リリなの短編倉庫集   作:オウガ・Ω

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第二話 鷹流ー剛拳のオウルー

皆様、お久しぶりです…今回はタカヤ様の曾祖父、秋月オウル様のお話です

 

 

歴代継承者の中で長く生き、タカヤ様が3歳の時に亡くなられましたが。皆様の目からオウル様はどう見えるのでしょうか?超巨大企業《アキツキインダストリアル》を創設した企業家としての顔を持ち、魔戒騎士として質実剛健、好々爺にも見えることでしょうが……

 

 

コレから話すのはオウル様のやんちゃをしていた時期と、タカヤ様に看取られるまでの二部構成の特別編となります

 

 

ではごゆるりとお楽しみください

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

162年前 アキツキ屋敷

 

 

 

「鷹流、どこに行く」

 

 

「オレがどこ行こうが関係ねぇだろうが……」

 

 

「オウルさま、旦那様も落ち着いてください!」

 

 

 

二人の間を取り持とうとするもデルクの声は届かない。ズタ袋を肩に掛けた青年と白銀の髪に鋭く血の色のような赤い瞳、整えられた顎髭、黒鉄色のコートを身につけた40ぐらいの男性が歩み寄るや否や肩を掴み止めた

 

 

「お前の訓練は終わってはいない…さあ、屋敷に戻るんだ」

 

 

「…………テメェはいつもそうだ。魔戒騎士を継げだの、ホラーを倒す為の訓練ばかりやらせやがって……正直、うんざりなんだよ!魔戒騎士なら他のヤツに継がせろよ!」

 

 

 

「待てオウル!正統の血を引くお前にしか…」

 

 

 

「正統の血、正統の血………うっせんだよ!オレのオヤジを殺したあんたの跡なんか……白煌騎士なんか継いでたまるかよ!離せよ!!」

 

 

肩を掴む手の力が緩むと同時に振り払い振り返らず屋敷の外へと走り出した鷹流を初老の男性……第七代オウガ継承者《秋月狼真》は振り払われた手を開き見ながらぎゅっと握りしめた

 

 

「………オウシュウ兄者、リム義姉様…………私には…」

 

 

「ロウマ様……」

 

 

激しい後悔の念に満ちた背中をただ見ることしか出来なかった

 

 

第二話 鷹流ー剛拳のオウルー(前編)

 

 

 

「さて、どうすっかな………っとその前に腹ごしらえするか」

 

 

黒い髪をガシガシかきながら歩く2メートルを超える長身の青年《秋月オウル》が来たのは《ある都市》…都市にしては治安が悪いように見え、通りすがる人々も覇気がない…やがて市場と思わしき場所へとつくと人の数が一気に増えた

 

 

「ん、人が多いな………なんだアレは…す~~~~くんく……いい匂いだな」

 

 

 

市場の端にある壁にある屋台からいい匂いがすると感じ歩き出すと手押し車と家が合体し、入り口に赤い旗?に見たことの無い文字が並んでいる…迷わず入ってみると粗末な木のテーブル、前には寸胴が2つ収められている

 

 

「らっしゃ~い、何を食べるんだいあんちゃん?おすすめは《らぅめん》だよ」

 

 

 

「……ら~ぅめん?なんだソレ?」

 

 

「あんちゃん?まさか《らぅめん》を知らない?……人生損してるよ~まあ、百聞は一見にしかず、たべてみるかい?」

 

 

 

「あ、ああ頼む」

 

 

「あいよ~」

 

 

 

左側にある引き出しから、細打ち麺をとり湯が張った寸胴へと入れ、薬味ネギ、チャーシュー、飴色の煮卵をとりスライス、あらかじめ湯を入れ暖めていた丼からお湯を捨て、タレ醤油をすうと流し琥珀色に輝くスープを注ぐと同時に麺を金網に素早く掬うと上下に振るい湯きり入れた。最後に菜箸でチャーシュー、煮卵、薬味ネギ、不思議な形のナルトを盛りオウルの前に静かに置かれた

 

 

「リナルディ特製ラーメンだ、さあ、お上がりよ」

 

 

自信満々な笑みを浮かべ進めてくる主…恐る恐るレンゲにスープを掬い口へと入れた瞬間、雷が走った。手にした箸で麺を一気にすするよう食べていく…

 

