流星のロックマン×ロックマンエグゼ ~願いが希望に変わる時~ 作:フレイムナイト
『おい、作者! オレの扱いひどすぎやしないかぁ!?』
ウォーロック
『そうだな、いつもは必殺技の一つや二つは考えるのに・・・』
フレイムナイト
「えっ!? あっ、そうだっけ? アハハハハ・・・」
ガマガリ・ウォーロック
『?』
フレイムナイト
(やっべ~、勢いで書いたから容姿や名前以外考えてなかった・・・)
アリエルがFM星に来て、一年近くが経った。
ウォーロックが上手くアリエルの素性を隠したらしく、アリエルは難なくFM星での治療を受けることが出来た。 ウォーロックが『FM星の誇り高き戦士』と呼ばれていて、FM星ではそれなりの地位があったからこそだ。
『どうして助けてくれたの?』
アリエルはFM星に来てから、毎日のようにウォーロックにする質問をしてきた。
『さぁ、どうしてかねぇ~』
いつもこうだ・・・っとアリエルは思った。 ウォーロックはアリエルがこの質問をする度に、こんな風にのらりくらりと誤魔化そうとする。
だが、今日のアリエルは違った。
『誤魔化さないで!! 最初に会った時に言ったじゃない!! オレはFM星をぶち・・・』
『・・・!!?』
ウォーロックはアリエルが最後まで言い切る前にアリエルの口を急いで塞いだ。
『!? ンー! ンー!』
アリエルは突然のことにびっくりしてしまう。
『バカ野郎!! ここではそうゆう事を言うな!! いつ誰が聞いているか分からないんだぞ!!!』
ウォーロックはアリエルが見たことのないくらい焦った顔で言う。
『プハッ!! ゴ、ゴメン・・・』
アリエルは小声で誤った。
確かに、FM星でFM星を滅ぼす等の発言があったと知られたら、タダでは済まない。
最悪、抹殺されてしまうなんてことも考えられる。
『じゃあな!』
ウォーロックはそうゆうとアリエルに背を向けて立ち去って行く。
アリエルはそんな背中をちょっとさびしげに見つめた。
(ここ最近、アイツ忙しそう・・・。 確か、ニンゲンって奴らの見張りやらされてるんだっけ・・・)
アリエルはそう考えながら、FM星の城の付近を散歩していた。
怪我が治り、普通に出回れるくらいに回復したアリエルはすぐにウォーロックのことを調べ始めた。
だが、FM星の優秀な戦士ということ以外、何も分からない、謎のFM星人としかアリエルには分からなかった。
(なんでアイツ、FM星人なのに、他の星の奴らにかまうんだろう?)
自分を助けたように・・・。
アリエルはそう考えながら曲がり道を曲がろうとしたその時、
『よう、譲ちゃん。 一人~?』
『ちょっと、お兄さん達に付き合ってくんない?』
ジャミンガーに似た電波体が、後ろからアリエルの両肩を掴んできた。
『はっ? ナニ!! あんた達!?』
アリエルは振り返り様にそういって二人の電波体の手を振り払った。
『いやなに、ちょ~っとだけ、付き合ってほしいんだよ』
『譲ちゃん、あのウォーロックがどっからか連れてきた娘なんだよね~?』
『・・・!!?』
アリエルは電波体達の言葉に目を見開いて驚いた。
そして、とにかく逃げなくてはいけないと感じ、慌ててその場を逃げ出す。
『あっ! テメェ!!』
『待ちやがれ!! ゴラァ!!!』
『ったく! 手間かけさせやがって!!』
『ゼェ、ゼェ、すっ、すばしっこい・・・ゼェ、ゼェ・・・・・・』
電波体二人がアリエルを羽交い絞めにして地面に押し付けている。
『放して!! 放しなさいよ!!』
アリエルは必死で電波体の腕を振り払おうとする。 だがこの頃のアリエルはまだ幼い子供、アリエルの抵抗は無抵抗に等しかった。
『この小娘か・・・』
アリエルの目の前でくぐもったドスのきいた声がした。
アリエルが首だけを目の前に向けたら、そこには、巨大なガマガエルのような姿の電波体が踏ん反りがえるように座っていた。
『・・・誰? アンタ?』
アリエルは少し怯えた口調で尋ねた。
『オレの名はガマガリ、こいつらのボスだ。 小娘、お前に聞きたいことがある』
ガマガリはそういうと一旦間を置く。
『お前、ウォーロックの秘密について、何か知っているか?』
『・・・えっ?』
アリエルは質問の意味が分からず、思わずそう声に出してしまった。
『アイツは、目立ちすぎなんだ。 どこからかフラッと現れ、FM星王族親衛隊突撃隊長の座をオレから奪いやがった!!!』
ガマガリの口調はだんだん怒りによって荒々しくなっていった。
『オレだけじゃねぇ!!! ここにいる奴らもオレが隊長をやっていた時の部下達だ!!! ウォーロックのせいでオレ達は城を追い出され、こんな路地裏を根城にして暮らす羽目になっちまったんだ!!!!』
当時の事を思い出し、怒りで身を震わせるガマガリはそこまで言うとアリエルの頭を掴み自分の顔と同じ高さに持ち上げた。
『小娘!! お前何か知ってるんだろ!! お前がウォーロックの事を嗅ぎまわっていたのは知ってんだよ!!!』
『・・・っぐ・・・。 ア、アイツの事を知ってどうする気なのよ・・・?』
頭を掴まれている痛みに耐えながらアリエルは聞いた。
『アイツは間違いなくFM星にとってなんかヤバイ事をしようとしてるんだ!!
