流星のロックマン×ロックマンエグゼ ~願いが希望に変わる時~ 作:フレイムナイト
「ひ、ひどい・・・」
『ほどんとぶっ壊れてやがる・・・』
スバルとウォーロックが口を押さえながらそう呟いた。
科学省は酷い有様だった。 入り口付近だけとはいえ、ホールは殆ど崩壊状態で、あちらこちらで土煙が舞っていた。
そんな状態のホールの中、宙に浮いているタキシード姿の男と、ギターを構えたピンクの服の女の子が睨み合っていた。
「ミソラちゃん!!」
「『伯爵!!』」
スバルがミソラを、ジャンゴとオテンコサマが伯爵の名を叫んだ。
「スバル君!!」
「太陽少年・・・!!」
スバル達は瞬時にハープ・ノートの傍に近づくと、全員で伯爵と睨み合った。
「フッ、もう嗅きづけてきたか、ジャンゴ・・・」
伯爵は多人数を相手にしているにも関らず、平然とした口調で言った。
「伯爵、どうやって復活したんだ!! あの時、確かにお前はパイルドライバーで、太陽の力で完全に浄化したはずだぞ!!」
ジャンゴは伯爵復活の疑問をぶつける。
「クックックッ、確かにあの時、イストラカンでのお前との戦いに敗れ、太陽の力で浄化された・・・。
だが!! 偶然か必然か、時空の歪みを通って漏れ出したこの世界の闇の力が、私に復活するだけの力を与えてくれたのだ!!!」
『なんだと!!』
「この世界から溢れてきた、闇の力・・・!?」
オテンコサマとスバルが呟く。
「クイーン亡き後、我々の世界に太陽の光が降り注ぐようになったがそうはさせん!!
この世界からヴァンパイア復活のための生贄を集め、再び我が世界を暗黒の世界に染め上げるのだ!!!」
「そんなことはさせない!!!」
ジャンゴはそう言うと腰のホルダーから太陽銃・ガンデルソルを伯爵に向かって構える。
「フフフ、やれるかな?」
伯爵は身に着けていたマントを翻し、ジャンゴを睨む。
ジャンゴと伯爵の間に緊迫した空気が流れる。
『ちょっと待て、おい、そこの伯爵っての!! アリエルと熱斗はどうした!!?』
ウォーロックが二人の間に割って入って、伯爵を問い詰める。
確かに、伯爵を倒すのは最重要事項ではあるが、それよりもまず、熱斗とアリエルの安否を確かめることが先決だ。
『ムッ、そうだジャンゴ、今は捕らえられている子供の安否を確かめなくては!』
オテンコサマはジャンゴの傍によると、熱斗達の安否を確かめるように言う。
「熱斗? アリエル? ああ、この者達のことか?」
伯爵はウォーロック達の話を聞くと、自分の後ろにあるものを見せるように体を反らした。
そこには、黒い煙で造られたようなリングに体を縛られている熱斗とアリエルが倒れていた。
「熱斗君!!!」
『アリエル!!!』
スバルとウォーロックは二人の名を呼ぶが、まったく反応がない。
「気を失っているみたいなの。 熱斗君とアリエルがアイツの傍にいるから、なかなか攻撃できなくて・・・」
ハープ・ノートが少し弱弱しくスバル達に話す。 ずーっと一人で不利な状況の中、戦っていたので限界が来ているのだろう。
「ミソラちゃん、ありがとう、後はボクやジャンゴ君に任せて、科学省にいる人達をお願い。 熱斗君とアリエルはボク達が必ず助ける!!」
スバルは真剣な瞳でミソラに頼み込む。
「うん、お願いね、スバル君!!」
『ウォーロック、アリエルになんかあったら許さないわよ!!』
『ケッ、分かってるよ、ハープ!!』
ハープの憎まれ口にウォーロックは力強い答えで返した。
そしてハープ・ノートは、伯爵と対峙しているスバル達を背に、科学省内へと入っていった。
「スバル君、伯爵はイモータル、闇の力の化身のような奴だ。 普通の攻撃では倒せない」
『ウム、しかも伯爵はこの世界に漂う闇の力をも得ている。 太陽銃の攻撃も効くかどうか・・・」
ジャンゴとオテンコサマがスバルの隣に来て、今の伯爵の状態を説明する。
「そ、そんな!!?」
『じゃあどうやって、倒すんだよ!!』
「・・・ボクに考えがある。 ボクが伯爵の気を引いている内に、熱斗君とアリエルを取り戻して」
ジャンゴはそういうと、スバル達よりも一歩前に進んだ。
「太陽少年 ジャンゴ、今日こそ決着を付けてくれる!!」
伯爵は剣を瞬時に手元にだすと、剣先をジャンゴに向ける。
『ジャンゴ、お前まさか、あの力を使う気か?』
「うん、他に手はないから・・・」
ジャンゴはオテンコサマにそういうと、突然雰囲気が変わった。
「「『・・・!!?』」」
スバル、ウォーロック、伯爵はジャンゴの雰囲気が変わったことに驚き、顔を強張らせる。
「伯爵・・・お前が闇の力で無敵になったというのなら・・・」
ジャンゴの体から黒いオーラが溢れ出す。
「その力を、お前と同じ闇の力で消し去るまでだ・・・!!!」