まさかこいつに憑依するとは   作:Aqua@D

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祝お気に入り1000件突破! これからも頑張って投稿していきますので、どうか宜しくお願いします。

……記念に特別話を書く……予定です。あくまで予定ですので期待せずに。


What is practice? Ⅲ

一誠はダンスの練習の為に別館へ、俺は本邸に移動した。すると、そこには部長がいた。

 

「ゼノン、話は聞いてるわ」

 

「ああ……塔城は?」

 

先ず訊ねる。部長もアザゼルから聞いているからな。

 

「今は疲労も気持ちの整理も落ち着いて、朱乃が看ているわ」

 

「そうか、案内して貰えるか?」

 

「ええ。でも、その件についてあの時にでも一言話してくれたら良かったじゃないかしら? 私は貴方たちの「(キング)」なのよ? 少しくらい頼って貰っても良かったんじゃないかしら?」

 

……そこを指摘されるのは痛いな……信頼してないわけじゃ無いんだが、言った所でどうしようも無かったしな。

 

「……それについてはすまん。だが、ここまで御都合主義に事が進むとは思っても見なかったからな」

 

とりあえず、その場を凌ぐ。

 

「それもそうね……」

 

そして、部長の先導で塔城のいる部屋へと向かった。

 

 

 

 

 

「失礼するぞ……」

 

ノックをしてから中に入る。ベッド脇には姫島が待機しており、ベッドには塔城が横になっていた。頭部に猫耳が生えていたのは、猫又の性質だからな。確か、体力がなくなると出てくるんだったな。

 

「調子はどうだ?」

 

「……ゼノン先輩……」

 

塔城が何か言いたそうな表情を見せたので、姫島に一言告げる。

 

「姫島、少し席を外して貰えないか?」

 

姫島は俺を一瞥して頷くと部屋の外に出た。そして、それを確認した後、塔城が口を開く。

 

「……先輩」

 

「どうした?」

 

「私は、先輩たちのように心と体を強くしていきたいたいんです。だけど、猫又の力は使いたくない……使えば私は……姉様のように……と思ってました」

 

塔城の告白を静かに聞く。

 

「だけど、黒歌姉様は力に飲まれた訳じゃなくって、私を守る為に……」

 

「そうだな……」

 

そして、沈黙が訪れる。……数分後、俺は口を開く。

 

「黒歌から言葉を預かっている……“あの時に連れて行けなくってゴメン。貴方は貴方の道を進みなさい”だそうだ」

 

「……黒歌姉様……」

 

塔城の瞳にうっすらと涙が光る。

 

「それと、俺が言える立場じゃないが……困ったら仲間を頼れ。後は、これだ」

 

亜空間から一つの書物を取り出し、塔城に手渡す。

 

「……これは?」

 

「仙術についての書だ。黒歌直筆だからな。残念ながら俺に仙術の才能は無かったがな……。それと、黒歌のはぐれ解除の件は少しだけ待ってくれ……時間の問題だろうがな」

 

俺に仙術の才能は無い。黒歌の書物の内容は理解出来たんだけどな……。

 

「……ありがとうございます」

 

「じゃあな、後で一誠が来るとは思うがな」

 

俺は部屋を後にした。そして、ドアを閉めると口を開く。

 

「聞いてたのか?」

 

ドアの近くには姫島が立っていた。……まあ、席を外してくれ、としか言ってないからな。

 

「ええ」

 

「……心配事は俺の性分じゃ無いんだけどな……こういうのは一誠の仕事だ」

 

本当に心配事は俺の柄じゃないんだよな……アドバイスは出来るがな。というか、一誠の仕事とは言い過ぎか?

