部長とシトリーのレーティングゲームが終了した。
結果は部長の勝利。
だが、こちらの陣営はギャスパー、アーシア、一誠と約半数を取られてしまった為、ゲームに圧倒的と言われていたグレモリー眷属は評価を下げた。特に、開始早々ギャスパーを失った事と、赤龍帝の力を宿した一誠がやられた事が原因だった。
しかし、俺と祐斗……リアス眷属の『
そして、俺はある部屋に訪れた。ノックをしてから入ると、その中にはサーゼクス様がいらっしゃった。
「わざわざ時間を裂いて下さって有難うございます」
軽く頭を下げようと、するがサーゼクス様は手で制した。
「そう堅くならないでくれ……早速だが本題に入ろうか」
「わかりました」
「大体の事はアザゼルから聞かされた。とりあえず、彼女が「
「有難うございます」
今度は感謝の言葉と共に頭を下げる。頭を戻すとサーゼクス様が言う。
「構わないさ、リアスの眷属の為を思っての事だからね。……これからも、よろしく頼むよ」
「ええ」
「それと、オーディン殿がまた会いたいと仰っていたね。面識が有るのかい?」
すると、サーゼクス様の雰囲気が変わる。話が変わったからか。
「はい、一度だけですが」
お付きのヴァルキリーさんも大変だろうな……セクハラ酷いし。まあ、時と場合は弁えてるから良いんだけどな。
「今、イッセーくんの部屋にいらっしゃるだろうから行ってくれないかい?」
一誠に会いに? まあ、赤龍帝だろうしな。
「わかりました」
そして、一誠の病室へと向かった。
*
そして、一誠の部屋をノックして開けると、一誠とリアス、帽子を被った隻眼老人……オーディン様がいらっしゃった。雰囲気的には、オーディン様が入った直後か?
「お久しぶりです、オーディン様」
軽く会釈して言う。
「久しぶりじゃの、ゼノン。あの時と変わらんの。やはり、長く生きているが若者の試合は素晴らしいのぉ」
すると、笑いながら髭を摩りながらオーディン様がそう言う。
「オーディン様ですね? 初めてお目にかかります。私、リアス・グレモリーですわ」
「この爺さんそんなに偉いの?」
すると、一誠が血迷った事を言う。……本当に言ってるのか?
「知らないのか? ……北欧の主神だ」
俺の言葉に一誠は驚く。いきなり名前だけでは正体がわからなかったらしいが……普通は、名前だけで分かるだろ。
「そちらがサーゼクスの妹じゃな、試合見ておったぞ。お主も精進じゃな。しかし、デカいのぉ……観戦中、ずーっと、こればかり見とったぞい」
オーディン様は部長の胸をやらしい目付きで見る。呆れていると、いつの間にか入室していた銀髪の女性がハリセンでオーディンを叩き怒り始めた。
「ですから卑猥な目は禁止だと、あれ程申したではありませんか! これから大切な会談なのですから、北欧の主神としてしっかりしてください!」
「……まったく、隙の無いヴァルキリーじゃて。わーっとるよ、これから冥界の悪魔、天使、堕天使、ギリシャのゼウス、
叩かれた所を摩るオーディン様……。しっかし、このヴァルキリーさんも元気だな。結構若そうなのに、お付きって事は優秀なんだろうな。
「……また、お付きのヴァルキリーが変わってますが……貴方も変わりませんね」
話し合い迄、時間が無いかも知れないが、オーディン様にそう言う。
「儂が変わらんのは、当たり前じゃろ。そうじゃな……このヴァルキリーはロスヴァイセというんじゃが、未だに嫁の貰い手がいない。ゼノンお主にはどうじゃ?」
……またか、二度目だぞ? 前回も言ったからな、この方。しかも、そのヴァルキリーさんは既婚者だったぞ? 対応した後にそのヴァルキリーさんに笑顔で怒られてたし……。
「勿体無いお言葉です。ですが、彼女の意思と言うものが……」
と、一度目と同じように言う。すると、オーディン様がニヤリと微笑む……何故だ? そこはつまらない奴だ、見たいな風になる筈では……
「な、何を言っているんですか!? それに、ゼノンさんも曖昧に返さないでください!」
すると、そう言って顔を赤くしながらアタフタとし始めたロスヴァイセさん。……まさか、本当?
