流星のロックマン×ロックマンエグゼ ~願いが希望に変わる時~   作:フレイムナイト

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第六十四話  繋がる疑惑

「「『『・・・ハッ!』』」」

 熱斗、スバル、ウォーロック、ダークロックマンが光によって閉じていた目を開く。

が、四人共、今自分がどこに居るか分からなかった。

 

現実か、さっきまで居た異質な空間か・・・?

 

 

「くぅ~ん・・・」

『スバル、その姿は・・・!?』

 四人を現実へと引き戻したのは、ガウとブルース、"二匹"の声だった・・・。

 

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ブルース

『オレは犬と同じ扱いか!? Zセイバー、フミコミザン!!!』

 

フレイム・ナイト

「ギギャア!!! ・・・スイマセン」

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 四人を現実へと引き戻したのは、ガウの鳴き声と、ブルースの声だった。

 

 

『・・・ガウ』

 ダークロックマンは、悪い夢から覚めたかのように安堵の息を漏らす。

 

「ここは、科学省? 戻ったのか?」

 現実世界・科学省では、熱斗が辺りをキョロキョロ見渡し、自分の居る場所を確認する。

 

「ここって、ボク達は・・・!?」

『ヘッ! どうやらあの闇宇宙ってのを抜け出したらしぜ、スバル』

 ウォーロックは自分達が元の世界に戻れたと分かるとファントム・ブラックを見る。

 

スバルに自分の力を破られたからか、ファントム・ブラックはステッキを支えに前に膝を付き、苦しそうに胸を押さえ込んでいる。

 

 

「ハァ、ハァ、ハァ・・・。 バ、バカな!? あんな方法で私の幻覚を・・・何なんだその姿は!!?」

 ファントム・ブラックはスバルに怒鳴り散らす。

 

スバルは自分の姿を見る。 スバルは闇宇宙の空間を破った姿のまま、Ver.スザクマジシャンの姿で立っている。

だがスバルはそれよりもファントム・ブラックの言った言葉が気になっていた。

 

 

(幻覚? ボクとウォーロックは、幻覚を見せられていただけ!?)

「スバル!」

 不意に、熱斗がスバルに呼びかけた。

 

「スバル! 気が付いたんだな、良かった・・・って、どうしたんだよその姿!!?」 

 ホッとしたり驚いたり、熱斗の表情と口調はコロコロと変化する。

 

『やかましい! これは、あれだ、根性でこうなった』

「なるほど」

 ウォーロックの、めんどくさくて省きに省いたいい加減な説明に熱斗は納得する。

 

 

「ちっがーーーう!!! 熱斗君も納得しないでよ!!!」

 スバルは、熱斗とブルースに何が起こったかを説明する。

 

 

「・・・と言う訳で、大波に飲まれて水の中に沈んだら、突然光がボクの体を包んで、この姿になったんだ」

 スバルの説明に、熱斗とブルースがウームっと黙り込む。

 

(凄い光で周りが見えなくなったと思ったら元の世界に戻った? オレの時とまったく同じじゃないか、これって偶然の一致なのかな・・・?)

 

(ナイトマジシャン、サンシャインマジシャン、そして今回のスザクマジシャン・・・だんだん状況に合わせた変身をするようになっているような気がする)

 

 

「あの、二人とも?」

『オイ、どうした? 返事しろ~』

 黙りこくってしまった熱斗とブルースにスバルとウォーロックが声をかける。

 

「キサマらぁ・・・許さん!!」

 だが熱斗とブルースが返事をする前に、ファントム・ブラックが獣の唸りに近い叫び声を上げる。

 

夜叉・・・

今のファントム・ブラックを表現するならそんな感じだ。 

 

 

「な、何だ!? アイツすっごいやばくなってないか!!?」

 熱斗の言った通り、ファントム・ブラックは鬼気迫る迫力でこちらを睨み付けている。

 

 

ファントム・ブラックの頭の中では、今までの忌わしい記憶が駆け巡っていった。

 

ノイズチェンジの力を求め、スバルに敗れるファントム・ブラック・・・。

その後、Dr.ガルナに助けられるが、どうしてこうなってしまった?

 

キッカケは、ムーの力を手に入れたスバルに負けてしまったからだ。

そう、ファントム・ブラックの歪んだ脚本が狂ったキッカケ、制御不能のはずの未知の力を目の前でスバルが使いこなしたのが始まりだ。

 

 

そして今、ファントム・ブラックの目の前には、そのムーの力と同じ、未知の力を持ったスバルが目の前に立っている。

 

自身で気が付いているのか? 

ファントム・ブラックは、自分の落ちぶれた人生の始まりのキッカケを作った、未知の力を持ったスバルに恐怖していた。

 

 

「負けん・・・負けてたまるかあああああああっ!!!」

 ファントム・ブラックの絶叫に電脳世界が震える。 ファントム・ブラックがマントを広げた。

 

「ファントムスラッシュ!!」

 ファントム・ブラックのマントから発せられた風がカマイタチの様にスバルを襲う。

 

(!? 以前より威力が上がっている!!)

