流星のロックマン×ロックマンエグゼ ~願いが希望に変わる時~   作:フレイムナイト

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第四十九話  中と外

___科学省 メインルーム___

 

「クッ、これは・・・!!」

「博士、駄目です!! 何度やってもアクセス拒否されてしまいます!!」

 光博士と名人が、慌てた様子でキーボードに文字を入力して、科学省のネットワークにアクセスしようとする。

しかし、どの画面も赤いフレームで『NO ACCES』の文字が表示されている。

 

ウィーン・・・

 

メインルームの自動ドアが開く音がした。 博士と名人が反射的にドアの方に視線を向けると、そこには、メイルと銀色が立っていた。

 

「メイルちゃん、銀色ちゃん!!」

 

「おじさん!! あの、熱斗は!?」

「光博士!! アリエルは、見つかったんでしょうか!!?」

 メイルと銀色は不安な表情で、光博士に詰め寄る。

 

 

「落ち着いて二人とも!!」

 光博士はメイルと銀色は落ち着かせると、現在の伯爵とスバル達の戦闘状況を説明した。

 

 

「つまり、今熱斗達が戦っている伯爵ってのが、科学省のネットワークに侵入して・・・」

「消火用のスプリンクラーから、あの赤い雨を降らせているんですか?」

 メイルと銀色がメインルームのに取り付けられている画面を見る。

画面にはホールの監視カメラから送られている映像が映し出されていて、オテンコサマの張っている太陽結界の中にいる熱斗、スバル、アリエルと、赤い雨の中で伯爵と戦っている黒ジャンゴが映し出されていた。

 

 

「あの、ヒマワリみたいなのと、黒い男の子は?」

 メイルは画面に映っている黒ジャンゴとオテンコサマを指差す。

事情を知らない人には、二人はすごく怪しい人物なのだろう(ひどい!! byジャンゴ,オテンコ)

 

 

「あの二人は味方だよ」

 不意に、ドアの方から声が聞こえてきた。 

全員が振り向くと、そこには壁に寄りかかって荒い息遣いのハープ・ノートが立っていた。

 

「ミソラちゃん!?」

 メイルはミソラに駆け寄ると、肩を貸してミソラを近くの椅子に座らせた。

 

「ミソラちゃん、大丈夫!?」

「大丈夫よ、メイルちゃん、かすり傷だから・・・」

 

「ミソラ君、あの二人が味方とは?」

 光博士がミソラにジャンゴとオテンコ様について質問する。

 

「私も詳しくは分からないんですけど、あの黒い男の子、どうしてあんな姿になっているか分からないけど、ジャンゴって呼ばれてて、スバル君と一緒にやって来て、スバル君はあの男の子と一緒に戦うって言ってるんです。 それにあのヒマワリみたいなの、スバル君達を守っているみたいだし、きっと味方ですよ!!」

 ミソラは必死にジャンゴとオテンコ様が味方だと訴える。

 

「落ち着いてミソラちゃん、私もあの二人が味方だと信じるよ!」

 光博士はミソラの頭の上に手を置いてミソラを落ち着かせる。

 

 

「光博士!!!」

 真剣に必死でネットワークにアクセスしようとしてた名人が光博士を呼んだ。

 

「どうした!? 名人!!」

 光博士は名人の隣に立つと、名人の見ていた画面を一緒に覗き込む。

 

「やっと科学省のネットワークにアクセス出来ない原因が分かりました!!

科学省のセキュリティプログラムにナビが侵入していて、アクセスを拒否させているんです!!」

「何だって!!?」

 名人の報告に、光博士は思わず声を上げる。

 

 

「名人さん、あの赤い雨を止める方法は無いんですか!?」

 銀色が名人に問いただす。

 

「さんはいらない!!! 方法はある。 侵入したナビは、科学省の外の警備システムと中の情報システムを守るセキュリティプログラムの中に一体ずつ潜伏しているんだ。 その二体のナビを倒せして、セキュリティを元に戻せば、科学省のネットワークにアクセスすることが出来る。 アクセスさえ出来れば、あのスプリンクラーを止めることが出来る」

 名人は目の前の画面に科学省のネットワークのマップを映しながらみんなに説明する。

 

「なら、私とロールがそのナビを倒します!! ねっ、ロール!!」

『うん、メイルちゃん!! 任せてよ!!』

 

「でも、問題があるんだ」

 張り切るメイルとロールに、光博士が重たい口調で言った。

 

「『えっ?』」

 

「外のセキュリティプログラムに入るためには、外に備え付けてある端末にプラグインする以外方法がないんだ。 しかも、今この科学省で戦えるネットナビとオペレーターと言えば、君とロール以外いなくて・・・」

