まさかこいつに憑依するとは   作:Aqua@D

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変な所で終わっていますが、短編なので問題ない←
連載予定は未定。というかチラシ裏の方が良かったか?

@6/29 追記

Who is the heroine?+What is a hero setup?(随時更新)削除。
ヒロインに関しては活動報告に追加。



月光校庭のエクスカリバー
Who is he?


「うーん、久しぶりね!日本!」

 

「……はしゃぐな、今回は観光で来たのではない」

 

と、栗毛の女性と青髪の男性(・・)が話している。二人とも

十字架を胸に下げていている上に男性の方は修道服を着ている為、教会関係の人物である事がわかる。

 

「そうね、それでどうするの?」

 

「出発前にこの町を管理している魔王の妹たちに手紙を送ってある。まずは、そいつらの本拠地へ向かう」

 

男性の言葉に栗毛の女性が反応し、申し訳そうな表情になる。

 

「……えーっと、直ぐに?」

「直ぐにだ」

 

即に返事をする男性。

 

「……よって行きたい所があるんだけど……ダメ?」

 

しかし、女性の方は引かない。

 

そういえば、幼馴染がこの町にいる……という事を前に何回も話されたのを思い出した男性は渋々折れた。

 

「……仕方ない、1時間だ。それまでは自由行動だ、終わり次第目的地である駒王学園で集合だ」

 

「……ありがとー!じゃあ、行ってくるね!」

 

バビューン!と住宅街に駆けて行った女性を見て男性は小さく溜息をついた。

 

「……何処で時間を潰すか……」

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

どうも、あと一時間は暇なゼノンだ。

 

実は憑依なんて事を経験している元一般人です。寝て起きたらこのゼノン君、当時5歳に憑依してた。

 

しかも、物騒な世界で悪魔やら堕天使、天使がいる事をすぐ知った。

 

何故かって?何でも俺は天然の聖剣使いらしく、すぐに裏について教わったからだ。

 

しかし、ここが教会だからという事もあるが「悪魔や堕天使は消毒だ、ヒャッハー」的な人物が多い。そのせいか、何だか元一般人の俺は教会では浮いていた。

 

まあ、でもこのゼノン君のスペックは高く、数年でそれなりの強さまでなって『破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)』を使わせて頂く事になった。

 

そんな中、俺がゼノン君に憑依して十年くらいがたった時に教会のお偉いさんから任務を依頼された。

 

なんか、俺と紫藤イリナっていう憑依後に出来た友人だけで行くように……って言われたので目的地である日本に来たんだが、イリナには振り回されっぱなしだな……。

 

と、考えながらあるいていたら何も変哲もない公園についた。

 

特にする事も無いので、ベンチに座り時間が経つのを待っていると暫くして黒髪の眼鏡をかけた女性が近づいてきた。

 

多分、現魔王の一人のセラフォルー・レヴィアタンの妹、ソーナ・シトリーだろう。

 

俺が立ち上がり片手で人払いの結界を貼るとソーナ・シトリーらしき女性は警戒しながら話しかけてきた。

 

「貴方は、もしかして先日送られてきた親書の差出人ですか?」

 

「ああ、そうだ。……そこまで警戒しなくても良い、ベタだが“神に誓って”私たちからは貴方たち悪魔には剣を向けない。それでどうしたのかね?」

 

神を信じていない俺がこんな事をいうのは馬鹿げているが、そんな事知らない悪魔さんの為に言っておく。すると、若干だがソーナ・シトリーの警戒が薄れる。

 

「いえ、ただあまりにも奇妙な人物がいたからです。詳しい話はリアス・グレモリーとお願いします」

 

「ああ、そのつもりだ。そうだ、リアス・グレモリー殿にあと一時間後にそちらに向かう、と伝えてくれ」

 

さっきから時間は経っているが、どうせイリナの事だから遅れるだろうから若干時間を伸ばしておく。

 

「ええ、わかりました」

 

話が終わったので人払いの結界を解除する前にソーナ・シトリーは目的地である駒王学園の方に転移した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、栗毛の女性……紫藤イリナと合流した俺は目的地である駒王学園の旧校舎にあるオカルト研究部に足を運んだ。

 

そして、俺はオカルト研究部と書かれたプレートの掛けられた扉をノックして口を開いた。

 

「教会から派遣された者だが、こちらがリアス・グレモリー殿の部室か?」

 

「ええ、入ってちょうだい」

 

「失礼する」

 

リアス・グレモリー本人からの許可がおりたので入室する。

 

部屋内には、紅髪の女性……リアス・グレモリーを護るように五人の男女が後ろに控えていた。

 

彼らがグレモリー眷属だろう。しかし、何であの金髪のイケメン君はこっちを親の仇を見るみたいに睨んでるんだ?わけわからん。取り敢えず、自己紹介でもしとくか。

 

「お初にかかる、リアス・グレモリー。そして、その眷属達。私の名はゼノン、そして隣の女性は紫藤、紫藤イリナだ」

 

