Toloveるダークネス ~トランス兵器編~   作:野獣君

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テストなとが重なり投稿が遅れてしまい申し訳ないです。


長月奏という人物

事件から一夜明けた翌日の土曜日。朝起きても大夢はまだ昨夜の事件のことを鮮明に覚えていた。完全に死角から放たれた短剣、少し遅ければ大夢は確実に死んでいた。

 

「今何時だっけ……」

 

重い体を起こしながらアラームの鳴る電波時計へと手を伸ばす。時刻は7時ちょうど。隣を見ると芽亜はもういなかった。

 

「そういや昨日、明日は朝早くから出かけるっていってたっけ……」

 

昨日の夕飯のときにそんな事を話してたなと思い返してみる。

 

「どこへ行くかも言っていなかったな……」

 

芽亜のことだ。どうせどこかで遊んでるのだろう。とりあえず家にいても仕方ないので着替えてランニングに行くことにした。

 

 

河川敷を過ぎてから自然公園の入口辺りで奏と会った。

 

「おはよう。奏」

 

「大夢か。おはよう。朝早くから散歩かい?」

 

「まぁ……そんなところかな。家にいても暇だしな」

 

「じゃあ、僕と殺り合う?暇なんでしょ?」

 

「別に構わない。本気で来いよ」

 

「冗談だよ笑。君と殺し合うのはまだ早いからね」

 

「どうゆうことだ?」

 

「そういうことだよ。じゃあね」

 

奏が言ったことに大夢はまだこのときは理解ができていなかった。

 

自然公園を出て住宅街から市街地へ出た。さすがに休日ということもあって結構賑わっていた。大夢は特にどこの店にも入らずただぶらぶらと街を歩いていた。駅に差し掛かったところで見覚えのある少年少女がおいかけっこをしていた。いや、正確には少年が少女から逃げていた。

 

「えっちいのは嫌いです……」

 

「うわああー!殺されるー!」

 

その少年少女とはリトさんとヤミだった。どうせまたリト殿がヤミに何か変なことをしたんだろう。やれやれといった顔で一瞬ヤミとリトの間に入った。

 

「はい、ストップ!鬼ごっこはそこまでだ」

 

「大夢!」

 

「大夢。邪魔をするならあなたも殺しますよ」

 

「そう簡単に殺すという言葉を使うな。リトさんがヤミに何をしたのかなんて知らないけど、街中で暴れるのはよくないぞ」

 

事の発端はやはりリトさんがヤミに破廉恥な行為をしたのが原因だった。勿論リト殿も不可抗力で決してわざどではない。ただコケる癖が一向に治らないためこのようなことが起きてしまっている。

 

「ヤミ、とりあえず今回は俺に免じてリト殿を許してやれよ。リトさんだって反省してるし」

 

「ですがこの男のセクハラは既に能力の域に達しています。今のうちにつぶさないと」

 

「つぶす!?」

 

「落ち着け。仮に能力だったとしても発動されなければ意味はないんだから」

 

「仕方ないですね……今回だけですよ……」

 

「サンキュ。あとでたい焼き奢ってやるよ」

 

「20個ほどでお願いします」

 

「わかったよ」

 

ようやくヤミを納得させた大夢はベンチに腰掛け、ゆっくり深呼吸をした。

 

「ごめんな大夢。俺が悪いのに庇ってもらって」

 

「いいんですよ。これくらい」

 

「それより芽亜は一緒じゃないのか?」

 

「ええ。朝から出かけてていないんですよ」

 

「そうなんだ。珍しいな」

 

「でも芽亜のことなんであまり心配はしてないです」

 

「はは……」

 

リトさんが苦笑いしながら時計を見ると少し慌てるような素振りを見せた。

 

「もうこんな時間か。ごめん大夢、俺先に帰るね」

 

「了解しました。では後ほど」

 

大夢はまた一人になってしまった。特に行くところもないので帰ることにした。

 

家に着いても芽亜はまだ帰ってなかった。じっとしていても仕方がないのでデビルークに繋いでライブチャットをすることにした。

 

「昼間からなんだ?」

 

案の定いつもより機嫌の悪い声でデビルーク王が応答した。

 

「長月奏という人物をしってるかい?」

 

「長月?ああ、知ってるさ」

 

「そいつの経歴ってどうなってるんだ?」

 

「俺が知るわけねえだろ。だが、最近こんな噂が広まってんだ」

 

「どんな噂だ?」

 

「長月が広域有名マフィアの一団を一夜で殲滅したという噂と最近こっちで話題になってる科学者の連続暗殺事件の噂だ」

 

「どっちも惨いな。こっちでもしらべておくか」

 

「だが、あくまで噂だ。あまり深入りはするんじゃねーぞ」

 

「わかったよ。昼間から悪いな。サンキュ、ギド」

 

「全くだ」

 

通話が終了した。短い時間だったけど少なからず収穫はあった。有名マフィアの殲滅、科学者の謎の暗殺。二つとも最近の出来事だったらしく、詳細はすぐにわかった。

 

「マフィアの殲滅は総勢120人を一人残らずか……科学者は13人……」

 

これだけの人数を殺すには一人ではトランス兵器以上の戦闘力が無ければ出来ないことだった。

 

「調べものか?」

 

「ネメシスか……なんのようだ?」

 

ネメシスという褐色肌の幼い少女は突然ダークマターを纏いながら現れた。

 

「久し振りだな。大夢」

 

「そっちこそ。最近現れないから消えたかと思ったよ」

 

「暫く会わないうちに随分生意気なことが言えるようになったんだな」

 

「で、用件は?」

 

「遊びに来ただけだ。芽亜はいないのか?」

 

「芽亜は出掛けてる。もうすぐ帰ってくるんじゃないのか」

 

「ただいまー!ヒロ君帰ったよー」

 

「ほう……噂をすればなんとやらだな……」

 

「お帰り芽亜。遅かったな」

 

「久し振りだな。芽亜、お邪魔してるぞ」

 

「久し振りー。ネメちゃん」

 

「で、何かわかったのか?」

 

「全然。経歴すらも謎だったよ。でもマフィアと科学者の件に関してはほぼ彼の仕業だね」

 

「そっか。ご苦労様。今日はもうゆっくり休んでくれ」

 

「私もそろそろ行くとするよ。どうやら今日は遊ぶ日じゃなさそうだしな」

 

「悪いな。ネメシスまた今度な」

 

「じゃあね。ネメちゃん」

 

 

 

「さてと、ん?メールが来てる……」

 

メールの内容は奏からで今すぐ自然公園に一人で来てほしいとのことだった。

 

「罠かもしれないよ?」

 

「それでも俺はあいつの本性を知りたいんだ」

 

「…………。」

 

「心配すんな。必ず帰るから」

 

芽亜に心配されながらも大夢は奏が指定した自然公園に向かった。




次回もお楽しみに!

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