流星のロックマン×ロックマンエグゼ ~願いが希望に変わる時~ 作:フレイムナイト
「ゼェ、ゼェ・・・び、びっくりした~」
スバルはその場で尻餅をついて座り込む。
『もう 動かねぇよな?』
ウォーロックは壊れたリスの銅像を爪で小突いて確かめる。
「止めなよウォーロック、また動いたらどうす・・・」
『ガッツ~!! どこでガスかここ!!?』
「「『うわあああああ!!』」」
スバルが言い終わる前に、誰かが叫ぶ声が響き渡った。
スバル達はびっくりして叫ぶ。
『ガス~? どうしたんでガスか、スバル?』
すると、そこにガッツマン、ロール、ミソラ、グライド、ブルースがやって来た。
「み、みんな・・・」
『脅かすんじゃねぇよ・・・』
スバルとウォーロックは、ホッと息を吐くとみんなの方に向かい合った。
『まさか秋原町にパストビジョンが隠されていたとはな』
ブルースはそういうと辺りを見渡す。
「うん、だからこのエリアの何処かにパーツが隠されていると思うんだ」
『分かりました』
『任せて!』
「私達も探すわ!」
『絶対あの怪人野郎より先に見つけるでガス~!!』
『先に行っているぞ』
グライド、ロール、ミソラ、ガッツマン、ブルースはそう言うと、バラバラに分かれて行った。
「よし、ボク達も行こう熱斗君!!」
「・・・・・・」
「どうしたの、熱斗君?」
「・・・オレ、パパにどうしても聞きたいことがあるんだ」
『そんなの後で聞きゃいいじゃねぇか?』
ウォーロックがパーツ探しを優先するように促す。
「いや、今どうしても聞きたいんだ!!」
熱斗はスバルとウォーロックに力強く言う。
「熱斗君・・・分かった、行こう!!」
『チッ、しゃあねぇな・・・』
スバルはそういうとプラグアウトした。
___科学省___
「名人さ~ん!」
熱斗が書類を持ってセカセカと働く名人を、大声を上げて呼び止める。
「熱斗君、どうしたんだい? 壊れたデータならまだ修復中だよ?」
名人が立ち止まって、熱斗の方を向く。
「・・・名人さん、何も知らないの?」
熱斗は、旧秋原エリアやファントム・ブラックについて何も知らないのかを聞く。
「何もって、何を?」
『こいつ、何も知らされてねぇのか・・・?』
ウォーロックは名人の反応に、PETの中からあきれた声を漏らす。
「ア、ハハ・・・。 名人さん、パパは?」
「光博士なら自分の研究室でデータの修復をしているよ」
名人が熱斗の苦笑いに首を傾げながらも、熱斗の質問に答える。
「ありがとう、名人さん!」
熱斗は名人にお礼を言うと、奥へと進んでいった。
「さんはいらないぞ~~~!」
そんな熱斗の背中に向かって名人はお決まりの台詞を言い放った・・・。
___科学省 光博士の研究室___
カチャカチャカチャ・・・・・・
部屋には光博士がパソコンのキーを叩く音とパソコンの起動音だけが聞こえる。
光博士は部屋に入ってきた熱斗に気づかず、一心不乱にパソコンの画面を食い入るように見ていた。
「・・・パパ」
熱斗は少し遠慮がちに自分の父に話しかける。
「ん? 熱斗、どうしたんだ?」
「・・・・・・」
呼びかけられ、パソコンから目を離し熱斗と向かい合う光博士。
熱斗はそんな光博士を黙ったまま見ていた。
「熱斗?」
いつもとは打って変わって暗く黙り込む息子に、光博士は熱斗に歩み寄る。
「熱斗、何かあったのか?」
光博士は熱斗と同じ目線までしゃがむと、熱斗の肩に手を置いた。
すると熱斗は光博士の目を見据え、口を開いた。
「・・・パパ、銀色さんって何者なの?」
一言一言区切るように言った熱斗の言葉に、光博士は僅かにビクッと体を振るわせる。
「さっき、科学省を出た後・・・」
その後、熱斗は科学省を後にしてからこれまでの話を光博士に話した。
謎のメールに呼び出されたこと、旧秋原エリアでのこと、そこでパストビジョンと思われる謎のエリアを見つけたこと、パストビジョンで見たもの、そして、連絡したはずの銀色がその場に来なかったこと・・・。
熱斗はとにかく思い出せる限りの全てを話した・・・。
「もし、もしあの電脳世界がパストビジョンなら、オレは前に銀色さんに会ったってことだよね? だけどオレ、全然覚えてなくて・・・」
熱斗は話していくうちに段々顔色が悪くなっていく。 手はワナワナと震えていた。
「熱斗、落ち着け・・・!」
そんな熱斗の肩を揺さぶり、光博士が熱斗にやさしく呼びかける。
「他にも、オレと銀色さんと一緒に遊んでいたあの男の子のことも全然覚えてなくて・・・!」
「熱斗!」
「オレ、オレ、何かとても大切なことを忘れ・・・!!」
「熱斗!!!」
光博士がとうとう大声を張り上げて熱斗に呼びかける。
熱斗は光博士の声が届いたのか、ハッとした顔になり、顔からは汗が吹き出している。
「パパ、オレ、何か大切なことを忘れてしまっているみたいで・・・怖いんだ」
熱斗は今にも泣き出しそうな顔で、光博士に訴えるように話す。
光博士はそんな熱斗を見ると、顔を伏せた。 しかし直ぐに顔を上げ、静かに口を開いた。
「・・・銀色ちゃんは、昔秋原町に住んでいたんだ」
「「『えっ!?』」」
光博士の告白に、熱斗とPETに入っていたスバルとウォーロックが驚いて声を上げる。
「熱斗、銀色ちゃんは・・・」
PPP!! PPP!!
そこに、タイミングを計っていたかのように熱斗のPETからオート電話がかかる。
「なんだこんな時に・・・!」
「熱斗君、ミソラちゃんからだ! もしかしたらパーツが見つかったのかも!」
熱斗は話を邪魔されたことに不愉快な気持ちになるが、スバルの言葉に無視できないと考える。
「熱斗、もしそうだとしたら大変だ。 電話に出なさい」
光博士も熱斗に電話に出るように指示する。
熱斗は渋々ホルダーからPETを取り出すと、電話を繋げた。
「スバル君!? お願いすぐに助けに来て!!」
開口一番、電話が繋がった事が分かったミソラが悲鳴に近い声で叫んだ。
「助けてって・・・何があったの!?」
「ファントム・ブラックが現れて、みんなの攻・・・げ・・・な・・・・・・れて・・・」
「? どうしたのミソラちゃん! 全然通じないよ!!」
スバルはとにかく大声で叫んでミソラに呼びかける。
「ス・・・バル・・・・く・・・」
プツッ!!
そこまででミソラとの通信が切れた。
後に残るのは何が起こっているのか判らず、呆然と立ち尽くすスバル達だった。
「・・・ハッ! スバル、ボーっとしてる場合じゃない! 早く戻らないと、みんなが危ない!!」
熱斗はミソラとの通信の内容から仲間達全員の危機を感じ取り、研究室から出ようとする。
「熱斗!!」
そんな熱斗を光博士が呼び止める。
数瞬の間、熱斗と光博士は互いに向かい合う。
「・・・行ってくるぜ、パパ!!」
「・・・コクッ!」
光博士は無言で頷く。 そして、熱斗は再び急秋原エリアにプラグインする。
「プラグイン!! シューティング・スターロックマン、トランスミッション!!!」