流星のロックマン×ロックマンエグゼ ~願いが希望に変わる時~   作:フレイムナイト

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第三十五話  銀色の涙

___数十分前 銀色場面___

 

「ハァ!!」

 銀色のオカリナブレードが残ったウィルスを一掃する。

 

「フゥ・・・」

 銀色は全てのウィルスを倒すと、剣をオカリナに戻し、首にかけた。

 

「アリエル、ウィルスは今ので最後?」

『うん、この電脳世界にはもうウィルスの反応は無いわ』

 

「そう、それじゃあみんなの所へ援軍に・・・えっ?」

 銀色はそう声を漏らすと、ある一点を見つめた。

そこには、ワープホールの上に乗る一人の人影があった。

 

『えっ、ウソ? あれって・・・』

「後を追おう!!」

 銀色はそういうと、ワープホールに乗り、その人影を追った。

 

 

 

 

 

「ここは・・・?」

 銀色はワープホールから辺りを見回した。

そこは洋館の電脳のどこかのようだが、夜のように暗く、冷気が漂っているような感じだった。

だが一箇所だけ、淡く金色に光り、浮かぶそれがあった。

 

『ねぇ、銀色・・・。 あれ・・・!!』

 アリエルはその光る物体を指差しながら言った。

 

 

 

 

 

『・・・・・・ホープ・キー』 

 

『「・・・・・・!!?」』

 後ろから声が聞こえた。 銀色は慌てて振り返ると、そこには"青い少年ナビ"が立っていた。

 

「君は・・・?」

 銀色は恐る恐るといった感じでそのナビに話しかけた。

 

『銀色・・・なぜ君がここに居るんだ?』

 ナビは銀色の問いには答えず、逆に問いかけてきた。

その口調はとても悲しく、大人びていた。 銀色は、その喋り方に、いや、その声に聴き覚えがあった。

 

「・・・なっ、まさか、あなたは!!?」

 銀色はそういうと二、三歩後ずさった。

 

『そ、そんなのあんたに関係ないでしょ!? 銀色! こいつネビュラのナビに違いないわ!! 早くやっつけちゃおう!!』

 アリエルは銀色に戦うように促す。

 

「ダ、ダメ! 出来ないわ!!」

『どうして!!?』

 銀色は体が硬直してしまったように動かず、戦うことを拒否する。

 

『・・・・・・そんなことでネビュラと、闇と戦おうとしたのか・・・。 無謀だよ、銀色』

 ナビはそういうと右腕をバスターに換え、銀色に向けた。 そして・・・

 

 

 

 

 

『この戦いから、身を退け・・・・・・』

 ナビの放った弾丸が銀色を襲った。

 

 

___数分後___

 

「・・・う、ううん?」

 銀色はゆっくりと体を起こし、あたりを見回した。

そこは変わらず、夜のような闇が包み込んでいるだけだった。

 

「私、どうしたんだっけ・・・?」

 銀色は頭を抑え、自分の身に何が起きたのか思い出す。

 

(あの時、彼が撃ったバスターの直撃を受けて、それで気を失って・・・)

 銀色はそこまで思い出すと、バスターが当たった右肩を触った。

だが右肩には何の怪我もなかった。 どうやら気絶する程度に威力を抑えて撃ったみたいだ。

 

「あっ、ホープ・キー!!」

 銀色はホープ・キーの在ったところを見る。 だがそこには無く、周りを見てもその影も見当たらない。

どうやら、あのナビが持っていってしまったようだ。

 

 

「・・・・・・。 どうして、あなたがこんなことを・・・?」

 銀色はあのナビのことを思い出し、その瞳に涙を浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・彩斗」


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