艦娘?いいえ、不良品です。   作:バイオレンスチビ

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鳳翔さんと一緒

んん?

いつの間にか私は眠っていたようだ。

鳳翔さんの腕の中で…。

また迷惑かけてしまったのか。

 

「あら、起きたんですね?おはようございます。」

爽やかな鳳翔さんの声。

「おはようございます。」

 

「よく眠れた?」

 

「はい、お陰さまでぐっすりと。

ご迷惑おかけ「してないですよ?」…。」

にっこりと微笑む鳳翔さん。

「ありがとうございます。おか…鳳翔さん。」

あぶないあぶない。その間違えはダメでしょ。

とても恥ずかしい。

「ふふふ、どういたしまして。私の可愛い娘さん。」

本当に綺麗な人だ。

私の母は…

駄目だ。思い出すだけで震えてくる。

「どうしたの?」

やっぱり心配かけたくない。

でも、言わないと余計に心配しちゃうかな?

「いえ、

ただちょっと自分の母を思い出しただけです。」

嘘は言ってない。

「じゃあ、何故震えているの?

少しでも良いから教えて?私に貴女の過去を。」

 

「ふ、震えてなんていませんよ?

そ、そんなことより一緒にご飯にいきませんか?」

話をすり替えないと

「嘘が下手なのね…。

ご飯なら、作っちゃったわ

といっても、明石さんに言われたレシピだけどね?」

申し訳ないです…。

「すみま「違うでしょ?」ありがとうございます。

「はい、どうぞ召し上がれ」いただきます。」

鳳翔さんからスプーンをもらって食べようとするも、

手が震えて上手くいかない。

なんで?

なんでなんで?

なんでなんでなんで?

「ほら、震えてる。

しょうがないですね。はい、あーん。」

「ごめ…あ、ありがとうございます。」

結局

鳳翔さんに<あーん>してもらう事で

朝食を食べることができた。

鳳翔さん自身は、

寝ている私をおんぶしながら

ご飯を作って食べたらしい。

鳳翔さん…。

いつから私は、

赤ちゃんになったんですか。

私は一応、

身長は120くらいはあるはずですよ?

「軽すぎです。ちゃんと食べているんですか?」

食べられる量は食べているんですよ?

「はい(赤城さんが)。食べられる量は…。」

「頑張ってね?」

「はい。」

 

 

 

「ところで貴女のお母さんってどんな人だったの?」

どんな人か…。

わからない。何が正しいかわからない。

どう答えれば良い?

・・・。

スッ

袖を捲る。

「っ!!これってお母さんが!?」

火傷の痕

「煙草をよく吸う人でした。

あの人にとって私は灰皿でした。」

 

「…。酷い。」

 

「その上、

学校でも上手くいかなかったから」

腕をひっくり返した。

「これって…。」

元の肌の色が見えないくらいの無数の傷痕。

「毎日の日課でした。今日まで。」

 

「今日まで!?」

 

「私の長~い昔話。

本当に話して良いんですか?」


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