流星のロックマン×ロックマンエグゼ ~願いが希望に変わる時~   作:フレイムナイト

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第十三話  老人とオカリナ姫と事件発生!!!

___ノース(北)エリア___

 

~炎山視点~

「ブルース、何か反応はあるか?」

『いえ、この付近には何の反応もありません』

「そうか・・・」

 ここはフルーラー・ノースエリア。 植物園や花屋など、自然が多いエリアだ。

 

「音楽の街というより、緑の街だな・・・」

 オレは周りの多種類の花や木々を見て呟いた。

 

「ほっほっほっ、そうでもないよ、少年」

「・・・!」

 オレは声のしたほうを振り向く。 そこには、ゆったりとした木の椅子に座った老人がいた。

 

「少年、音楽がどうやって生まれたか知ってるか・・・?」

 オレは老人のだした問題が分からず、首を傾げてしまう。

 

「色々な話があるが、一説には音楽は森の神が人間に音を与えたことが始まりだといわれておる。 この街の人々は、皆そう信じておる。 だからこのエリアは自然が多く残されておるんじゃ」

 

「はぁ・・・」

 この老人は一体何が言いたいんだ? オレは老人の言葉を黙って聴いている。

 

「森の神が音を与えた人間はな、戦いに身を投じるようになり、なぜ戦うのか忘れてしまっていた人間だったんだ。 森の神はその人間を哀れに思い、音を与えた。 そしてこう言ったんじゃ、『なぜ、戦う?』っと」

「・・・・・・」

 オレはその人間が自分と似ているような気がした。 オフィシャルとして戦うのは当然だと思っていたオレに・・・。

 

「するとその人間はこういったんじゃ、『ありがとう、あなたのおかげで、自分がなぜ戦うのかが分かりました。 助けを求める人々を守りたいと思うからです。 だから、私はこれからも戦い続けます・・・。』っと」

「・・・!」

 

 

「少年よ、戦いとは守るために在るのじゃ。 キズナ、権力、金、友情、命、愛、強欲・・・。 悪だろうが正義だろうが、みんな何かを守るために戦うのじゃ。

自分が何を守るのか分からなくては戦いとは言えない・・・」

 オレは何も言えなかった。 だが、胸の中がだんだん熱くなっていくのを感じた。

 

「少年よ、自分が守るべきものをいつも心の中に秘め、戦うのじゃ・・・」

 老人はそういうと立ち上がり、ノースエリアの出入り口へと歩いていく。

 

 

「ご老人!!」

 オレは老人を呼ぶが、老人は振り返らずゆっくりと出入り口に歩いて行く。

 

「ありがとうございました!!!」

 オレは老人に向かって頭を下げた・・・。

 

 

___サウス(南)エリア___

 

~メイル視点~

「うわ~~、すごい!!」

 私は思わず感嘆の声を上げた。

ここはフルーラー・サウスエリア。歌手を目指している人たちが毎日路上ライブをやっていて、CDショップみたいな音楽系のお店が多いエリアなの。

 

『ホントにすごいね、メイルちゃん!!』

 PETの中のロールもすごいはしゃいでるみたい。

その時、私達はとても優しい音色を聞いたの。

 

 

「なんだろう?」

 私は音色が聞こえてくるほうへと歩いて行った。

そこは噴水のあるちょっとした広場で、一人の女の人が踊るようにオカリナを吹いていたの。

 

 

「素敵・・・」

 その人は十七、十八歳位、銀色のロングヘアで、ノースリーブのシンプルなワンピースの上にクリーム色のカーテガンを着ていたの。 そしてエメラルドグリーンの瞳で、早い話が超美人。

 

「ありがとう」

 気が付くと、その女の人は私の目の前に立っていて、私にお礼を言っていた。

 

「えっ! あ・・・!」

 私はいきなりの事で言葉を詰まらせてしまった。

 

「私の名は銀色。 私のオカリナを聞いてくれてありがとう」

 女の人は私に名前を言って、またお礼を言った。

 

「あ! コチラこそ素敵な曲をありがとう。 私はメイル、よろしく」

「メイルちゃん・・・よろしく」

 

「でも不思議、こんな素敵な曲聴いていたのが私だけなんて・・・」

 私は不思議に思った。 こんな素敵な音色、なんで誰も聴きに来ないんだろう?