それを王に言って、奴から隊長の座を奪い返し、オレ達を追い出したように、奴をこの星から追い出してやるんだ!!!』
ガマガリはそこまで言うと顔をズイッとアリエルに近づけた。
『だから教えてくれよ。 奴の秘密をなぁ~~!!』
怒りで血走った目がアリエルを見据える。 幼いアリエルは完全にその目に怯えきっていた。
(アイツの秘密・・・)
アリエルはウォーロックと最初に出会った時の事を思い出す。
―――FM星をぶち壊したいのさ・・・
(あの時の事を言えば、助かる、でも・・・)
『し、知らない・・・』
恐怖で怯えきったアリエルには精一杯の抗いの言葉だった。
『ああ!!?』
アリエルを掴むガマガリの手の握力が強くなった。
『わ、私・・・何も知らない・・・。 アイツの事、何も知らない・・・』
アリエルは怯えた声で、でもはっきりと言った。
『・・・そうか・・・しかたねぇ・・・』
ガマガリはそういうともう一方の手を握る。
『じゃあ、分かるまでぶん殴ってやるーーーー!!!!!』
ガマガリのパンチがアリエルに向かう。
『・・・!!!』
アリエルはもう駄目だと思い、目を閉じる。
『アリエル~~~!!!』
突然、上空からそんな大声がしてきた。
その場にいた全員が反射的に上を見ると、ガマガリに向かってウォーロックが爪を振り上げていた。
『な!? ウォーロック!!?』
『ビーストスイング!!!』
いきなりの出来事に驚いたガマガリの隙をついて、ウォーロックはアリエルを掴んでいる腕を爪で切り裂いた。
『ぐあああぁぁ!!』
ガマガリは切りつかれた痛みで、アリエルを掴んでいた手を放す。
『えっ、わっ! きゃあぁ!!!』
掴まれていたアリエルはそのまま地面に落ちてしまいそうになる。 だがウォーロックがすぐさまアリエルの元に駆けつけ、地面に落ちるアリエルを抱きとめる。
『大丈夫か!?』
『!! う、うん、大丈夫・・・』
アリエルは目先約十五センチのウォーロックの顔に少しドキッとしながら答えた。
『ど、どうしてここに?』
『ん? なんとなくやばい気がして帰ってきたら、お前がどこにもいないんだ。 まさかと思って探していたら、案の定・・・』
ウォーロックはアリエルをやさしく地面に立たせると、ガマガリ達を睨み付けた。
『よう、ガマガリ!! ガキ相手にひでー事するじゃねぇか!!!』
『っるせえ!! そもそもはお前がいけねぇんだろが!!』
ガマガリはウォーロックを指差しながら言った。
『ケッ! "オレに勝てたら隊長の座を渡してやるよ!!"って言い出したのはお前だろーがよ!!!』
ウォーロックは余裕そうにガマガリにそう言い捨てた。
『~~~っ!!! やっちまえ~~~!!!!!』
ガマガリは顔を真っ赤にして部下達をウォーロックにけしかけた。
約七~八人の手下達が一斉にウォーロックに襲い掛かる。
『! 危ない!!』
アリエルはウォーロックに向かって叫ぶ。
その時だった。 ウォーロックがその場から消えたのは・・・。
『・・・えっ?』
その場にいる全員が思わずそう声を漏らした。
だがウォーロックがその場から消えたのは、その一瞬だけだった。
気が付くとウォーロックは手下達の後ろで自然体で立っていた。
『なっ、いつの間に!?』
ガマガリは一瞬で手下達の後ろに移動していたウォーロックに驚いた。
『なつかしいなぁ~。 あの時もお前は自分で戦わないで、手下達をけしかけて来て・・・』
ウォーロックはそこまで言うと後ろを振り向いて手下達を見た。
