インフィニット・ストラトス 虹の彼方は無限の成層圏(一時凍結)   作:タオモン3

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お待たせしました。
第五話です。
オリISはチートですwww
それではどうぞ。


第五話  専用IS完成

ユウヤサイド

 

俺たちが束の願いを承諾してから三ヶ月がたった。

今更ながら、自分たちが若返っている?こと気が付いた。

大体、20歳くらいか。一年戦争が始まった時がそれくらいだから、13歳分若返ったはずだ。

裏手にあった俺たちのMSは束のラボへと運び込まれ、解体されISに生まれ変わりつつあった。

驚くことに彼女のラボは意外にも、いや、想像以上に巨大な施設だった。MSが二機まるまる収まってしまうドーム状の施設を地下に造ってあったからだ。

そこで少しずつ原型を無くしていく乗機を見るのは、なんとも虚しく思えた。

装甲を剥がされ骨格だけになり、今では使えないパーツのジャンク山になっている。

ユウキは束と共にIS開発に勤しんでいた。技術屋としての血が騒いでしかたがない、と気持ちを昂らせながら作業している。

束とも馬が合うのか、いつも以上にはりきっていた。

グリプス戦役以来だったが、変わりなくて安心した。

クロエや一夏とも早くに打ち解け、一夏に至っては「ユウキお姉ちゃん」なんて呼んでべったりとなついている。

その度束が「わたしもわたしも、束お姉ちゃんって言って言って!何なら束姉でもいいよ☆」と言っては一夏を困らせていた。

二人は開発室に籠り、昼夜問わず作業音が聞こえてくる。

おかげで寝不足気味だ。その辺だけは勘弁してほしい……本当に。

俺たちを見つけてくれた一夏は、物静かな感じをしたおとなしい性格な少女であるが此処の家事全般は彼女が仕切っている。

特に手料理に至っては本当においしい。ユウキにも負けず劣らずだ。

そして最悪の対面だったクロエとはまあ、なんとかなっている。

最初、彼女が俺をここまで運んだ時は驚いたが、雰囲気があいつ等に似ていたことで納得できた。

おそらく彼女は……人工的に造られた強化人間に近い存在なのだろう。

この事はユウキも気が付いたため、本人には知られないように振舞うことにした。

誰しも聞かれたくないことの一つや二つは腹の中に隠しているものだ。

俺とユウキを「様」付けで呼んできたが、せめて「さん」にしてくれと頼んだ。

正直そんな呼ばれ方は慣れないし、慣れたくもなかったからだ。

そして今日、遂に完成日を迎えた。

俺、クロエ、一夏は開発室に集められた。

 

「これが束さんとユーちゃんの共同合作、MSとISのハイブリット第一号でユー君専用機、その名も~………《ネオサイコ・ドーガ》!」

 

ライトアップされたそれを見て思わず息を呑んだ。

両肩部はファンネルラックから大型バインダーに換装。

その表面にはスパイクらしき物――おそらくファンネル――がそれぞれ五つ備わっている。

どっしりとした下半身はギラ・ドーガ系よりザクⅢか、ジ・Оの様にも見えた。カラーリングは元々のワインレッドだが、その姿は原型を留めていなかった。

 

「この機体は元の《サイコ・ドーガ》を原型に詰めるだけのものを詰めこんだって感じかな。ちょっと大型化しちゃったけど、その分の機動力はちゃんと確保してあるから見た目に反して機動性はいいはずだよ。武装は高出力のハイ・ビームライフル。バインダーにファンネルを十基。シールドには接近戦用のビーム・アックス二本を収納してあるよ。さらに隠し腕!スカートアーマー内部にはビームサーベル二本を搭載してあるから近距離戦でも十分なほどのポテンシャル!!」

「それに胸部にサイコ・フレームを入れてあるから追従性もバッチリだよ」

 

束とユウキの説明にただただ感嘆した。

もはや決戦兵器レベルだ。

そんなオーバースペックのもの作っていいのか?

 

「じゃあ次いってみよ~ハイブリット第2号機、ユーちゃん専用の《アサルト・ゼータ》!」

 

二つ目のそれは、全身白を中心に、ところどころ青の配色がなされ、大きさも通常の2、3メートルにまとまっていた。

背中のバックパック部分が原型のΖガンダムより大型のユニットを装備している。

 

「この機体は全距離万能機。背中のアサルトディフェンサーは最高速度時マッハ5を叩き出す高速戦闘用ユニット。2連装ビーム砲を装備。本体にもビームライフル、ハイパーバズーカ、ビーム・メガ・ランキャー、ビームサーベル、シールドもついて全体的にまとまった機体に仕上がったかな」

「そうだね、しいていえば……ね」

「……うん、そうだね」

 

流石に変形機能は無理だったな~と二人は残念そうにつぶやいた。

おまえらは何を作ろうとしてるんだ?