イリナが流石に魔王の妹の前だからか律儀に頭をさげる。

 

「さて、本題に入ろう。簡潔に言うならばエクスカリバーが盗まれた」

 

「何ですって!?」

 

リアス・グレモリーが驚く。

 

「話を続ける。主犯は『神の子を見張る者(グリゴリ)』の幹部コカビエルだ。そのコカビエル達は日本に逃れ、この地に持ち込んで来ている」

 

すると、リアス・グレモリーの表情が険しくなる。が、ほっといて話を続ける。

 

「今回奪われたのは『天閃の聖剣(エクスカリバー・ラピッドリィ)』『夢幻の聖剣(エクスカリバー・ナイトメア)』『透明の聖剣(エクスカリバー・トランスペアランシー)』の三本だ」

 

聖剣の名前を告げると金髪でない方のグレモリー眷属の男……確かイリナの幼馴染で兵藤一誠が疑問の表情を浮かべる。

 

すると、隣の黒髪の女性がエクスカリバーについて小声で説明する。それが終わってから亜空間から一本の剣を取り出す。

 

「そして、これが残るエクスカリバーの一つ『破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)』だ」

 

「え?いいの、見せちゃって?」

 

「ああ、構わない」

 

「じゃあ、こっちが『擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)』よ。能力はこうやって形を自由に変える事ができるの」

 

イリナが聖剣の形状を変えながら説明する。それが終わるとリアス・グレモリーが口を開いた。

 

「それが堕天使の組織に奪われるなんて、とんでもない失態ね。しかも、聖書にも乗っている堕天使の幹部がでてくるなんてね」

 

「私たちが来る先日から奴らの動向を探るためにこの町に神父……悪魔払い(エクソシスト)を秘密裏に潜り込ませてもらっていたが……成果は無し、寧ろ彼が始末されてしまった」

 

兵藤が何だか難しそうな表情をしているが大丈夫か?

しかし、そろそろ本題に入るか。

 

「今回こうして貴方達と会話をしているのはこの地をグレモリーが所有し、管理しているからだ。」

 

「……何が言いたいの?」

 

「ああ、単刀直入に言おう。この事に関しては貴方達、悪魔は一切介入しないでほしい」

 

すると、リアス・グレモリーは眉根を寄せる。

 

「……つまり、あなた達は私たちを疑ってるわけね。私たちが堕天使と手を組んで聖剣をどうにかすると」

 

「あくまで可能性の話だが、そう思っても仕方ないだろう?実際、神側から聖剣を取り除ければ、堕天使だけではなく、悪魔側にも利がある。我らは戦争こそしていないが、基本的には敵対しているからな……」

 

実際、元一般人の俺は何故いがみ合うのかがあまり理解できないがな。

 

「……という事は、貴女方は2人だけで堕天使の幹部からエクスカリバーを奪い返すつもりなの?下手したら死ぬことになるわよ?」

 

「大丈夫よ」

 

「同意見だ。死ぬかもしれんがな……その時はその時だ」

 

恐らく人数的に厳しいものがあるが何とかなるだろう。最悪、グレモリー眷属に協力を要請すればいいだろう。コカビエルの目的が当たっていれば協力せざるを得ないだろうし……。

ゲスいな俺の考えは。

 

「……っ!死ぬ覚悟でこの日本に来たというの?相変わらず、あなた逹の信仰は常軌を逸しているのね」

 

「我々の信仰をバカにしないでちょうだい、リアス・グレモリー。ね、ゼノン?」

 

いや、信仰の事を俺に言われてもな……。

 

「……教会からは堕天使に利用されるぐらいなら、エクスカリバーが全て消滅しても構わないと言われた。私達の役目は最低でもエクスカリバーを堕天使の手からなくす事だ。それに、今回の件はエクスカリバーを熟知している私たちが適任だろう」

 

とりあえず、イリナはスルーして言いたい事を言う。

 

「さて、そろそろお暇させて貰う。イリナ、行くぞ」

 

そして、話が途切れて終わった為退室しようとイリナに声をかける。

 

「そう、お茶は飲んでいかないの?お菓子ぐらいは振舞わせて貰うわ」

 

「ご好意感謝するが……ん?数奇な運命だな、こんな所で会えるとはなアーシア・アルジェント」

 

兵藤に隠れて見えなかったがよく見るとアーシア・アルジェントがここにいるとは驚いた……行方不明と聞いてたが、まさか生きてるとは。

 

「貴方が噂になっていた『魔女』になった元『聖女』さん?まさか悪魔になっているなんて思ってなかったわ」

 

『聖女』や『魔女』という言葉に反応するアルジェント。やはり、好きで崇拝されていたんではないという事か。

 

「それで、アーシアは悪魔になっても主を信じているのかしら?」

 

「……捨てきれないだけです。ずっと信じてきたものですから……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうか、至極どうでもいいことを聞いて悪かったなアルジェント」

 

「は?」

 

 

俺の発言に驚くグレモリー眷属たち。

 

「どうした、反応が予想外だったか?まさか『ならば、今すぐ私に斬られるといい。罪深くとも、我らの神ならば救いの手を差し伸べてくださるはずだろう』なんて台詞を言って欲しかったのか?」

 

態々、聖剣を亜空間から取り出して言う。

 

「……」

 

まだ呆然としているグレモリー眷属たち、そんなに意外だったか?