アリエルとガマガリもそれに釣られて、手下達を見る。 すると今まで黙っていた手下達がゆっくりと倒れたのだ。
『こいつら、あっという間に負けたんだよな!』
『バ、バカな!!?』
『ス、スゴイ! スゴイ!! ウォーロック、スゴーーイ!!!』
アリエルはウォーロックの強さに興奮する。
『最後はお前だ! ガマガリ!!!』
ウォーロックはそういうと上空に飛び上がった。
『ちくしょお・・・ちくしょお~~~~~!!!!!』
ガマガリは上空のウォーロック目掛けてパンチを繰り出そうとする。
『ビーストスイング!!!』
『消えろ~~~!!!』
『・・・スゴイんだね、ウォーロックって・・・』
『ん?』
ウォーロックにおんぶされているアリエルが不意にそう言った。
その後ろにはウォーロックに負け、地面に突っ伏しているガマガリとその手下達がいる。
アリエルをおんぶしたウォーロックはその場からゆっくりと離れて行った。
『なぁ、お前、どうして話さなかったんだ?』
『えっ?』
『オレがFM星を破壊しようと考えていた事をガマガリに話せば、助かってたかも知れないのによ・・・』
『・・・だって、言ったらウォーロックは居なくなっちゃう・・・。 そしたら私、一人ぼっちになっちゃうよ・・・』
『・・・そうか』
『・・・あんたこそ、どうして、私を助けてくれたの?』
『・・・・・・』
ウォーロックはいつものように誤魔化そうとしない。 黙ったまま歩いていく。
アリエルは聞いても無駄かと思い、目を閉じる。
『オレは、AM星人・・・。 お前と同じ、故郷をFM星に滅ぼされた』
ウォーロックは淡々と、静かに話し始めた。
『えっ・・・!!!』
アリエルはウォーロックからの意外な告白に驚いて目を開ける。
『どうして、敵の星にいるのかって思ってるだろ? でも、この星を打っ壊す為の機会を得るには、これが一番いいんだ・・・。 オレやお前みたいな奴を出さない為に!!』
ウォーロックは静かに、でも熱く話す。
『だから、助けてくれたの?』
『アリエル、お前はまだ小さい子供だ・・・。 まだ、チャンスがある! 幸せになるチャンスが!!』
『幸せになる、チャンス・・・』
アリエルは自分の胸の中に熱い何かが芽生えてきた感じがした。
『アリエル、オレは自分の命に代えてでも必ずこの星を打っ壊す!! あきらめんなよ・・・』
『・・・・・・ありがとう、ウォーロック様』
アリエルは、心の底から笑顔でウォーロックにそう言った。
そして、それから約一年後、ウォーロックは『アンドロメダの鍵』を奪い、FM星を去って行った・・・。
アリエルに別れを言わず・・・。
それでも、アリエルは信じ続けた、ウォーロックを・・・。
―――必ずFM星を打っ壊す!! あなたはそう言った。 でも、あんな方法でFM星を・・・ううん、FM星の闇を壊してしまうなんて・・・。
これでもう、私やあなたのような者は現れないでしょう・・・。 だから、私はあなたの所へ行きます! 今度は、私があなたの助けになりたいから!!
それに、あなたの心に伝えたいから!! 憎しみや恨みのような負の感情とは反対の正の感情・・・。
"ウォーロック様が大好き!!!"っていう、初恋と言う名の感情を・・・
スバル
「アリエルとウォーロックの間にこんな過去が・・・!」
熱斗
「でも何でだ? どうしてうでナビはアリエルのことを避けるようになったんだ?」
アリエル
『そうなのよ。 あれからウォーロック様の傍に居たくて、寝ている時も散歩している時も戦っている時もずーっとウォーロック様を追っかけていたのに・・・』
スバル・熱斗
「それだ!」