 

「私も……」

 

「ん?」

 

「私も、受け入れなければいけないんでしょうね。自らの力を……」

 

姫島が呟く。

 

「おいおい、だからそれは一誠の仕事だからな。……だが、一つだけ言えるのは、家族がいるだけ幸せだと思うぜ?」

 

そして、俺はその場を去った。

 

前世では家族が居た分余計にそう思えて来るな。肉親がいるのといないのじゃあ全然違うからな……まあ、親が碌でなしじゃ話は違うけどな。

 

 

 

 

修行五日目……

 

次に俺は一誠と共にタンニーン様と修行をする事になった。

 

「それでは、よろしくお願いします」

 

律儀に頭を下げる。

 

「ああ、頼まれたからにはな。内容は赤龍帝の小僧と同じ……より厳しめで大丈夫か?」

 

「ええ、構いません」

 

そう言うと、タンニーン様は満足気に頷くと口を開いた。

 

「よく言った! まあ、赤龍帝の方も段々厳しめにしていくがな」

 

「うえぇぇぇぇぇぇぇ!?」

 

近くにいる一誠が叫ぶ。

 

「さて……始めるぞ!」

 

すると、タンニーン様は大きく息を吸い込む。……これはもしかしなくてもそうだよな。

 

「一誠……は?」

 

ふと、横をみると一誠がいない……逃げんの早過ぎじゃないか? まあ、やる事は変わらないがな……!

 

「デュランダル! ジュワユース!」

 

瞬間的に聖なるオーラを両剣に込める。

 

「切り裂けッ!」

 

そして、タンニーン様の放つブレスを掻き消すように斬撃を飛ばす。

 

斬撃は、タンニーン様には当たりはしたが、大したダメージにはなっていなく感心したような声を出した。

 

「……ほう、今のを切り裂くとは……」

 

「小手調べの最初の一撃で溜めも見られなかったので、切り裂くのは可能だと判断したまでですよ」

 

それに、二人も同時に相手に取るんだから多少は威力を犠牲にしても範囲を広げるだろうしな。

 

「謙遜するな、普通なら切り裂こうとはしまい……」

 

そんなものかね? というか……

 

「回避したら貴方に一撃与えられませんからね……」

 

狙える時に狙わないのは愚かだからな。それに、今後は攻め込めるかわからないしな。

 

「さて、仕切り直しといこうかッ!」

 

そい言って龍のオーラを高めるタンニーン様。

 

「ええ!」

 

それに、応える様に俺も魔力と気を合成し、肉体強化と聖剣のオーラを高める。

 

……そして、タンニーン様との殺合い(模擬戦)はアザゼルが様子を見に来る三日後まで続いた……

 

「え、まさかの俺スルー? ……って、火炎弾が!」

 

……一誠の事をすっかり忘れていたのは内緒だ。

 

 

 

 

タンニーン様との数日間の修行後、俺は一日の休養を入れた後に祐斗の修行場所へと足を運んでいた。因みにタンニーン様からは、様付けは要らない……と言われたので、普段はさん付けにした。心の内では様付けだけどな。……え? アザゼル? アザゼルはアザゼルだろ? 何を今更。「|閃光と暗黒の龍絶剣《ブレイザー・シャイニング・オア・ダークネス・ブレード》総督」に様付けはな……。

 

「始めまして、祐斗と同じ「騎士(ナイト)」のゼノンです」

 

それは兎も角、俺は祐斗の師匠である人……悪魔に挨拶をしていた。

 

そういや、言ってないし、言う場面も無かったから言わなかったが普段は日本語で話してるからな? 幾ら悪魔にそう言う能力が有るとはいえ、最初は人間だったからな。数ヶ国語は普通に話せるし、読み書き出来るぞ? 魔術にそういうの(翻訳魔術)が有るがそれに頼り切るのは……って感じだったからな。

 

「始めまして、沖田総司だ。話は聞いているよ、早速見せてもらおうかな」

 

といって、沖田総司様は離れるが、構えはしない。何故なら……

 

「じゃあ、戦るか。祐斗」

 

「お手柔らかにね」

 

と、今回は祐斗と戦うからである。……理由は、タンニーン様との模擬戦に日にちをかけ過ぎた所為だ。……俺、戦闘狂だったっけ?

