流星のロックマン×ロックマンエグゼ ~願いが希望に変わる時~   作:フレイムナイト

59 / 105
第五十八話  VS・・・リス!!?

「熱斗君、銀色さん!!?」

 スバルは、目の前で無邪気に笑いあっている子供達に向かって叫んだ。

だが三人の子供達は、スバルの何にも気を止めず、無邪気に遊ぶばかりだった。

 

 

『オイ、ちょっとはこっち向けよ!!』

「無駄だよ、ウォーロック。 今ボク達の目の前にいるのは昔の出来事を再現しているデータであって、本当の人間じゃないんだから・・・」

 スバルはウォーロックを落ち着かせる。 そして、子供達を再びまじまじと見た。

 

「ねぇ、熱斗君、あのバンダナの男の子って・・・」

「・・・オレだよ、間違いない・・・・・・」

 熱斗は少し小さな声でスバルにそう告げた。 

 

熱斗はスバルの目の前で遊んでいる、バンダナの男の子は自分だと断定すると、その隣にいる女の子を見た。

銀色のロングヘア、そしてエメラルドグリーンの瞳・・・・・・。 そして「銀色姉ちゃん」と呼ばれていたこの少女は間違いなく、幼き頃の銀色だと熱斗は確信した。

 

 

「ここは過去の秋原町を再現した場所なんだよな? だったら、どうしてオレが銀色さんと一緒にいるんだ? オレ、銀色さんにあった覚えなんてないぞ!?」

 熱斗は過去に、フルーラの街へ行く以前に銀色と会った覚えがなく、少し声を張り上げた。

 

「落ち着いてよ、熱斗君! だとしたら、ここはパストビジョンじゃないってことなのかな?」

 スバルは首を傾げる。

確かに、熱斗の言うことが真実だとしたら、ここは過去の秋原町を再現したエリア、パストビジョンでは無いという事になる。

 

『それと、熱斗と銀色と一緒にいるあのガキは誰なんだ?』

 ウォーロックはそういうと、幼い熱斗と銀色と一緒にいる男の子を指差した。

熱斗と同じ髪の色に、銀色と同じエメラルドグリーンの瞳に、年齢以上に大人びた感じを持つ男の子。

 

 

「なんだか、ロックマンに似てる・・・」

 熱斗は男の子を見てそう呟いた。

 

 

 

 

 

ゴ・・・ゴゴッ・・・・・・

 

 

『ん?』

「どうしたの、ウォーロック?」

 

『今、なんか石が動くみたいな音がしなかったか?』

「いや、ボクは何も・・・」

 スバルは首を振ってウォーロックに返事をする。

 

「・・・おい・・・・・・」

 熱斗は、スバルとウォーロックを青ざめた顔で呼びかける。

 

「どうしたの、熱斗君? そんな鳩が豆鉄砲喰らった様な顔して・・・」

「・・・スバル、後ろ、後ろぉ・・・・!!?」

 

「後ろが何・・・・・・」

 スバルは後ろを振り向いた瞬間、熱斗と同じ青ざめた顔になった。

 

なぜなら・・・スバルの後ろには、スバルと同じ高さのリスの銅像が"立っていた"のだ。

 

そして次の瞬間・・・

 

「ええええぇえええぇえええ!!!?」

 スバルは大きく悲鳴に近い声を上げると、すぐに後ろへ下がる。

そして、気づいた。 リスの銅像が置いてあった台座が空っぽになっていることに。

 

 

「おい! まさかあのリス、あの公園のリスの銅像か!?」

「でもなんで銅像が動いてるの? しかも巨大化してるし!!?」

『だから言っただろう!! あのリスは百戦錬磨だって!!』

 熱斗、スバル、ウォーロックが互いに言い争うように話す。

 

 

『オロロ~~~~~ン!!』

 両手を高く上げ、奇声を上げながらリスの銅像がスバルに突っ込んできた。

スバルは上にジャンプしてリスの突進を交わす。

 

「くっ! やるしかない、熱斗君!!」

「バトルチップ・マグナム、スロットイン!!」

 熱斗がバトルチップを転送すると、スバルの左腕がカーソルの付いた砲弾に形を変えた。 

 

「当たれー!!」

 スバルはカーソルの標準をリスに合わせると、砲弾を発射させた。

しかし、リスは砲弾が当たる瞬間に、スバルの前から姿を消す。

 

「なっ! 消えた!?」

『!? スバル、上だ!!』

 ウォーロックの言葉にスバルを上を見上げる。

リスが降ってくるように、上から落ちてくるのをスバルは自分の視界に捕らえた。

 

「いつの間に!?」

 するとリスはどこからか取り出した黒い何かを、スバル目掛けて投げてきた。

スバルはそれを身を後ろに引くことでかわす。

 

「何だアイツ幽霊みたいに!!」

 熱斗はリスの異様な動きに声を張り上げる。

 

(幽霊みたいに・・・?)

 スバルは熱斗の発言が頭の中で引っかかる。

そして、自分目掛けて投げられてきた黒い物体を見ると目を見開いた。

 

「そっか・・・そうゆうことか・・・!」

 スバルはそう呟くとニタッと笑ってリスを見る。

 

「熱斗君、広範囲系の攻撃チップ持ってる?」

「? あぁ、エアホイールなら持ってるけど・・・」

 熱斗はホルダーから『エアホイール』のチップを取り出す。

 

「よし! 熱斗君、アイツの正体が分かったかもしれない!!」

「何! それ本当か!?」

「ボクが合図したらチップを転送して!!」

「分かった!!」

 

 スバルは熱斗との会話を終えると、リスを見据えて構える。

 

『オイ、スバル大丈夫か?』

「ウォーロック、ボク達の世界では散々"バスティング"してきた相手なんだ、大丈夫さ!!」 

 

 

  シー・・・・ン・・・

 

 

スバルとリスの間に、緊迫した空気が流れる。

そして、不意に、リスの姿が消えた。

 

「! また・・・!!」

「落ち着いて、熱斗君!」

 スバルはそういうと目を閉じる。 数瞬後、カッと目を見開く。

 

「熱斗君、今だ!!」

「バトルチップ・エアホイール、スロットイン!!」

 

 スバルは熱斗から送られてきた、巨大な扇風機の円盤を思いっきり自分の右上に投げる。

すると、円盤の向こうにリスがフッと姿を現す。

 

「喰らえ!!」

 エアホイールはリスに当たるとその場で思いっきり回転してカマイタチで切り裂く。

 

 

『オロロ~~ン!!?』

 すると、リスの銅像の後ろから黒いシルクハットを被った白い幽霊のようなものが姿を現した。

 

「な、幽霊!!?」

「違う、アレは電波ウィルス・オロロンだ!!」

 

 そう、スバルの言う通り、あの幽霊こそ、リスの銅像に取り付きスバルを襲わせたウィルス・オロロンだ。

スバルはリスの攻撃パターンと投げてきた黒い物体・黒のシルクハットを見て、オロロンの存在に気が付いたのだ。

 

『へっ! 元いた世界じゃ、何度もあの幽霊野郎を倒してたんだ。 経験でどこに現れるかくらい分かるんだよ!!』

 ウォーロックは熱斗に自慢するように話す。

 

オロロンがエアホイールの攻撃によってデリートされると、リスの銅像は元の形に戻り、スバルの目の前に落ちた。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。