 

 

「バトルチップ・イアイフォーム、スロットイン!!」

『斬!』

 バトルチップを転送する声が聞こえた瞬間、スバルの目の前でファントムスラッシュがソードの一閃によって掻き消された。

 

スバルは一瞬、熱斗がスロットインしたのかと思ったが、声が違っていた。 その声の主は・・・

 

 

「炎山!!」

「ようやく通信が回復したか・・・」

 炎山は呟く様に話す。

 

「よー、熱斗!」

「あんた達遅いのよ、何やってたのよ!!」

「・・・・・・///」

 すると、熱斗のPETから一斉に、デカオ、やいと、そして顔を赤くして黙り込むメイルから通信がかかって来た。

 

「みんな! やっと通信が回復したんだ!!」

『来るんなら早く来いよな、お前ら!』

 熱斗とウォーロックの返答。 スバルはウォーロックの返答に苦笑いをする。

 

 

『炎山様』

 スバルの前に立っていたブルースが炎山に呼びかける。 さっき、スバルの前に現れてファントムスラッシュを斬ったのはブルースだったのだ。

 

「ブルース、無事だったか」

 そう話す炎山の声には、ブルースの無事に少しホッとした感じがあった。

 

「・・・ところで、熱斗、スバル、一体何がどうなってんだこの状況?」

「ちゃんと説明してよね!」

 デカオとやいとが最もな意見を言う。

 

 

今旧秋原エリアに居るのは、ボロボロのブルースに新たなるクロスマジシャンに変身しているスバル、ダークロックマンに夜叉のような気迫を持つファントム・ブラック・・・。 確かに説明が必要と言わずにはいられない状況だった。

 

「え~っと、これは・・・」

 熱斗は今までの出来事を、スバルとブルースと一緒にかいつまんで説明する。

 

 

「お、オイオイ、それって妖術使いじゃねぇか!?」

『んな訳ねぇだろ、ビクビクすんな!!』

 ファントム・ブラックの不思議な力を聞いてオドオドするデカオにウォーロックが吼える。

 

「でもよぉ、相手はキャノン系の攻撃を有り得ない動きで避けたり、幻覚を見せる怪人だぜ? どうすんだよ!?」

 

「落ち着け! この世に妖術なんてあってたまるか!!」

「そうよ! 飛行機だって空を飛んでいるんだから」

 今度は炎山とやいとがデカオに言う。

 

「オレはあの鉄の塊が空を飛ぶのだって信じられないんだよ!」

「何言ってんのよ! 飛行機だって、航空力学に基づいてちゃんと浮力を得るように設計されているのよ!」

 デカオとやいとの言い争い。 それを聞いて表情を変えたのはスバルだった。

 

「やいとちゃん・・・。 今、なんて言った?」

 スバルがやいとに尋ねる。

 

「えっ? 飛行機だって空を飛んでいるんだから?」

「もっと後、なんで飛行機は空を飛ぶの?」

「それは、航空力学に基づいてちゃんと浮力を得るように設計されているから・・・」

「・・・それだぁ!!!」

 突然、スバルがやいとを指差して叫んだ。

 

『うぉっ!? どうしたスバル!? 何がそれなんだ?』

 ウォーロックがスバルが突然叫んだことに驚く。

 

 

「分かったんだ! ファントム・ブラックの力の正体が!!」

 

「「「「「『えぇ!?』」」」」」

 

 

「空気だよ! ファントム・ブラックは飛行機の翼のように、空気の流れを自在に操っていたんだよ!!」

 スバルは興奮気味に話す。

 

「なるほど! それでセンシャホウがあんな妙な動きを・・・」

「うん! これなら説明が付くよね!」

 スバルの説明に、炎山だけは理解出来たようで、二人だけで盛り上がる。

 

「お、オイ、スバル! どうゆうことだよ、ちゃんと説明してくれ!」

 よく分かってない組を代表して熱斗がスバルに聞く。

 

「ファントム・ブラックは自分の身の周りの空気の流れを変える、つまり気流を変化させることによって見えない空気の壁を造っていたんだ。

それでセンシャホウは気流に乗せて受け流されていたんだ、だからあんな変な動きになっていたんだよ!」

 

「そ、そうなのか・・・?」

 熱斗は理解したんだかしてないんだか曖昧な返事をする。

ちなみにそれはデカオもだった。

 

 

『ってことは、オレ達が閉じ込められていたあの空間も、空気が原因なのか?』

 ウォーロックがスバルに聞く。

 

「ファントム・ブラックは幻覚を見せていたって言っていたけど・・・」

「だとすると、気圧の変化が原因だろうな」

 不意に、スバルの言葉を炎山が繋ぐ。

 

「気圧?」

「山等の高いところに上ると、耳鳴りや頭が痛くなるということがあるだろ?」

 

「そっか・・・。 ファントム・ブラックは気流や気圧を操って、スバル君とウォーロックに目眩や頭痛を起こさせて幻覚を見せていたんだ」

 メイルが結論を出す。

 

「なるほどな! 分かったよメイルちゃん!」

「きゃああああああああああ!!!」

 熱斗がメイルに話しかけた途端、メイルは悲鳴と共にPET画面の外に消えた・・・。

 

「メ、メイルちゃん・・・?」

「・・・熱斗君、とりあえずメイルちゃんのことは置いといて、ファントム・ブラックを倒さないと!」

 スバルはそう言うと、ファントム・ブラックの方に視線を変えた。

ファントム・ブラックは、先程と変わらず夜叉のような鬼気迫る気迫でこちらを睨み付けていた。

 

今まで攻撃して来なかったのは、スバルのクロスマジシャンの能力の警戒とPET同士の通信が回復したことに気が付いたからだろう。

 

 

「でもよ、スバル。 能力の秘密は分かったけど、どうやって倒せばいいんだ?」

「大丈夫。 ファントム・ブラックがどうしてこんな能力を手に入れたか分からないけど、攻略法を見つけたんだ」

 そう言うスバルの赤き翼からは紅蓮のオーラと共に、炎が滲み出ていた。


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