流星のロックマン×ロックマンエグゼ ~願いが希望に変わる時~ 作:フレイムナイト
パキィィン・・・!!
優しい光に包まれ、宙に浮かんでいるような感覚の中、熱斗達は何かが砕ける音を聞いた。
きっと、オラシオン・ロックとホープ・キーが砕けた音だ。
そして、イキシアの・・・
全ては前世代の人達、光 正とDr.ワイリーの思想と、彼らが残したプログラムから始まった。
それらを巡り、今と・・・未来を生きる人達もが戦った。
そして今、全てを始めたプログラム・オラシオン・ロック、ホープ・キー、そしてココロサーバーは・・・完全に消滅した。
足に地面の感触が戻った時、熱斗達は元のロードオブカオスの電脳にいた。
目の前には自らの胸を押さえるロードオブカオスがいる。
光と闇 理想と思想 恐怖と希望 信頼と孤高 狂気と勇気
それら全てを賭けた戦いは次世代の者達に託された。
グオオォアアアァァ!!!
突然、ロードオブカオスが叫び、胸を押さえていた両腕を広げる。
晒されたその胴体を見ると、所々の体を構成しているノイズが、融けるように体から流れ落ち、消滅している。 その現象は胴体だけでなく、カオスの腕や顔にも見え始めた。
『なっ、融けてる!?』
「取り込んだオラシオン・ロックとホープ・キーが消滅したのが原因だよ」
ウォーロックの後に、少し苦しそうな声が聞こえる。
スバルとウォーロックが見ると、そこには、熱斗に体を支えられたロックマン・・・人間の姿を取り戻した彩斗が立っていた。 彩斗はイキシアと同じノースリーブの白いシャツと白いズボンを着ている。
「ロッ・・・彩斗君! 元に戻れたんだ!」
歓喜の声を上げるスバル。 彩斗はそんなスバルに微かな笑みを見せると、ロードオブカオスに視線を変える。
「ロードオブカオスは、ロックとキーとほぼ100%近くまで融合していた。 膨大なエネルギーを持つ二つのプログラムが体内で消滅した事が、ロードオブカオス自身のプログラムにさえ影響して、体が崩壊し始めているんだ」
彩斗がそう言っている間にも、ロードオブカオスの体は融けるように体が崩壊していく。
その姿は、さながら体が内側から裂け、そこから血や臓物がドロリと流れ出ているようだ。
「それじゃ、ここもすぐに消滅するんじゃ・・・ウッ!」
苦痛の声を上げ、熱斗が地面に両膝をつく。 熱斗に支えられていた彩斗も倒れこむように膝をついた。
「どうしたの、熱斗君!?」
「ヤ、ヤベェ・・・水晶が・・・」
熱斗はポケットから、アリエル・ウォーティーに渡された水晶を取り出す。
水晶は最初に貰った時よりも明らかに小さくなっていて、発する光も弱弱しい。
「水晶の守りが弱くなってる!?」
『水晶が消える前に急いで脱出するぞ、スバル!!』
スバルが熱斗を、ウォーロックが彩斗を担いてロードオブカオスに背を向ける。
グギャアアアアア!!!
「ウワッ!」
突然、ロードオブカオスが発した絶叫に電脳世界が揺れ、スバル達はバランスを崩す。
「どうした!?」
熱斗が後ろを振りかえると、カオスの溶けかかった巨大な右手が、熱斗達に向かって伸ばされていた。
『マズイ!』
グオオォォォ!!!
ロードオブカオスの赤黒い手が熱斗達を掴みこんだ。
斬ッ!!
熱斗達を掴み込んだロードオブカオスの手に、一筋の黒い線が刻まれた。
その直後、線を刻まれた場所からドロドロと、カオスの手が融け始め、融けた手は地面に落ちるとゆっくりと消えていく。
解放されたスバル達がゆっくりと目を開けると、そこには、カオスの手を斬ったであろう黒い剣を持った、一人の人物が立っていた。
「ブライ!!」
スバルが無意識の内にその名を叫ぶ。
スバル達の前に立っていたのは、ロックマン、彩斗と一緒にロードオブカオスに飲み込まれていたブライだった。
ブライは持っていたラプラスソードを肩に担ぐと、「やかましい」と言い放つ。
ウォーロックはそんなブライを見て、「可愛くねぇ奴」と小声で言う。
「ブライ、よく無事で・・・」
「フンッ、オレがこの程度のノイズに耐えられないと思ったのか? あの怪物を倒す機会を窺うために、この電脳世界で身を潜めていたんだ」
スバルにそう言うと、ブライは背を向けた。
だが、ブライは嘘をついていた。
ブライが身を潜めていたのは、ロードオブカオスを倒す機会を窺っていたからでは無い。
ブライは、ロードオブカオスに引きずり込まれた時、ラプラスソードがカオスの手に飲み込まれ、自身もまた飲み込まれかけたのだが、全身の電波の力を放出する事によって、カオスから分離した。
しかし、全身の力を放出した事による疲労から、ずっと身を潜め、力を回復させていたのだ。
(思った以上に力を使ってしまったな。 まだいくらも回復しきれていない)
ブライは自身の体力が半分も残っていない事を感じ、若干焦る。
しかしそれを決して表情には見せない。
『オイ、ブライ、"他の奴ら"はどうした?』
ウォーロックの問いにその場にいた全員の顔が強張る。 "他の奴ら"というのは、ロードオブカオスに吸収されたダークロイド達やファントム・ブラックの事だ。
ブライは静かにロードオブカオスに視線を向ける。
「・・・喰われた」
そっけないブライの返事。 それだけでみんなは彼らがどうなったのかを理解した。
彼らは、ロードオブカオスに吸収され、カオスの一部になってしまったのだ。
ガッ・・・グォォォ・・・
ロードオブカオスの呻き声。 見ると、カオスは失った右手を左手で押さえ、体はもう半分以上融けてしまっている。
次の瞬間・・・
グギャアアアァァオオオォォォ!!!
ロードオブカオスの絶叫が、空気を震わせる。
カオスを中心に、爆風が吹く。
「ウワアァァ!!!」
円形状に広がる爆風がスバル達を吹き飛ばした。
スバル達は電脳の果てまで吹き飛ばされ、やがて、見えなくなってしまった。
【NG】
「・・・喰われた」
そっけないブライの返事。 それだけでみんなは彼らがどうなったのかを理解した。
彼らは、もう、この小説で出番が無いという事に・・・
ダークロイド
『な、なんだと~~~!!?』
ファントム・ブラック
「こんなシナリオ、私は認めないぞ~~~!!!」