流星のロックマン×ロックマンエグゼ ~願いが希望に変わる時~ 作:フレイムナイト
「こ、ここは・・・?」
スバルは自分の周りを見て呆然とした。
スバルは今自分の身に起こったことを必死に考える。
『オレ達、あの光る扉にホープ・キーを突っ込んで、そんでもって・・・』
「扉が開いて、気が付いたら・・・」
ウォーロックの言葉をスバルは紡ぎ、再び周りを見渡す。
「スバル・・・オレも画面を通して見てるけど、そこはどう見ても・・・」
熱斗もPET画面を通してスバルが見ている場所を見る。
「「『秋原町!!?』」」
そう、スバルのいる場所は熱斗の家の玄関の前、つまり、秋原町にいるのだ。
「まさか、スバル達が現実世界に来たってコトはないよな・・・?」
「た、多分違う・・・。 それにこの町の雰囲気は秋原町と大分違うみたいだし・・・」
『どうやら秋原町の姿をそっくりそのままデータ化したエリアみたいだな・・・』
すると、向こうから若い女性がスバルの前を通り過ぎようとした。
「わっ! ヤバッ!!」
スバルは慌てて身を隠そうと辺りを見渡す。 何故なら、スバルは今電波変換している状態だからだ。
現実世界ではないと分かっていても、電場変換した状態で普通の人が目の前に現れたと思って慌ててしまったのだ。
「向こうの広場、公園になるのよね! 楽しみだな~♪」
女性はスバルの目の前で独り言を言うと、そのままスバルには気づかず、通り過ぎていってしまった。
「えっ・・・?」
『おい、今の奴、スバルに気づかなかったのか?』
スバルとウォーロックは女性の反応に驚きを通り越して唖然とする。
「もう何がなんだか分かんねぇ・・・」
PETからその様子を見ていた熱斗がそう声を漏らす。
「・・・分かった! ここはパストビジョンなんだ!!!」
唖然としていたスバルは、不意に声を張り上げた。
「えっ、パストビジョン? 何だっけそれ?」
「ほら、前にオラン島に行った時、ブルースが話してくれたろ?
現実世界の特定の時間や場所をまるごとデータ化して電脳世界でそのまま再現する技術で、電脳世界の至る所にパストビジョンへ通じる扉が残されてしまったって!!」
『なるほどな・・・ここはそのパストビジョンの一つって訳か・・・』
ウォーロックが腕を組んでスバルの説明に納得する。
「・・・ちょっと待てよ・・・このパストビジョンへの扉は、ホープ・キーで開いたんだよな、それってつまり・・・」
「このエリアのどこかに最後のパーツが隠されているんだ!!」
熱斗の言葉をスバルが繋ぐ。
『よっしゃぁ、スバル!! オレの言う通りに進むんだ!!』
「進むかぁ(怒)!!!」
ウォーロックの言葉をぶった切り、スバルはパストビジョンの奥へと進んでいった。
「フフフ・・・Dr.ガルナが言った通り、こんな場所が隠されていたとは・・・」
スバルがパストビジョンの奥へ進んだのと同時に、ファントム・ブラックがパストビジョンの中へと入って来た。
「熱斗君、この場所ってどこか分かる?」
スバルは、今自分がいる場所について熱斗に問いかける。
そこは、ピンクのリスの銅像があって、周りには木が植えてある、公園のような場所だった。
「そこ・・・秋原公園だ! そのピンクのリス、間違いないぜ!!」
「そっか・・・でも、なんでリス?」
『このリス、侮れねぇ・・・百戦錬磨だ!!』
「「なんで!!?」」
ウォーロックの謎のリスへの見解に、熱斗とスバルは同時に突っ込む。
ワン! ワン!
「えっ、なんだ?」
スバルが後ろを振り向くと、スバルの足元を一匹の犬が走り過ぎる。
すると・・・
「待ってよ、ガウ!!」
青いバンダナを着けた小さな男の子が、ガウと呼ばれた犬を追いかけて抱き上げる。
しかし、犬の重さに耐え切れず、男の子は草むらで尻餅をついてしまう。
「大丈夫?」
水色のワンピースを着た、小学生位の女の子が男の子に手を差し出す。
「銀色姉ちゃん・・・」
バンダナの男の子は少し目に涙を浮かべながら、手を握る。
「熱斗、泣かないで」
そこに、バンダナの男の子によく似た、もう一人の小さな男の子がバンダナの男の子の頭に手を乗せた。
「うん、彩斗兄ちゃん!!」
三人の子供達は、目の前にいる電波人間には気が付かず、無邪気な会話をする。
それは、その子供達はパストビジョンにあるデータで、昔のことを再現しているだけだからだ。
だが、電波人間には、スバルにはそれはあまりにも異形な光景だった・・・。
「熱斗君!!? 銀色さん!!?」
スバルはパストビジョンで、過去の熱斗と銀色に出会ったのだ。