流星のロックマン×ロックマンエグゼ ~願いが希望に変わる時~   作:フレイムナイト

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第六十二話  共鳴

___???___

 

「『・・・・・・ここはどこだーーーーーーー!!?』」

 コンマ六秒の間、思考を停止させていたスバルとウォーロックの第一声が響く。

スバルとウォーロックは今、黒みかがった紫色の空間に浮いているように存在している。

 

「ボクらは一体、どうしてこんな所に・・・?」

 スバルは目を閉じ、額に手を添えると、自分の頭の中の記憶をプレイバックさせる。

 

 

ファントム・ブラックにワイドブレードで斬りかかる。

だが不意に思った疑問から、自分はファントム・ブラックに誘い込まれていると気付き、後ろに身を引こうとした。

その時、ファントム・ブラックの不気味な笑みを見た一瞬、気が遠のいた。

 

 

『スバル・・・』

「うん、ウォーロック。 ボクも思い出したよ、ボク達はまんまとファントム・ブラックの罠にはまってしまったんだ」

 スバルとウォーロックは深い溜め息を付く。

その顔は、「あ~ぁ、やっちゃった」とゆう感じの、自分に呆れている顔だった。

 

『しかし、ここはどこだ?』

 ウォーロックが目の前の空間を切り裂くかの様に腕を振る。

 

「まるで宇宙の中にいるみたいだ」

 スバルは、上も下も、まして右や左も分からない空間をそう表して言う。

 

 

 

 

 

「ンフフ・・・。 そう、ここは闇宇宙」

 

「『・・・!!?』」

 スバルとウォーロックは声のした方を見る。

そこには、嘲笑うかの様な目でスバルを見る紳士の姿―ファントム・ブラックが立っていた。

 

「ファントム・ブラック・・・!」

『オイ、ここは一体どこなんだ!?』

 ウォーロックがファントム・ブラックに向かって叫ぶ。

 

「ンフフ・・・。 今言った通りさ、ここは闇宇宙。 ネビュラの闇の力によって生み出されし空間だ」

「闇の力によって、生まれた空間・・・!?」

 驚くスバルに構わず、ファントム・ブラックは持っていたステッキの先端を自分の頭上に向ける。

 

 

「終わりだ、星河 スバル・・・!!」

 ファントム・ブラックがスバルに向かってステッキを振り下ろす。

すると、スバルの遥か頭上から白い光球が降り注いで来た。

 

 

「なっ・・・!?」

『避けろ! スバル!!』

 ウォーロックアーマーに変形しているウォーロックが、スバルを引っ張る。

だがスバルは、ファントム・ブラックが繰り出してきた技に驚いていた。

 

(これは、メテオライトバレッジ!!?)

 スバルは自分を襲った技が、自分がかつてノイズチェンジの時に使っていた技だと知り、驚愕する。

 

 

「逃すか!」

 ファントム・ブラックがさらに、ステッキを真横に振る。

ステッキが振り終わった瞬間、今度はスバルの身長より遥かに二倍を超す、巨大な津波が出現した。

 

『!? この技は・・・!!?』

「ダイナミックウェーブ!!!」

 津波は、スバルとウォーロックが逃げる余裕を与える間無く、二人を飲み込んだ。

 

「ンフフ・・・。 自分の技にやられる気分はどうだ!? クククッ、アーハッハッハ!!!!!」

 闇宇宙の中、ファントム・ブラックの笑い声だけが響いた・・・。

 

 

___現実 旧秋原エリア・パストビジョン___

 

『スバル! しっかりしろ、スバル!!』

「どうしたんだよスバル!? 目を覚ましてくれよ!!!」

 ブルースと熱斗が、仰向けに倒れている"スバル"に呼びかける。

だがその目は虚ろで、何も見ていない。 ウォーロックアーマーの目に当たる部分も同じ感じだ。 機能が停止してしまっているかのように光が無い。

 

 

「クッソ~! 一体どうなっちまってんだ!? ファントム・ブラックまで黙り告っちまうし・・・!!」

 熱斗はそう言うと、ファントム・ブラックを見た。

ファントム・ブラックも、スバルの様に倒れているのではないが、スバルやウォーロックと同じく、虚ろな目でその場に突っ立っていた。

 

 

『オレの時も同じだった。 オレも奴に斬りかかり、そこで意識が途切れた。 気が付くと、オレはボロボロになってスバルに支え起こされていた・・・』

 ブルースが淡々と自分とファントム・ブラックとの戦闘を語る。

 

「炎山達と、連絡は・・・?」

『駄目だ。 通信機能がイカレてしまって、炎山様と連絡が取れない・・・!』

 ブルースはそう言うと奥歯を噛み締めた。

 

 

今現在、この電脳世界では妨害電波らしきモノが発生していて、PET同士の通信は不可能。

かろうじてネットナビとオペレーターとの通信は出来るのだが・・・。

スバルは原因不明の状態異状で意識不明、ブルースの通信機能も壊れてしまい、ブルースを通しての炎山や仲間達との通信も封じられてしまった。

 

「どうすれば・・・・・・」

 熱斗はPETを強く握り締める。

 

 

 

 

 

キィィイン・・・・・・

 

 

「『『・・・!!?』』」

 不意に、不思議な金属音が電脳世界に響いた。

そしてその瞬間、熱斗のPETと、ダークロックマンのナビマークから、淡い光が出始めた。

 

 

「ホープ・キー!?」

『オラシオン・ロック!』

 熱斗はPETに保存していたホープ・キーを、ダークロックマンはナビマークの中に収納していたオラシオン・ロックを見る。

キーとロックはまるで互いの存在を感じ取り、呼び合っているかの様に光を発している。

 

 

『! 光が段々強くなっている!!?』

 ブルースはそう言うと、手で光を遮る。

最初、淡い光を発していたキーとロックは、今は目が眩むかの様な光で輝いている。

 

そして、次の瞬間・・・。 周りが見えなくなる程の強い光が電脳世界を包み込んだ。

 

 

 

 

 

熱斗は目を覆っていた手を下ろし、ゆっくりと目を開いた。

 

白い光に満たされた空間。 光には微かに濃淡があり、不規則に揺らいでいる。

熱斗は気が付くと、その光の空間の中に立っていた。

 

 

『・・・またココに来るなんて・・・』

 不意に、熱斗の後ろから誰かの呟く声がした。

熱斗が振り向くと、そこには熱斗とは別の方向を向いて、光の空間を見ている人物、ダークロックマンが立っていた。

 

「・・・ッ!?」

 熱斗はダークロックマンに話しかけようとしたが、その顔を見た瞬間、恐怖で一歩ダークロックマンから後ずさった。

ダークロックマンのその表情、一見無表情に見えるが、その目は怒りに燃え、全身から殺気が漏れ出している。

 

 

 

 

 

「やっと会えたね」

 その時だった。 落ち着いた声が熱斗とダークロックマンに語りかけてきたのは。

 

『ボクは会いたくなかった・・・』

 ダークロックマンはそう言うと声のした方を向いた。

 

 

『・・・イキシア!!』

 

 そこには、熱斗が今まで夢の中で会ってきた謎の少年が、悲しい微笑みで立っていた。


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