 

「「あっ!!」」

 銀色とメイルが思わず声を上げる。

 

確かに今は、炎山はアリエルを探しに外へ出たきり帰っていなく、銀色はアリエルがいないので電波変換することが出来ない。 さらにミソラは伯爵との戦いで体力はあまり残っていない。 熱斗とスバルに至っては伯爵と戦っている真っ最中。

メイルとロール以外、セキュリティシステムにプラグインして中の二体のナビと闘える者はいないのだ。 しかもロールはバトルタイプのナビではないので、二体も相手にするのは不可能に近い。

 

 

「メイルちゃんとロールだけじゃ、二体のナビを相手にするのは無理だわ・・・」

 銀色は冷静に状況を整理し、呟く。

 

「どうしたら・・・・・・」

 万事休すの状況に全員黙りこくってしまう。

 

 

PPP!! PPP!!

 

不意にメイルのPETから着信音が鳴り出した。

 

『メイルちゃん、やいとちゃんから通信だよ!!』

「えっ!?」

 メイルは急いで通信を繋げる。

 

「やいとちゃん!!」

「メイルちゃん、そしてみなさん・・・。 状況は大体理解してますわ」

 何故かやいとは気取った口調でみんなに話しかけてきた。

 

「私、今科学省の外の端末の目の前にいますの」

 やいとはフンッと鼻を鳴らして自慢げに言う。

 

「「「「ええっ!!?」」」」

 みんなその言葉に驚きの声を上げる。

 

「私が外のセキュリティに潜んでいるナビを倒すから、メイルちゃんは中のプログラムにいるナビをやっつけて!!」

「えっ!? ちょっと、やいとちゃん!!?」

 やいとは言いたいことだけ言うと、プツッと通信を切ってしまった。

 

「えーっと、これは・・・?」

「逆転のチャンス・・・なのかな?」 

 みんな突然の事に、緊急事態の時でありながら、少しの間、「うーん」と考え込んでしまった。

 

 

 

 

 

「チャンスよ、チャンスよ、チャンスよ、チャンスよ、大チャンスよ!!!」

 科学省の外、備え付けられている端末の前で、やいとは握りこぶしを作り、興奮していた。

 

『やいと様、落ち着いてください。 何がチャンスなのですか!?』

 グライドは興奮しているやいとをなだめる様に言う。

 

「だってグライド!! やっと来たのよ、私達の出番が!! この小説で初めて!!」

『やいと様!! 本編でそんな事言っちゃいけません!!』

「今まで炎山やさらにはデカオにまで出番があったのに、私達はまったくと言っていい程出番がなかったのよ!! 興奮せずにはいられないわ!!」

 やいとの興奮は最高MAXに高まっているようで、グライドの言葉はあまり耳には入っていなかった。

 

『ハァ~~・・・』

 グライドは深くため息を付く。

 

「プラグイン!! グライド、トランスミッション!!!」

 

 

「・・・準備はいいね? メイルちゃん」

「はい!!」

 場面は戻ってここは科学省メインルーム、メイルはPETを構え、何時でもプラグイン出来るようにしてある。

 

「外のプログラムは、やいとちゃんが何とかしてくれる。 メイルちゃん、がんばってくれ!!」

 光博士はメイルに応援の言葉をかける。

 

「メイルちゃん」

 メイルの後ろから、銀色が声をかけてきた。 メイルは後ろを振り向くと、銀色と向かい合う。

 

「ゴメンね、力になれなくて・・・」

「ううん、私だって、フルーラの街ではちっとも役に立てなくて、銀色さんに助けてもらっちゃって。 今度は私ががんばらなくちゃ!!」

 メイルは銀色に笑顔を見せて、大丈夫そうに振舞う。

 

「・・・健気だね、熱斗君が好きになるのも当然だね」

「えっ!!? そんな、そんな事・・・」

 銀色の言葉にメイルは慌てて否定しようとしたが、否定しきれず、顔を真っ赤にしてうつむいてしまう。

 

 

「・・・あなたと熱斗君は、どうか、私と彩斗のような事が起きないように・・・」

 銀色は光博士と名人に聞こえないように、小さくそう呟いた。

 

「えっ・・・?」

「さ! 早く行かなくちゃ、やいとちゃんが先に敵を倒しちゃうよ!!」

 銀色はメイルの背中を押して、端末の前に立たせる。

 

 

「メイルちゃん、信じてるから・・・」

「はい!!」

 メイルは力強く返事をすると、一回大きく深呼吸をする。

 

 

 

「プラグイン!! ロール、トランスミッション!!!」


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