流星のロックマン×ロックマンエグゼ ~願いが希望に変わる時~   作:フレイムナイト

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突然ながら、過去編に突入!


第十章  Before Seven Years
第六十六話  Children


アハハ・・・ ワー・・・ キャッキャ・・・

 

ここはリスの銅像以外、遊具も何もない普通の公園。 

その公園に子供達の笑い声が響く。

 

「いっけーー! シュート!!」

 周りの子供達よりも一回り大きい男の子が、地面に置いたサッカーボールを思いっきり蹴る。

 

「って、どこに蹴ってんだよ!?」

「ゴールと反対だよ!!」

 バンダナを着けた男の子と赤い髪の女の子が、全然見当違いの方向へ飛んでいったボールを目で追いながら叫ぶ。

ボールは大きく空中で円を描き、地面を何度かバウンドすると、リスの銅像の台座に座っていた男の子の前で止まった。

 

男の子は、足元のボールを持つと、子供達が集まっている場所へと駆けていった。

 

 

 

 

 

フワァ・・・

爽やかな風が銀色の髪の少女の頬を撫でる。

 

「・・・・・・」

 少女が見つめる先には公園で遊ぶ子供達が見える。

少女は無言で、その光景を憧れる様に眺めていた。

 

 

少女がこの秋原町へやって来たのは二ヶ月程前

少女は十歳だった。

 

少女はニホン人の父親と異国の母親の間に生まれた。 そして、母親の銀色の髪を受けづいた。

ニホンでは少女の銀色の髪は珍しく、少女は学校では浮いた存在になっていた。

 

 

(私もあんな風に友達が出来ればなぁ・・・)

 少女は学校での事を思い出す。

この銀色の髪のせいで、話しかけてくる人はいない。 学校が始まって終わるまでずっとイスに座っているしかない。

 

少女は悲しくて顔を伏せる。

その時だった。 誰かが少女の手を握ってきたのだ。

 

 

「!?」

 少女は慌てて自分の手を握ってきた人物を見る。

その人物は、さっきまで自分が見ていた公園で遊んでいた子供の一人だった。

 

「お姉ちゃん、どうしたの?」

 男の子が少女に問いかける。

 

「えっ? あ、えと、それは・・・」

 少女は話しかけて来られて困惑していた。 この町に来て話しかけれたのは初めてだったからだ。

 

「・・・・・・遊ぼ!」

「エッ!?」

 男の子は少女の手を引っ張り、公園に連れて行こうとする。

 

「ちょ、ちょっと待って、キミ!」

 少女はいくら何でも五歳の子供達の中に入って遊ぶのは、恥かしいと思いその場に踏み止まる。

 

「ゴメンね、一緒に遊ぶのはちょっと・・・」

「・・・なんで?」

 少女の言葉に、男の子は首を傾げて問う。

少女はチビッコ達と遊ぶのは恥かしいとは言えず、困ったように黙り込む。

 

 

「わ、私、変な髪の色してるんだよ?」

 

 少女の苦しまぎれの言い訳。 しかし少女は言った瞬間自爆したと思った。

自分が人々の輪から孤立している原因である銀色の髪を言い訳にしてしまったのだから。

少女の心の中が、自分の言ってしまった事への恥かしさでいっぱいになる。

だけど・・・・・・。

 

「そうかな? お姉ちゃんの髪、すごく綺麗だよ!!」

 男の子は、少女の髪は綺麗だと褒めた。

 

「えっ・・・?」

 少女はその瞬間、思考が停止してしまった。

今までこの髪の色が原因で、人との関わりが難しくなってしまったのに。

それを綺麗だなんて・・・・・・。

 

褒めたのは、たった五歳の男の子だったのだが、少女には心に暖かなものが広がる何かがあった。

 

「キミ、名前は・・・?」

 少女は男の子の名前を聞く。

 

「ボク? ボクは彩斗! 光 彩斗だよ!」

「私は、銀色・・・・・・」

 

これが少女と男の子、銀色と彩斗の出会いだった。

 

ここは、今から七年前の秋原町・・・。 

全ては、この時の出会いと別れから始まっていたのかもしれない・・・。


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