流星のロックマン×ロックマンエグゼ ~願いが希望に変わる時~ 作:フレイムナイト
『ハァ、ハァ、ハァ・・・』
「グライド! 大丈夫!!?」
片膝をつき、満身創痍のグライドを心配するやいとがグライドに呼びかける。
グライドの目の前には、変わらず冷たい目でグライドを見下ろすベイトが立っていた。
『・・・トドメ・・・』
ベイトはそう呟くと、右手の鋭い爪をグライドに向かって振り下ろす。
『・・・クッ!!』
「バトルチップ・ドリームオーラ、スロットイン!!」
やいとがバトルチップをスロットインすると、グライドの周りを紫色のオーラが包み込んでベイトの攻撃を防いだ。
『・・・・・・』
ベイトは攻撃を防がれるとグライドから距離を置く。
「~~っ!! 気持ち悪いわね~~!! どうすればいいのよ!!?」
『やいと様、私ではあのナビのスピードには敵いません・・・』
「それでもやるしかないのよ!! バトルチップ・・・」
『ぐっ!? ぐがあああああ!!?』
やいとがバトルチップをスロットインする直前、ベイトがいきなり頭を抱えて苦しみだした。
「えっ!? 何!? どうしちゃったのアイツ!!?」
今まで言葉らしい言葉は全て聞こえるか聞こえない小声のベイトがいきなり絶叫を上げたので、やいとはあたふたとパニックになってしまった。
『わ、分かりません! でもチャンスです、やいと様!! 早く強力なバトルチップを!!!』
グライドは満身創痍の体でよろよろと立ち上がると、やいとにバトルチップの転送を促した。
「オッ、オッケー!! バトルチップ・リーダーズレイド、スロットイン!!!」
やいとがバトルチップを転送すると、グライドの目の前に赤と黒の剣士のようなネットナビが現れて、ベイトにそれぞれ斬りかかった。
『ぐぎゃああああああ!!!』
ベイトはたまらず悲鳴を上げる。
「オーホッホッホ!! まだまだ行くわよ!! バトルチップ・・・・・・!!!」
やっと来た攻撃のチャンスにハイテンションになったやいとが新たにバトルチップを転送しようとする。 しかし・・・
『あの、やいと様・・・・・・』
ハイテンションのやいとにグライドが手を上げて恐る恐るといった感じで呼びかけた。
「何よグライド!! 今が活躍のチャンスなのに!!!」
『でも、あいつもうデリートされてしまってますよ・・・』
「・・・・・・えっ?」
そう、さっきのリーダーズレイドでベイトはすでに倒されてしまっていたのだ。
『私、あんまり戦ったって言えませんね・・・』
グライドの周りに冷たい風が吹いた。 やいとの周りも例外なく・・・。
「って! 私達の活躍これだけ!!?」
『テレビもゲームも漫画もあまりバトルで活躍してませんからね・・・。 作者もあんまり思いつかなかったんでしょう・・・』
「きーーーーーーーっ!!!!!」
『ぐおおおお・・・!!!』
ロールとヴァンパイア・ドールを囲んでいたアンデット達が突然、頭を抱えて苦しみだした。
「な、なんだ!? 一体どうした!!?」
ヴァンパイア・ドールは、自分の手下達の変化に驚く。
『どうしたの!? 突然!!?』
ロールも異常な事態に辺りを見渡す。
すると、地面から淡い金色の光が漏れ出し、電脳世界全体をその光で包み込んだ。
その光は、スバルが始めてクロス・マジシャンした時に、スバルを包み込んだ光と似ている。
「・・・っ!? うぐあああああ!!!」
光が電脳世界を包み込んだ瞬間、ヴァンパイア・ドールもアンデット達同様に苦しみによる悲鳴を上げた。
『ええっ!? あいつまで、一体何がどうなってんの!!?』
ロールはもう訳が分からず、あたふたと目を回してしまう。
それは、メイルや光博士達も同じだった。
「これは、一体・・・!?」
「光博士!! 科学省の電脳世界全体に、謎の膨大なエネルギーが注ぎ込まれています!!!」
名人の目の前に映し出されているディスプレイには、科学省の電脳マップに波紋の様に広がる黄色の円が広がり、マップそのものを黄色に移し変えていた。
「謎のエネルギー!? 一体どこから!!?」
光博士には心当たりがなく、考え込んでしまう。
「それより!! メイルちゃん!! 今がチャンスよ、強力な攻撃であのヴァンパイアを倒すの!!!」
謎のエネルギーによる異常事態の中、ミソラだけが冷静にメイルに攻撃の指示を出す。
「えっ!? あ、うん!! ロールいくよ!! プログラムアドバンス!!!」
メイルはそういうと、ホルダーから三枚のチップを取り出した。
『わ、分かったわ!! メイルちゃん!! プログラムアドバンス!!!』
ロールも今がチャンスのこの状況に、苦しんでいるヴァンパイア・ドールに向かって構えた。
「バトルチップ・ガンデルソル3×2、ジャンゴSP、スロットイン!!」
『プログラムアドバンス!!!』
ロールが天に向かって右手を上げる。 すると、ヴァンパイア・ドールの前後に、円盤の付いた巨大な装置が現れる。
「!! パイルドライバー!? やめろおおおぉぉぉぉぉ!!!」
今までの紳士のような振る舞いがウソのように、ヴァンパイア・ドールはロールに向かって怒鳴り散らす。
「『いっけぇーーー!!! パイルドライバーーーーー!!!!!』」
メイルとロールの掛け声と共に、パイルドライバーの太陽光線がヴァンパイア・ドールに向かって放出された。
「ぐああああああ!!! これが、思いの・・・愛の力なのか・・・?
伯爵様ーーー!! お許しをーーーー!!! あああああああああぁぁぁぁ!!!!!」
ヴァンパイア・ドールは、太陽の光の中へと消えていった・・・。
『勝った・・・』
ロールはそう呟くと、ヨレヨレとその場に座り込んだ・・・。
「ロール、ありがとう。 ゆっくり休んでね・・・」
メイルはそういうとロールをプラグアウトさせた。
「よし、やいとちゃんの方の敵ナビの消滅も確認した。 名人!!」
「はい、光博士!! これであの赤い雨も止められます!!」
名人はディスプレイから目を離さず、スプリングラーを止めるようにプログラムにアクセスする。
「これで後は・・・」
「熱斗君達があの伯爵ってのを倒せば・・・」
メイルの言葉を銀色が繋ぐ。
「・・・スバル君、勝ってね」
ミソラは手を握って、スバル達の勝利を願った。