流星のロックマン×ロックマンエグゼ ~願いが希望に変わる時~ 作:フレイムナイト
「ついに来たぜ九十九話!」
フレイムナイト
「今回、話が急すぎるかなと思ったけど・・・大丈夫かな?」
スバル・ウォーロック
「オイ・・・」
ロードオブカオスの中へ入り込むほど、周りに漂うクリムゾンは増え、ノイズは濃くなってゆく。 熱斗とスバルが目的の場所に着いたのは、割とすぐだった。
熱斗達の目の前で、"それ"はクリムゾンと共に宙に浮かんでいる。
赤黒く燃える巨大な炎の球体。 その炎の中から伸びている配線コードは、辺りの床を埋め尽くし、炎が揺らめくと飛び散る火の粉は、ノイズのような形に変わり、すぐに消える。
「これが・・・ロードオブカオス?」
『形は、メテオGのコアとソックリだな』
スバルとウォーロックの目には、ロードオブカオスとメテオGのコアが重なって見える。
「ここが、この電脳世界の・・・」
熱斗は周りを見渡すが、最後まで言い終わる前に、目に入った存在の元へ駆け出した。
「ロック、彩斗兄さん!!」
熱斗は眠る様に横たわるロックマンの元へ駆け寄る。
ロックマンは目を開けてはいるが、その目は虚ろで何も見ていない。
「頼む、返事をしてくれ! 彩斗兄さん!」
熱斗はロックマンの体を抱き起すと、必死に呼びかける。
しかし、ロックマンは何の反応も示さない。
「ロックマン・・・どうして?」
『スバル、何か来るぞ!』
ウォーロックの言葉に反応して、スバルは後ろに下がる。
すると、さっきまでスバルが立っていた場所の地面に黒い穴が現れ、その穴から黒い炎の塊が次々と噴出してきた。
「な、なんだ!?」
「スバル、アレ!」
熱斗が指差した先を見て、スバルは息を飲んだ。
ロードオブカオスが"グニャリと曲がった"。
球体のロードオブカオスは、まるでグミを曲げたような感じにグニャグニャと変形し始めた。
やがてはボコッと膨らみ始め、人間の腕や胴体のような形になってゆく。
「こ、これが・・・」
『ロードオブカオスの正体か!?』
スバル達の見ている中、球体だったロードオブカオスは、その本来の姿へと変化した。
赤黒いライオンのような鬣に悪魔のような形相の顔、胴体部分はグリムゾンの塊が引っ付きあって形成されている。 そしてその胴体から伸びる手は、ロックマンやブライを飲み込んだ"手"そのものだった。
「『スバル!』」
「分かってるよ、熱斗君、ウォーロック! コイツを倒さないと、世界は闇に染まってしまう!」
スバルはそういうとバスターを構える。
「ロックバスタ・・・」
グオオオォォォ!!!!!
スバルがロックバスターを放つ直前、ロードオブカオスの突然の雄叫びが、電脳世界に響き渡った。 その雄叫びは突風を産み出し、傍にあったクリムゾンごと、熱斗達を吹き飛ばした。
「「『ウワアアァァァ!!!』」」
吹き飛ばされ、仰向けに倒れるスバル。 その近くで、ロックマンをしっかりと抱きしめた熱斗も倒れている。
『バ、バケモノめ、雄叫びだけでこの威力かよ・・・』
ウォーロックが吐き捨てるように言うと、ロードオブカオスを睨みつける。
「ッウ・・・熱斗君、大丈夫!?」
すぐに起き上がり、熱斗の元へ駆け寄ろうとするスバル
しかし、足を進めようとした瞬間、足に何かが引っ掛かって、前のめりに倒れそうになる。
「なっ!?」
スバルは、片膝を地面に付いて前に倒れるのを防ぐ。 倒れずに済んでホッとする間も無く、慌てて何かが引っ掛かった足を見て、息を飲んだ。
スバルの足首に、床に敷き詰められていた配線コードが何本か絡みつき、蛇の様にウネウネと動いていたのだ。
「何だ、これは!?」
「ス、スバル!」
スバルは自分の足元から熱斗に視線を変える。
熱斗とロックマンの体にも、床に伸びるコードが絡みつき、動きを封じられていた。
『スバル! 熱斗!』
ウォーロックが実体化して、その爪で、スバル達に絡みつくコードを引き裂こうとする。 だがウォーロックが引き裂くよりも多く、床に伸びるコードがスバル達に絡みつき、身動きが出来なくなっていく。
『クソッ、キリがねぇ!』
「ウォーロック、後ろ!」
スバルに言われ、後ろを振り向いたウォーロックは、とっさに眼前で両腕を交差する。
ウォーロックがスバル達に絡みつくコードに気を取られている内に、束になった他のコードが後ろから襲い掛かって来たのだ。
コードに押され、床に押しつけられるウォーロック。
「ウォーロック!」
「うでナビ!」
スバルと熱斗が叫ぶが、二人の体にもコードが絡みつき、身動きが出来ない。
そうしているうちに、熱斗達、四人の体は、配線コードが敷き詰められた床の中に引き込まれそうになる。
「ボク達ごとロードオブカオスの中に取り込むつもりなのか!?」
『冗談じゃねぇ、思い通りにさせるか!』
スバルとウォーロックは必死に体を動かすが、動いた分だけコードは体に絡みついてくる。
「クッ、ロックマン! 頼む、起きてくれ! このままじゃ全部終わっちまう、みんないなくなっちゃうんだ!!」
熱斗はロックマンに呼びかける。
すでに、熱斗達の体は胸までコードの中に埋もれていて、後数十秒で、完全に飲み込まれてしまうだろう。
「彩斗兄さん!!!」
「・・・・・・」
「・・・・・・ねっ」
「・・・・・・熱斗」
ロックマンの絞り出すような声が聞こえた瞬間、眩い光が、全てを包み込んだ。
ロックマンが意識を取り戻した!?
次回、第百話「願い」