 

(う、ウメェ!デルクの料理に匹敵するじゃねえかよ!!スープは鶏肉、豚肉、キャベツ、人参、玉ねぎの旨味と甘味が溶け込み、麺は多加水麺で寝かせているからツルツルしこしこと喉ごしがたまらない。双方の持ち味が見事な調和!チャーシューはジューシーかつ柔らかい、煮卵は半熟ながらしっかりと味が染み込んで、薬味ネギは味の引き締め、いや収斂しさらなる高みへと昇華させている……うめぇ…………うんまああああああああああい!!」

 

 

 

いつの間にか空になった丼を握りしめ叫ぶオウル…未知の味に酔いしれ恍惚の表情を浮かべる姿に屋台の主は引くどころか笑みを浮かべていた

 

 

「そいつは良かったぜ。しかし、あんちゃんはここじゃ見ない顔だな~この街にははじめてかい?」

 

 

「……ああ」

 

 

「だったら悪いことはいわねぇ…早く出るん……」

 

 

 

「よう、繁盛してるみたいだなあらぅめん屋台?」

 

 

「オレらにも一杯喰わせろよ~ヘッヘッヘッヘ」

 

 

 

暖簾越しに聞こえた声と共に現れたのはモヒカンに全身に鎖、鼻にピアスと入れ墨、プロテクターをつけたならず者達が顔をのぞかせ見回す。ちらっとオウルをみてげひた笑いをあげる

 

 

「今日は客は一人だけか?儲かんないよなあ」

 

 

「店なんか畳んじまって、オレらの為にメシを作れよ~はっはっは~」

 

 

 

「断る」

 

 

「ああ!?なんっうた?オレら《Shoot》に逆らうのか?」

 

 

「俺のらぅめんはこの街の皆に食べてもらうために作っている。食べてくれた人の明日への活力になるように魂を込めて作ってんだよ。おまえたちみたいな盗賊に喰わせるらぅめんはねぇ!!」

 

 

「いうじゃねえか…なんならこのガラクタ屋台?ぶっこわしてやるよ。ヒャッハアアアア!!」

 

 

腰にぶら下げていた巨大なまさかり、とげ付き金棒を構え屋台へ叩きつけようとしたが、肘が誰かに押され隣にいたモヒカンの顔面にたたきつけろれた

 

 

「な、なんでぇ?あいだ……」

 

 

「な、おいテメェが押したのか?」

 

 

「いや、オレじゃない……ほら」

 

 

「そうだよな、手がふさがってるよな~」

 

 

顔面をへこませ倒れたモヒカンをみてオウルに突っかかるも、ラーメン丼と箸を両手に持つ姿に納得し再び屋台を破壊するべく、まさかりを振るい腕を下ろすが再びナニカに押され地面へと深々と突き刺さった…プルプルと震え立ち上がるや否や再びオウルに向き合った

 

 

 

「や、やっぱりテメェか!!」

 

 

 

「いや、だから…ほら?」

 

 

 

「あ、そうか~両手がふさがってるよな…………って脚があるだろ…ぐぺら!?」

 

 

 

「気づくのが遅ぇよ………なあアンタらも、この屋台を壊すのか?」

 

 

「あん?なんだよテメェ見かけない顔だな~」

 

 

 

「答えろよ…」

 

 

「なら答えてやんよ!オレら《Shoot》に刃向かう奴らは皆殺しタイムやるんだからよ…リナルディ、恨むならテメェの頑固さをうらめぇ!!」

 

 

 

いつの間にかに意識を取り戻したモヒカン、そして周りに数十人のモヒカンが取り囲んでる…オウルはゆっくりと暖簾をくぐりぬけ溜め息混じりに息を吐いた

 

 

「ふう……オヤジ、少し暴れるがかまわないか?」

 

 

 

「お、おい、アンタ」

 

 

 

「へ、強がってんじゃねえよ!よそ者があああああ」

 

 

 

頭にホッケーマスクを被ったモヒカンがチェーンソーを大きく構え切りかかってきた…回転する刃がオウルの腕を切り裂こうとした…が、次の瞬間

 

 

「オラアッ!」

 

 

「く、クッパア!?」

 

 