 

「イリナも謝罪しろ、好きで『聖女』や『魔女』と言われてたのでは無いだろう」

 

「あ、うん。ええと、ゴメンね、アーシアさん」

 

こいつも、昔は陶酔か狂信と言っていいほどに神に固執していたが、俺との付き合いで大分マシになったがたまに行き過ぎる時が有るからな。

 

「あ、いえ、大丈夫です」

 

「さて、本当においとましなければならないのだが……少しいいかな、リアス・グレモリー?」

 

「え?」

 

やっと戻ったリアス・グレモリー、だがそれよりも先に戻った奴が凄く殺気立ってるのが気になる。

 

「そこの金髪の彼が殺気立っているのだが、どうにかできないか?最後まで変わらなかったからな……少し気になってな」

 

「あ、祐斗は……」

 

へえ、祐斗っていうのか。まあ、いいか金髪君で。

 

「あぁ、祐斗と言うのか。では祐斗君、何故そんなに殺気立っているんだ?収まる術があるのなら協力は惜しまないが?」

 

やば、大分挑発的になってしまった。案の定、金髪君は更に殺気立って声を荒げた。

 

「戦え!僕と!」

 

「は?……まあ、リアス・グレモリーに実力を見せておくのも有りだろう。模擬戦という形でいいかな、リアス・グレモリー?」

 

なんだ、よかった。斬らせろとか言われたらどうしようかと思ったが、戦うだけなら簡単だ。対した実力を持っていないだろうし、何より精神が安定していない。

揺さぶればボロを出すだろう……ってやっぱり考えがゲスいな、俺。

 

「……わかったわ。朱乃、結界を校庭に。」

 

 

 

 

 

 

 

 

さっきも兵藤にエクスカリバーについて説明していた黒髪の女性……『雷の巫女』姫島朱乃がはった結界の中に入り金髪君と向き合う。

 

 

「さて、なぜ君はそこまで……」

 

「キミ達の先輩だよ……失敗だったそうだけどね」

 

先輩で聖剣に怨みを持っている?

 

「ああ、君は『聖剣計画』の犠牲者の一人で処分を免れた者か……ならばこの聖剣に憎しみを持つのは無理もない」

 

「知ったような口を聞くな!」

 

同情しても怒るのか、ならば簡単にボロを出すな。

 

「……私は、何も言わない方がいいか。なら、始めよう」

 

そう言うと、すぐさま祐斗と言われた金髪の魔剣使いが突っ込んできた。

 

「僕の力は無念の中で死んでいった皆の思いの結晶、この力で聖剣所有者を倒して、聖剣を破壊する!」

 

それを『破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)』により破壊して捌き、ワザと聖剣を地面に突き立てる。すると、轟音と共に地面が抉れた。

 

「クレーターが出来た!?」

 

何故か驚いている兵藤一誠。この程度なら素手(・・)でも可能なんだが?

 

「真のエクスカリバーでなくともこの破壊力。七本全部を消滅させるのは修羅の道か……」

 

すると、新たに魔剣を創造して突っ込んでくるので、それも同様に『破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)』により破壊して捌き、距離をとる。

 

「憎しみを持つのは無理もない……が、それでは聖剣の破壊は愚か今の俺にすら勝てないぞ?」

 

「うるさい!」

 

そんな地味な精神攻撃をいれつつ金髪が創り出したさっきより大きめの魔剣を俺が破壊して距離をとる、というのを繰り返した。

 

そろそろ、リアス・グレモリーに実力の一片を見せて終わらせようとした途端に金髪君が

 

「君の聖剣の破壊力と僕の魔剣の破壊力。どっちが上か勝負だ!」

 

と言って金髪の手にはそれなりの禍々しいオーラを放ち、2m以上の巨大な魔剣を創造した。

 

さて、丁度良かった。金髪が魔剣を振りかぶってきたのですぐさま『破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)』を亜空間に戻し、拳に聖なるオーラを宿し迎撃する。

 

 

 

 

 

バキン!

 

 

 

 

 

金髪の魔剣が折れた。

 

 

「残念だったな、憎しみにとらわれずに君の持ち味を生かせればまだマシな模擬戦になっただろう」

 

そして、そのまま背後に周り手刀

で金髪君を気絶させる。

 

そして、驚いた顔をしたグレモリー眷属たち……の近くにいるイリナに近づく。

 

「さて、イリナ戻るぞ。それでは、リアス・グレモリーとその眷属たちまた会おう(・・・・・)。」

 

「え?」

 

訳がわからない、と呆然とするリアス・グレモリーに背を向けて俺たちはこの場を去った。

 


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