 

「それは、素敵な曲はここだけじゃないからだよ」

 銀色さんはそういうと周りを見渡した。 すると周りではいろんなジャンルの曲を路上ライブしていて、みんなそれを目をキラキラさせながら聴いていた。

 

「そっか、演奏しているのはここだけじゃないんだね」

「うん、私ここでオカリナを吹きながらこの景色を見るのが好きなの」

「そうな・・・」

「どうしたの?」

 銀色さんは黙り込んでしまった私の顔を心配そうに覗き込む。

 

「こんなことしてる場合じゃなかった!! 早くホープ・キーを捜さなくちゃ!!!」

 私は銀色さんをほっといて先に行ってしまった。

 

 

 

 

 

『銀色・・・私、そろそろ動くね!!』

「分かったわ、アリエル・・・」

 

 

___セントラル(中央)エリア___

 

~通常視点~ 

(ちょ、オレ〔熱斗〕視点なし!!?) (主役なんだから文句言わない!!!by作者)

 

「こんなところにあるのか?」

 熱斗は一人、ぽつんと呟いた。

 

熱斗は今、フルーラー・セントラルエリアにいる。

セントラルエリアは、中央の駅を中心に音符をモチーフにしたビルやマンションが立ち並んでいる。 ビルのディスプレイでは、いろんな歌手が歌を歌っている映像が流されている。

 

「なんかこの街にいると、あの娘を思い出すな・・・」

 PETの中からスバルが呟く。

 

「あの娘って誰?」

 熱斗はPETを取り出すと、スバルに聞いてきた。

 

『スバルの女だよ、こいつ未来じゃあの女に会う度にいちゃいちゃしてたんだぜ』

 ウォーロックがニヤニヤ笑いながら熱斗に話した。

 

「え、ちょ、な、違うよ!! ミソラちゃんは僕の始めてのブラザーで、決してそんなんじゃないから///」

 スバルは手をブンブン振り、顔を真っ赤にしながら全力で否定する。

 

「へ~、あの子とね~~」

 熱斗はクロックマン事件のとき知り合ったミソラのことを思い出す。

 

「たしかすっごくかわいかったよな、やるなスバル」

 熱斗はスバルを茶化し始めた。

 

「だから違うって!! だいだいウォーロックはどうなんだよ!!!」

 スバルは突然、ウォーロックに話をふっかけた。

 

『はぁ!!?』

「ウォーロックだってボクとミソラちゃんが話してる時、ハープと二人でどっかいってるじゃないか!!」

 

『ジョーーーダンじゃねぇ!!! オレはいつもあいつに「空気読めない奴はどっか行くわよ」って、むりやり首根っこ掴まれて連れて行かれるんだ!! メーーワクしてるんだよ!!!』

 ウォーロックはぎゃんぎゃん騒ぎながらスバルに反論する。

 

「おい、ハープって誰だよ?」

 ハープと面識がない熱斗はスバルとウォーロックに問いかける。

スバル達はハープのことを説明する。

 

「へ~、じゃあ、うでナビに興味のある女の子っていないのかよ?」

 

『え、いや、えと~・・・』

 ウォーロックは熱斗の疑問に言葉をにごらせてしまう。

ちなみに、ウォーロックは熱斗の『うでナビ』を訂正するのはもうあきらめている。(ご愁傷様・・・)

 

「えっ、なに、もしかしているの!? そんな物好きな女の子!!?」

 スバルは目を大きく見開いて驚いている。

 

『どーいう意味だ!!! スバ・・・』

 ウォーロックは途中で言葉を止めてしまう。

 

セントラルエリアのビルのディスプレイの映像が一斉に消えたからだ。

 

「な、なんだ!!?」

 熱斗は周りを見渡す。

すると全てのディスプレイに水色の小さなベールを頭に付け、透き通った水色のオカリナをペンダントのように首に下げた白いナビが現れた。

 

 

『あ・・・あ・・・あ・・・!!?』

 ウォーロックは目が点になり、口を大きく開け、アゴがぴくぴくと動いている。

 

「ど、どうしたの!? ウォーロック!!?」

 スバルはウォーロックの見たことのない様子に驚いている。

 

「こ、こわれたか・・・?」

 熱斗もウォーロックの様子を見て驚く。

だがその時、ディスプレイのナビが首にかけたオカリナを吹き始めた。

 

~~♪~~♪~~♪~~♪~~

 

オカリナから子守り歌のような優しい音色がフルーラーの街全体に響き渡る。

すると、熱斗以外の人たちがその場に倒れ、すやすやと眠り始めた。

 

「ど、どうなってんだ!!?」

「オカリナだ!! あのオカリナの音色を聞くと眠ってしまうんだ!!!」

 スバルが熱斗に説明する。

 

「でも、なんでオレたちは眠くならないんだ!?」

 熱斗がそういうとディスプレイのナビが突然しゃべり始めた。

 

『あははは! 私がホープ・キーに関係ある人は眠らせなかったのよ!!』

 ナビが高いソプラノトーンで話す。

 

「なっ、それじゃあ、オマエはネビュラの・・・うお!!」

 突然、ウォーロックが実体化してきて、熱斗は途中で言葉が途切れる。

 

『ア・・・ア・・・ア・・・!!!』

 ウォーロックは、ディスプレイのナビを指差して言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『会いたかったわ~~~!! ウォーロック様~~~!!!』

『アリエル~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!??????』

 

 アリエルの歓喜の声とウォーロックの恐怖の悲鳴がフルーラーの街に響き渡った・・・。


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