堅く握られた裏拳がホッケーマスクを砕き、鼻柱をつぶされ血をまき散らしながら勢いよく吹き飛ばされ壁をぶち抜き消えた…あまりの光景にモヒカン達、リナルディは息を呑むなかで首をゴキゴキならし指を鳴らした

 

 

「………テメェら、ここの屋台の主人が文句があるみたいだな……屋台の主人の文句はオレにいえ!!」

 

 

「リ、リーダー」

 

 

「怯むな!まずはあのよそ者からつぶせ!!」

 

 

 

「「「「ヒャッハアアアア!!」」」」

 

 

 

リーダーの号令に一斉に襲いかかってくる…危機的状況の中でオウルの瞳はぎらついた獣ように光る

 

 

「………オレの至福の時を潰した礼をさせてもらうぞ…………モヒカンどもおおおお!!」

 

 

 

「あぱ!」

 

 

 

「ぴちゅ!」

 

 

「ウパア!」

 

 

拳が、蹴りが振るわれる度にモヒカン達がまた一人、また一人、地面に倒れ伏し遂にリーダーだけになった…リーダーの目に映るオウルは血に飢えた狼…サーチアンドデストロイ(一見必殺)。気圧されたのか見苦しく這い蹲り逃げ出した

 

「く、来るな、来るなああああ」

 

 

「っと逃げんなよコラア?……ん。ちょうどいいのがあるじゃねぇか」

 

 

オウルの瞳に移るのはなぜかおかれていた掃除用具入れ…はいつくばり逃げようとするリーダー?の頭をわしつかみ迷わず掃除用具入れに叩き込んだ…コレから残酷な処刑遊技がはじまる

 

 

「なあ、アイアンメイデンって知ってるか?」

 

 

「し、しらねぇよ…た、たのむ悪かっ…」

 

 

「…運がいいなアンタ………今から身をもってアイアンメイデンの意味を知るんだからな…………オラア!!」

 

 

 

モヒカンリーダーがはいった掃除用具入れめがけめいいっぱい殴ると、ボコォ!っとくの字に曲がり軋み隙間からナニカが漏れる…それにお構いなしに腰を沈め短く息を吸い込んで繰り出されたのは無数の拳…吸い込まれるようにたたき込まれていく

 

 

 

「オラア!オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ………」

 

 

 

 

「ぱき!ピギ……クッパア!」

 

 

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!ウォラア!!」

 

 

 

雄叫びと潰れていく金属の音が響く中、みるみるうちに掃除用具入れが人型に変形、いや板金されて最後に腰を沈めはなたれた拳がめいいっぱい殴りつけられる。空を舞いながら地面へ逆さまに突き刺さるもやがて倒れた。耳を澄ますと微かに開いた隙間から「ごめんなさい、ごめんなさい………もう二度としません」とすすり泣くような声が響いた

 

 

 

「ふう、アイアンメイデン完成だ……」

 

 

「あ、あんたなにもんなんだ?」

 

 

 

リナルディの言葉に振り返るオウル…そして静かに口を開いた

 

 

「オレはオウル………オウル・ネイムレスだ……《shoot》の野郎はオレが叩き潰す。あんたのらぅめんは人に生きる力を与える希望だからな」

 

 

 

この街…後にクラナガンと呼ばれる街に《救世主》が降りたち半年後、街に巣くっていたならず者集団、魔龍戦線《shoot》は完膚なきまでに叩き潰された……噂を聞いたならず者達はオウルを恐れこう呼んだという

 

 

       剛拳のオウル

 

 

 

と………

 

 

☆☆☆☆☆☆☆

 

 

コレが若き日のオウル様です。様々な世界でやんちゃをやらかしながら《ならず者》を叩き潰す一方で、武芸者、武道家…中には天瞳流、華皇拳、春光拳、雷帝流、赤心少林拳との野試合を経て三年後に帰ってこられました

 

 

 

ですが、ナニがあったかわかりませんが右腕を折られていました…

 

 

 

ー……あのアマぁ(エレミア)、いつかぶっ潰してやる……あんな約束無しだゴラァ…ー

 

 

 

なにやら物騒な事をいってましたが

 

 

 

さて、舞台は新暦60年に移りますが……その頃のオウル様を見て驚かれないように

 

 

 

 

 

第二話 鷹流ー剛拳のオウルー(前編)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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