「ほっほっほ、満更でもなさそうじゃな」
と、微笑みながら髭を摩るオーディン様。……取り敢えず、嫁の貰いて云々について、自分の考えを述べる。
「まあ、でも若いんですから、そう焦らなくても良いんじゃ無いですか? きっと、良い人が見つかりますよ」
……と言って、ズルズル独身になるってパターンも無くは無いが、心配させるのも可哀想なので野暮な事は言わない。
「そ、そうですか。見つかりますよね!?」
すると、そう言ってロスヴァイセさんが近づいてきた。……なんか、必死さが逆に微笑ましいな。
「ええ、絶対……とは言い切れませんが、基本的にオーディン様のお付きの方は結婚を期に代わってますから、大丈夫ですよ」
と言って、頭にポンッと手を乗せる。……撫ではしないがな、というか、自然に頭に手を乗せたな俺。直様、自然に手を離す。
すると、頭に手を乗せされてた事に気づいたのか、頭を直様下げた。……反応的には、恥ずかしかったのか? まあ、年下からこんな事されるのはな……。
……というか、今更だが俺の身長は其れなりに高い。大体……アザゼルより少し低いくらいか?
グレモリー眷属の中では一番高いな。身長と精神年齢から歳上に見られるのは良く有る事だ。一誠たちがそうだったようにな。部長が一番驚いてたような気もするが……。
「……ところで一誠は何故涙を流す?」
ふと、横を見ると一誠が涙を流していたので、質問を投げかける。
「やっぱり、イケメンは何をやっても様になるのか!?」
「……知らん、と言うかお前も人の事言えないだろ……」
お前がイケメンとして騒がれないのは、言動の所為だろう。……というか、部長はウンウンと肯定してるが、それは本人に直接言え。
「さて、そろそろ時間じゃの。最後に老いぼれの言葉を聞いてくれ、世は試練だらけじゃが、楽しい事もある。存分に楽しんで、存分に苦しんで前に進むのじゃ」
そして、オーディン様はロスヴァイセさんと共に部屋から出て行った。
*
冥界での生活は終わり、人間界へ戻ってきた。電車内では塔城が猫又の副作用でまるっきし猫になってたが……それ以外何事もなく、地下ホームに着いた。
そういえば、列車内で一誠が夏休みの宿題をしていたので、女性陣のアプローチの妨げにならない程度に手伝っておいた。……俺? 夏休み初日に終わらせたが? 悪魔って便利だな。徹夜可能なんだからな……。
列車を降りて直ぐに、アルジェントは優男……確かディオドラ・アスタロト……に言い寄られていた。何だ? 求婚でもするのか? ……ないな、したら馬鹿過ぎる。
「アーシア・アルジェント、やっと会えたよ……」
「あ、あの……」
「おい!アーシアに何の用だ!」
一誠はすぐに二人の間に入り、俺は話が拗れる前に用件を聞き出す。
「アスタロト家の次期当主、ディオドラ・アスタロト。何をしにここまで来たのでしょうか?」
「……ああ! 思い出した。若手悪魔の会合でいた!」
一誠がそう言う。すると、ディオドラ・アスタロトは胸元を開き……
「アーシア、僕はキミを迎えに来た。会合の時、挨拶出来なくてゴメン。でも、僕とキミの出会いは運命だったんだと思う。僕の妻になって欲しい。僕はキミを愛しているんだ」
と、アーシアに求婚した。……何で冗談で思った推測が当たるんだよ……!? というか、こいつは次期当主にしても、何なんだ、いきなり胸元開いて? 変態か?
こうして、夏が終わり、秋が始まろうとしていた。
……新たな次の段階へと……
本文で出ましたが、ゼノンはゼノヴィアより身長は高いです。
次回は原作沿いの6巻です。
メインヒロイン兼、一誠の(自称)幼馴染の登場。