 

「さぁ~次はクーちゃんの機体だよ~」

「………え?」

 

呼ばれたクロエは目を見開いて驚いた。

 

「ハイブリット第3号機、《シュヴァルツェア・シュネーシュツルム》!」

 

3つ目のそれは、《アサルト・ゼータ》のスリムな体躯の真逆、

黒い重騎兵を連想させる鈍重な姿をしていた。

《ネオサイコ・ドーガ》に近いな。

 

「コンセプトは圧倒的制圧力。装備の殆どを実弾性の火器にした、まさに歩く火薬庫だね。本体武装は3連装MLRSを2基、これはパージ可能ね。25mm6連砲身ガトリング砲、30ミリ滑走砲、アサルトライフル、マシンガン、バズーカその他もろもろ。近接武装は超大型ヒート・サーベル。両腕に3連ガトリングガン。見た目に反して、機動力はあるから、近づかれてもクーちゃんなら落ち着いて対処できると思うよ」

「……わたしも……いいのですか?」

「もちろん。クーちゃんの分も作ってあげなきゃ不公平だからね。昔使っていたやつの改修機みたいなものだけど、その辺はごめんね」

「いえ……身に余る光栄です!ありがとうございます束様!」

 

満面の笑みでクロエは感謝した。

彼女が笑ったところは初めて見たな。

 

「そんなに固くなくていいんだけどな~。ま、いっか、最後にいっちゃん!」

「うん!」

 

最後に一夏の機体をライトが照らした。

ユウキのよりも純白、高潔さの中に優雅さを兼ねた騎士の様なシルエットのISが静かに鎮座していた。

 

「私が8割方完成させたものにMSの材質と技術を合わせたいっちゃんの専用機、《白零姫》だよ」

「綺麗……まるで星を形にしたみたいに綺麗な白……これがわたしのIS……」

 

一夏は手に触れ、小さく呟いた。

確かに美しいISだ。

 

「このⅠSには「展開装甲」を全身に施して、攻撃・防御・機動、あらゆる状況に対処できることが可能。基本武装は接近戦用長刀「雪片惨型」と左腕にエネルギーシールド「麗(れい)月(げつ)」の2つ。「雪片惨型」はエネルギーを溜めることで、斬撃をエネルギー刃にして出す事が出来る。「麗月」はエネルギー兵器を防ぐだけじゃなくて、エネルギーを一点に集中することで強力な攻撃ができるよ。二基だけどビッドを備えて、あとは…………」

 

不意に束の説明がそこで止まった。

その先を言っていいのか躊躇っているように見えた。

 

「まあ、これはいいね。使うかどうかわからないし。それじゃ初期化と最適化をすませちゃおっか♪まずはユー君からね。これに着替えてISに乗って」

 

そう言われ、差し出された赤のダイビングスーツのようなものを受け取った。

これがIS専用のスーツか。

ちなみに、クロエと一夏は黒であった。

 

「了解した、ちょっと待っていてくれ」

 

俺とクロエ、一夏は、部屋から一度退出して、着替えを済ました。

部屋に戻ると二人は先に着替え終えていた。

ISスーツは肌に沿うようにぴっちりとしている。

だから、二人の身体のラインがくっきりと出てしまっていた。

 

「……………」

「……………」

「…ああ、すまん」

 

なぜか、俺は謝った。

ちょっと見ただけで、クロエと一夏の視線が以上に痛い。特に一夏。

気まずくなった俺は、逃げるようにISへ乗り込んだ。

やましいことなんて何も思ってないぞ。

……たぶん。

 

「それじゃ、始めるね」

 

開閉したISに体を入れるとゆっくりと閉じた。

装甲を纏う、窮屈な感じを想像していたが意外とそうでなく、肌に合うようにぴったりとしていた。

システムが起動してデータが流れこむ。

室内の映像が映し出された。

凄いな。三百六十度すべての方向を見る事が出来る。

束とユウキは投影したキーボードを、ピアノを叩く様にキーを打ち込んでいく。

 

「さ、おっわり~♪さっすが束さんとユーちゃんの共同作業、2,3分で済ませたよ~」

 

イエ~イ、と二人はハイタッチをした。

本当に仲がいいなおまえら。

 

「で、兄さんはどう?どこか不具合でもある?」

「いや、問題はない。大丈夫だ」

「そりゃ~ユーちゃんと作ったⅠSだからね。不具合なんてあったらそれこそ、ユー君の方にあるんじゃないのって感じになるよ」

 

まぁ、コアとの相性も有るしねと言うとⅠSは光の粒子になって消え、首にネックレスが掛かっていた。

俺はそのネックレスのデザインに見覚え、もとい知っているエンブレムのデザインをしていた。

それはシャアが率いた新性ネオジオン軍の軍旗をまんま象ったものだからだ。

 

