流星のロックマン×ロックマンエグゼ ~願いが希望に変わる時~ 作:フレイムナイト
第五十五話 夢
ワン! ワン! 一匹の犬が草むらを走る。
「待ってよ、ガウ!!」
青いバンダナを着けた小さな男の子が、ガウと呼ばれた犬を追いかけて抱き上げる。
しかし、犬の重さに耐え切れず、男の子は草むらで尻餅をついてしまう。
「大丈夫?」
水色のワンピースを着た、小学生位の女の子が男の子に手を差し出す。
「うん・・・」
バンダナの男の子は少し目に涙を浮かべながら、手を握る。
「熱斗、泣かないで」
そこに、バンダナの男の子によく似た、もう一人の小さな男の子がバンダナの男の子の頭に手を乗せた。
「うん、彩斗兄ちゃん!!」
バタン!!
「・・・・・・夢?」
ベットから転げ落ち、寝ぼけ眼で熱斗は呟いた。
(何だったんだ・・・あの夢?)
熱斗は目をこすりながら立ち上がる。
「熱斗君、大丈夫?」
『お前必ずベットから転げ落ちて起きるよな~~』
PETからスバルとウォーロックが熱斗に話しかけてきた。
「・・・お早う・・・・・・」
「どうしたの、熱斗君?」
なんだか元気がない熱斗にスバルは聞く。
「いや、なんでもない! それより今日はいよいよ最後のパーツを手に入れるんだから、早く科学省に行かないと!!」
熱斗はそういうと、急いで服を着替えた。
___科学省___
「えええぇぇぇぇ!!?」
科学省に熱斗の絶叫が響き渡る。
「パパ! パーツの在りかが分からないってどういうこと!?」
「・・・それが・・・」
光博士はそういうと、パソコン画面を熱斗達に見せる。
そこにはボロボロに壊れ、所々からデータが粒子となって抜け出しているデータファイルが映し出されている。
「・・・! テキストデータが壊れている!?」
「その通りなんだ、炎山君。 実は、先日の伯爵事件の時、科学省のサイバーワールドに侵入して来た『ヴァンパイア・ドール』が暴れまくって・・・テキストデータを破壊してしまったんだ」
光博士が頭を抱え、淡々と熱斗達に説明する。
「そんな・・・」
「でも大丈夫だ!! 必ずデータを修復してみせる!! それまでみんな休んでいて欲しいんだ」
光博士はそういうと自分の研究室に行ってしまった。
「うぅ・・・まさかデータが壊れてるなんて・・・」
「仕方がないよ、熱斗君、あんなに激しい戦いだったんだから」
熱斗はぼやきながら、家への帰り道をトボトボと歩いていく。
「しかも、なんかメイルちゃんオレのことを避けてないか?」
熱斗は知らない。 まさかメイルが銀色達の目の前で大告白をしてしまったことに。
「うん、そうだね、何かあったのかな?」
スバルもその事実を知らないので、首を傾げて熱斗と一緒に考え込む。
PPP!! PPP!!
『オイ、なんかメールが来たぞ!!』
ウォーロックが熱斗にメールが入ったことを知らせる。
「メール? パパからか?」
「ううん、NO NAME? 差出人不明だ・・・」
スバルは慎重に添付されたメールを開く。
メールにはそっけなく、短い文が書かれていた。
[光 熱斗へ お前の秘密を知っている。 旧秋原エリアに来い。]
「オレの秘密・・・!?」
熱斗はメールに書かれている文面に驚きを見せる。
『旧秋原エリアってなんだ?』
ウォーロックが熱斗に問いかけてきた。
「あ、ああ、十年位前、今の秋原エリアが造られる前に使われていたインターネットで、今は閉鎖されている電脳世界なんだ・・・」
「そんなところで、一体何を?」
「・・・・・・」
熱斗は黙ってメールをじっと見る。
熱斗にはこのメールがただの悪戯にはとても思えなかったのだ。
「・・・行ってみよう! なんかすごく気になるんだ!!」
「いいの熱斗君? 何かの罠かもしれないよ?」
スバルが熱斗に問いかける。
「ああ、だけど、行かない訳にも行かないだろ!? 頼むよ、スバル!!」
「・・・そこまで言うなら、分かったよ!! 熱斗君!!」
『へっ! 面白いことになってきたじゃないか!?』
「よし! 早く家に帰って、プラグインだ!!」
熱斗はそういうと、家への歩を早めた。