、幾何学模様の光が駆け巡っている。

 

熱斗が手の中の物に気づくと、男性は慌てて錠前を隠そうとする。

 

 

「返して! それはパパの大切なものなんだよ!!」

「だまれ・・・」

 熱斗の言葉に男性は冷たく吐き捨てると、彩斗達の方へ進んできた。 彩斗達を押しのけて部屋を出ようとしているのだ。

 

「だめ!! それを返して!!!」

 そうはさせまいと、熱斗は男性に飛びついて、錠前を取り戻そうする。

 

「放せ! 貴様!!」

 男性は熱斗達に見つかってかなり焦っているらしい。

熱斗を力づくでも引き剥がそうとして、拳を上げる。

 

「止めろぉ!!」

 それを見た彩斗も男性に飛びつき、熱斗を殴るのを止めようとする。

 

その時だった。 彩斗が思わず飛びついた時、錠前に触れたのは・・・・・・。

 

 

キィィィィィィイン!!!

 

 

「なっ!?」

「えっ!?」

 すると突然、男性の持っていた錠前が、金色に光り始めた。 その光は段々強くなっていく。

 

「な、なんだこれ!?」

「熱斗、離れろぉ!!!」

 突然の光に驚く熱斗を、彩斗が銀色の方に押し出す。

 

「彩斗兄ちゃん!!」

「彩斗ぉ!!」

 熱斗と銀色が彩斗の名を叫んだ瞬間、光が彩斗と男性を包み込み、全てを見えなくした・・・。

 

 

 

 

 

「・・・彩斗?」

 光が消えた時、その場には気絶した熱斗と、熱斗を抱きかかえる銀色以外、誰も残っては居なかった。

 

 

『ここは・・・どこ?』

 その同時刻、科学省の"電脳世界"で、彩斗は眼を覚ます。

 

 

青いナビの姿で・・・。


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