「これは…」

「どう?気に入った兄さん」

「言いたいことはあるけど……まあいい、ありがとう」

 

俺は複雑な心情の中、礼を言った。

またこのエンブレムを背負うのか……。

 

「それじゃ、残りもこの調子でいってみよ~か。次はクーちゃん」

「はい」

 

歯切れのいい返事で、クロエがⅠSに乗り込んだ。

余程、自分に専用機が用意されていたことがうれしいのだろう。

あらためて見てみると、彼女のISの脚部はドム系列の最終型《ドライセン》のような形状をしている。重武装を運用するにあたって機動力を補うためなのだろう。これに攻撃力が伴っているから恐ろしいことだ。

こちらも、問題なく3~4分で済ませてしまった。

待機状態になった《シュヴァルツェア・シュネーシュツルム》は、彼女の左手にリングとしてなった。

 

「それしゃ、いっちゃん」

「はい」

 

一夏も歯切れのいい返事で、乗り込んでいく。

 

「これが宇宙に行くための翼……」

「ふふ、そうだよ。これでいっちゃんの夢が叶うんだよ」

 

そう言われた一夏は小さく微笑んだ。

 

「さて、これで完了ッと」

 

一夏の初期化と最適化は予想以上に早く終わった。

束が8割方完成したと言っていたから、おそらくデータを予め入力していたのだろう。

待機状態はガントレットになって左手にはまった。

 

「ユウキはやらないのか?」

「僕?僕はもう済ませたからね」

「一番にやったのか?」

「そりゃ、僕と束ちゃんが作ったんだよ。完成したその時にパパッとやった方が効率いいでしょ?」

 

と言っているが、目が無邪気な子供の様にキラキラしているので、我慢できずにやってしまったのだと丸わかりだった。

ユウキが自分のⅠSに触れると、俺と同じような白い一角獣の形のネックレスになった。

 

「よーし、ⅠSも全員分できたわけだし、これからの事を報告しま~す」

 

全員の初期化、最適化を終え本題に入った。

 

「世界を変える……具体的にどうすればいいんだ?」

「そだね。端的に言うと、ユー君たちはⅠS学園ってところに入ってもらうよ」

「IS学園?」

「そう。ISに関する人材を育成している、IS操縦者育成用特殊国立高等学校。そこはあらゆる国家機関に属さず、いかなる国家、組織にでも学園の関係者には一切の干渉が許されない。だから、他国とのISの比較、新技術の試験場みたいなところかな。ユー君は世界初の男性操縦者としてⅠS学園で、今の歪んだ思想を正してほしいかな?」

「つまり、広告塔の俺が、ISの本来の使い方を広めるでいいのか?」

「そうそう、そんな感じ。だけど、干渉されないなんて嘘。束さんが分かっている限り、何十回も産業スパイや他国の組織が出入りしている。だから、最悪……」

「流血沙汰になる………か」

 

うん、と真剣な眼差しで束は頷いた。

 

「分かった。それで、どうやってIS学園に入るんだ?」

「その辺は大丈夫。束さんの力であることないことを募った、経歴四人分でっちあげるから安心して☆」

 

悪戯めいた笑顔をした。

忘れていたが束は天災と揶揄されていたことを思い出した。

ん?四人分?

 

「一夏とクロエも来るのか?」

「あたり♪そのためにクーちゃんの分も作ったんだし。二人とも本来なら青春まっしぐらの歳なのに、こんな山奥の施設に籠ってちゃコミュ症になっちゃうよ。ま、ユー君たちが来なくてもいっちゃんとクーちゃんには行ってもらっていたしね」

「はい。数年前からこの計画を束様と一夏様、お二人は考えておりました。わたしの専用機が用意されていたことは驚きましたが」

 

クロエの説明に一夏は相槌をした。

この計画は周到に練られていたものらしい。

 

「それにユー君とユーちゃんには二人を守って貰わないとね。お願いだよ♪」

「だって、兄さん」

 

束は微笑みながら、ユウキは苦笑気味に訊いてきた。

僅か三ヶ月。接している時間は短いがここでの暮らしは俺にとって掛替えのないものだ。だから絶対に守る。

もう、失わない為に。

 

「わかった。全力で守りきってみせる」

 

拳に強く握りしめ、誓うように俺は答えた。

だが、よく考えたら狙われ確率が一番高いのは俺の方だよな。

 

 




はい。タグのやりたい放題を発動しましたwww
《ネオサイコ・ドーガ》《アサルト・ゼータ》
《シュヴァルツェア・シュネーシュツルム》
《白零姫》に関しては設定話を近日中にあげます。
ほんと年初めは忙しくて…………

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