「あっつい……」
真夏の青い空に光り輝く太陽、果てしない水平線が続く青く澄んだ海、水着を着ながら戯れる少年少女達。
臨海学校二日目は日没まで海水浴という
とてもフリーダムな日程だった。
「……旅館に戻るか。することないし」
それに旅館に戻ればこの無駄な時間を睡眠にあてることができるしな。そんなことを心の中で思いながらひきかえそうとすると、
「ヒロ君どこいくの?」
とても悪いタイミングで芽亜とヤミが来てしまった。しかも水着姿で。
「ちょっとトイレに……」
「トイレは向こうだよ。」
「あー、あっちか。じゃ、ちょっくら行ってくる」
「私も行きます」
「じゃ、私待ってるねー」
最悪だ。まさかヤミが一緒についてくるとは思わなかった。だが、まだトイレまでの道中だ。チャンスが無いわけではない。隙を見図れば……。
「何か企んでますね」
「どうしてそう思う?」
「顔に書いてあるからですよ。早く旅館に帰りたいと。」
どうやら見透かされていたようだった。ホント、ヤミは手に負えないやつだと改めて実感したな。
「はぁ……。バレてたか」
「貴方がわかりやすいんですよ」
「俺はお前みたいにポーカーフェイスを保てないんでね。まぁ、そんなことはどうでもいい。お前俺に話があるからついてきたんだろ?」
「よくわかりましたね。流石です」
「それくらいはわかるさ。で話ってなんだ?」
「ラコスポが雇った殺し屋についてです」
「へぇ……興味深いな。誰なんだ?」
「私と同じ殺し屋…通称‘’クロ‘’です」
「クロかぁ……。厄介な相手だな」
「はい。ですから今は……下手に動かず相手の出方を待つのが得策でしょう……」
「だな。ドクターミカドやティアーユ先生にも伝えておけよ。芽亜達には俺が伝えておくから」
「わかりました」
「とりあえず戻るか。芽亜達が心配してるしな」
ヤミを連れて芽亜達と合流するとモモ姫やナナ姫も合流していた。
「二人とも遅いよー」
「悪い。意外と混んでてな。それで何するんだ?」
「ビーチバレーとかでいいんじゃないか?一応あたしボール持ってるし」
「あらナナにしてはいい考えじゃない」
「なんだよモモ!その言い方は!」
ナナとモモが喧嘩を始めた瞬間大夢は深くため息をついた。
「デビルーク王家始まって何回目の喧嘩だろうな」
大夢は王宮で彼女らの喧嘩を嫌というほど見てきた。その場で止めたり、時にはザスティンやララ姫と一緒に止めたりと大変な思い出しかなかった。
「モモ喧嘩はよくないですよ」
「ナナちゃんも喧嘩はダメだよ」
ヤミと芽亜がそれぞれモモ姫とナナ姫の説得に回る。これが本当に仲の良い姉妹なんだと実感した。
やがて二人も仲直りしたところで俺達は日没まで海を満喫した。
次回はなるべく早く投稿できるように努力します