 

祐斗と俺は聖魔剣を両手に構える。俺が聖魔剣を使うのは、理由が二つある。一つは、今回の模擬戦が何でも有りでは無く単純に剣技だけのみのものだと言う事。もう一つは祐斗の禁手(バランス・ブレイカー)の維持時間の具合を見るため。……まあ、この模擬戦の時間ぐらいは四本創造程度なら大丈夫だろう。俺も変に聖魔剣に負荷はかけないしな。

 

そして、同時に駆け出し鍔迫り合う。剣自体の性能は同じ……ならば、純粋な力と剣の腕が勝敗を決める。

 

「ハァッ!」

 

祐斗の連撃を紙一重で躱しながら考える。

 

……祐斗は力ではなく、テクニックで戦うタイプだ。「騎士(ナイト)」も特性でもあるスピードによるヒット・アンド・アウェイを得意とする。以前は魔剣しか創造出来ず、多種の属性で弱点を探り、削りながら倒すのが主軸だった。反面、防御面はからっきし低い。まあ、そういう特化型だから問題は無いんだが。その為、耐えられて一撃でKOなんてのも有り得るわけだ。

 

防御面はさておき、攻撃面に関しては禁手(バランス・ブレイカー)に至った事によって大分解消された。聖魔剣は、聖と魔の異なる二つの属性を兼ね備えた剣。威力はそんじょそこらの聖剣・魔剣を凌ぐ。それに加え、『聖剣創造(ブレード・ブラックスミス)』の神器(セイクリッド・ギア)もあのコカビエルの一件から使えるようになっている。精度に関しては、要検討だが時間が経てば禁手(バランス・ブレイカー)の同時使用も不可能では無いと踏んでいる。

 

とまあ、祐斗について考えたが勝つのは不可能では無い。……ただ、純粋な剣技だけだと辛いところだ。前回というか、コカビエルの一件の時に戦ったときは、何でも有りで祐斗の精神状態が万全じゃなかったから圧勝出来たんだよな。……まあ、負ける気は無いがな。

 

「考え事とは余裕だね!」

 

「別に余計な事じゃないからな!」

 

そして、一気にどちらも近寄り相手の首筋に剣を迫らせた……!

 

「「そこだッ!」」

 

「そこまで!」

 

沖田総司様の声と同時に俺達の動きが止まる。……正確に言えば、声を聞く前にどっちも止まってたけどな……互いに相手の首筋に剣を突きつけあった状態で。

 

……やっぱり、肉体強化や魔術や魔法を使わないとこの程度か……。如何せん、悪魔の身体ってのにも慣れきれて無いからか?

 

「さて、どうでしたか?」

 

取り敢えず、ご指導して貰うか……。

 

 

 

 

時は過ぎ……8月15日、シトリー眷属との戦いまであと5日となった。

 

ゲーム前にも魔王主催のパーティがあるので、修業は今日までとなる。……自分的には色々得るものがあったら修行だったと思っている。レーティングゲームでは使えないが、ある切り札も有るしな。

 

「どうですか?」

 

そして、祐斗と俺はある修行の成果をアザゼルに見せていた。……時間は限られていたが、自身はある。

 

「……大丈夫じゃないか?」

 

アザゼルからOKを貰ったので、そのままグレモリー本邸に向か……おうと思ったが、シャワー浴びる必要があったので、解いて本邸に向かった。

 

そして、本邸前でタンニーン様によって山から送られた一誠と合流すると、シャワーを浴びて着替えた。その後、全員が一誠の部屋に集まって修業の報告会を行った。

 

修業の内容を話したところ、女性陣からは俺たち男性陣(ギャスパーを除く)の内容に引いていた。

 

「あの先生、なんか俺、酷い生活を送ってませんか……? まあ、祐斗たちは祐斗たちで修行内容が酷いけど……」

 

酷いって、どういう事だ。……というか、女性陣も頷くな。

 

「俺もお前が山で生活出来ていたから驚いたよ。まさか普通に山で暮らし始めていたとは俺も想定外だったぜ。ゼノンや祐斗の修行内容は、近いうちにお前と祐斗、お前とゼノンとかでやらせるつもりだからな」

 

「えええええっ!? マジっすか!? 俺死んじゃいますよ!?」

 

アザゼルの発言に一誠が叫ぶ。

 

「大丈夫だ、最初は手加減させるさ……最初はな」

 

そうだな、最初は手加減するさ……最初はな。祐斗との模擬戦も最終的には何でも有りになったしな。……勿論、勝率は俺が上だったが。まあ、使う武器が反則級だからな。

 

「いゃぁぁぁああああ!」

 

一誠の絶叫が響き、皆が苦笑する中、今回の修行は終わった。




やっとですが、終了までのプロットは完成致しました。予定では原作のギャスパー編とオリジナルの??編で終了予定です。……何時完結するかは不明ですが。

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