流星のロックマン×ロックマンエグゼ ~願いが希望に変わる時~   作:フレイムナイト

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第百話    願い

眩い光に目を強く閉じた熱斗、スバル、ウォーロック・・・。

光が収まってゆっくりと目を開くと、今までいたロードオブカオスの電脳とは全く違う空間に、三人は立っていた。

 

微かに濃淡がある白い光に満たされた世界、ロードオブカオスとは真逆とも言えるその光景に、熱斗は見覚えがあった。

 

「ここは・・・イキシアとあった空間?」

『イキシア!?』

「それって、熱斗君が話していた謎の少年?」

 

スバルとの問いに熱斗は「ああ・・・」と返事をして、今自分がいる空間を見渡した。

 

最初、熱斗とイキシアが会ったのは夢の中だった。

戦いが進む度、熱斗はイキシアがロックマンと深い関わりを持っていると分かった。

 

そして、イキシアと会う時はいつもこの世界だった。

 

「だけど、どうして今、この世界に・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『熱斗君』

熱斗の声は後ろから聞こえた声に遮られた。

 

熱斗達が後ろを向くと、そこに一人の人物が立っていた。

 

スバルとウォーロックはその人物を見て、思わず「あっ!」と声を上げ、熱斗にいたってはその人に向かって駆けだしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ロックマン!!!」

『熱斗君!!!』

 熱斗はロックマンに思いっきり抱き着き、ロックマンをそれを受け止める。

 

 

『やっと・・・やっと会えた』

 そういうロックマンの目には涙が滲んでいる。

青いボディに緑色の目・・・その姿は熱斗達が知っているいつものロックマンだ。

 

「『ロックマン!』」

 そこにスバルとウォーロックも駆け寄る。

 

『スバル君、ウォーロック・・・ありがとう』

 ロックマンが言ったお礼の言葉の意味を、スバルとウォーロックはあえて聞き返さなかった。 その代わり、二人は笑顔で返す。

 

 

「みんな、揃ったね」

 熱斗達とは違う第三者の声が聞こえる。

熱斗達が声の方向を見ると、そこには彼が、イキシアが立っていた。

 

 

「イキシア・・・君は一体、何者なんだ?」

 熱斗の問いに、イキシアは少し下を向く。 しかしすぐに顔を上げ、話し始めた。

 

 

「ボクは、エネルギー精製プログラム[イキシア]の管理プログラムであり、この空間・・・オラシオン・ロックに存在する電脳空間を守護する者」

 

「管理プログラム!?」

「ここが、オラシオン・ロックの中だって!?」

 熱斗とスバルの驚く声が響く。

 

『それで、自らの名も[イキシア]って名乗ってたのか』

 ウォーロックが納得したという風に頷く。

 

 

『イキシア』

 ロックマンがイキシアの前に進み出た。

 

対峙するイキシアとロックマン

 

 

『正おじいちゃんは・・・どうして、ボクと熱斗に制御プログラムなんて組んだのか? 君はその理由を知っているんじゃないのか?』

 ロックマンの問いに、イキシアは悲しそうに眼を少し細める。

 

「知ってるよ。 だけど、君や熱斗君が受け入れられるような考え方かどうか・・・」

 

「それでも構わない!」

 イキシアの言葉を熱斗が遮る。

 

『熱斗君』

「どんな真実でも、オレ達はそれを知らなきゃ未来に進む事は出来ない」

 熱斗はロックマンの隣に立つと、ロックマンの手を握った。

 

「大丈夫! おじいちゃんを信じたいのは、オレも同じだからさ!」

 熱斗はニッとロックマンに笑って見せる。 ロックマンもそれにつられて微笑んだ。

 

イキシアは熱斗の勢いに押されて少し目を丸くしてしまったが、ロックマン同様に、熱斗につられて微笑んだ。

 

「強いんだね・・・正博士が"未来に託したい"と言った気持ちが分かるよ」

 

「未来に託したい?」

 

「ココロサーバーは、正博士と、まだ悪の道に走る前のワイリー博士が、人と人の心を繋げる懸け橋になってくれるネットワークを目指して作られたものなんだ」

 そう言うと、イキシアは自分の胸に手を添える。

 

「それって、ボク達の時代のブラザーバンドみたいな?」

『ンな昔から考えられていたのか・・・』

 熱斗やロックマンにとっては二十年位前の事だが、スバル達にとっては、二百年以上前からブラザーバンドの前進とも言える技術があったんだと、感慨深いものがあった。

 

「だけど、ココロサーバーの実用はあまりにも危険すぎた。 悪用されれば、今のような事態を引き起こしかねない」

 その事に、熱斗達は大きく頷く。

 

「結局、博士達はココロサーバーの設計を断念した。 だけど、諦めた訳じゃなかったんだ」

 イキシアは熱斗とロックマンに真正面から向く。

 

「自分達の世代では無理でも、いつの日か、自分達の意思を継ぐ未来の世代が、ココロサーバーを完成してくれるはずだと考え、ココロサーバーの設計書とオラシオン・ロックをDr.リーガルと光 雄一郎博士に託し、ホープ・キーを五つのパーツに分けてニホン各地に隠したんだ」

 

『未来の世代が、ココロサーバーを完成させると信じて・・・だけど、ボクと熱斗君に制御プログラムを組み込んだのは?』

 ロックマンがイキシアに問い掛ける。

イキシアはその問いに、少し暗い顔になる。

 

「こうなるって、分かっていたんだ・・・」

「「『『えっ?』』」」

 

 

「全ての人が、技術を良い方向に使おうとするとは限らない。 技術を悪用しようとする人だっている。 正博士は、ココロサーバーを悪用しようとする者が現れる事を予見していたんだ。 だから・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうなった時、そいつらに立ち向かえる力になれるように、熱斗君と彩斗君、二人にオラシオン・ロックとホープ・キーの制御プログラムを組み込んだんた!」




ココロサーバーの事を考えてる時、不意にブラザーバンドの事を思い出して、もしかしてこれが一番最初の"キズナ理論"だったのかなぁ・・・と思いました。


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