午前7時ちょうど。いつもより遅い時間帯の起床だった。隣を見ると、メアの姿はなく、珍しく俺より早く起きたようだ。制服に着替えてから台所に行くとは、これまた珍しく
メアが朝御飯を作っていた。
「おはよー、ヒロくん。もうすぐできるから座ってて」
「あ、ああ!」
一瞬ポカンとしてしまったが、メアに言われ俺はすぐに座り、テレビをつけた。ちょうど星座占いをやっていて一気にランキングが出ていた。
「今日一番運勢が良いのはふたご座のあなた!!今日は素晴らしい1日になるでしょう!そして、今日一番運勢が悪いのはうお座のあなた!災難だらけの1日になるかもしれません。そんなうお座の今日のラッキーアイテムは…」
ブツン
テレビのアナウンサーがラッキーアイテムを言いかけたところで俺はテレビを切った。
「ヒロくん、もしかして怒ってる?」
「別に怒ってないよ、俺は占いなんて迷信だと思ってるから」
そう言いながら俺はメアが作ってくれた朝御飯の味噌汁をすすった。
「おっ、これ美味しい」
「でしょー?美柑ちゃんから教わったんだー」
「へぇ~」
メアの言う美柑ちゃんという人物はリトさんの妹に当たる人物で家事全般は何でもこなし、容姿端麗、頭脳明晰というスーパー小学生である。
「俺も教えて貰おうかな~」
独り言を呟きながら味噌汁の入ったお碗を取ろうとしたら手が滑り、味噌汁が俺の制服にかかってしまった。
「あちゃー…やっちまった」
「制服どうするの?」
「とりあえず今日はトランスで行くよ。こんなんじゃ着てけないし」
「私の貸そっか?」
「ふざけんな。また女装させる気かよ」
「ふふっ、冗談だよ♪」
脱衣場に行き、汚れた制服を脱ぎ、洗濯機へと放りこんでいく。運良く下着は汚れていなかった。そしてトランスで
衣服を制服に変化させ、メアの待つ玄関へと向かった。
昨日の土砂降りの雨とはうってかわって、今日は真夏日となった。だが、道路には所々水溜まりがあり行き交う人達は水溜まりを避けながら歩いていた。
「そういえば、ヒロくん制服着てるけど乾いたの?」
「いや、トランスを使ってる。学校が終わるまでに持つかどうかわかんないけど」
「そんなに体力消耗するの?」
「ああ、結構疲れるぞ。メアもやればわかるからこのキツさが」
「ふ~ん」
すると、後ろから来た車が水溜まりを思いっきり踏み、近くを歩いていた俺にかかってしまい、制服が水浸しになってしまった。
「……」
「ヒ、ヒロくん大丈夫?」
「大丈夫だよ。………殺してやろうかと思ったけど」
「お、落ち着いて!あれは仕方の無いことだから!」
「わかってるよ。それより、制服どうすっかな…」
とりあえず学校に着くまで考えることにしたが、あっという間に着いてしまった。
制服が濡れているからか、色んな意味で注目の的になっていた。
上履きに履き替え、教室に向かおうとすると、向こうからララ姫が何かを持ってやって来た。
「大夢ー!」
「あ、ララ姫おはようございます」
俺がララ姫の方を振り向くと彼女は俺に何かを向けていた。よく見ると、ララ姫の手にはビームを受けた人物の性別を変化させるころころ男女君が握られていた。
「まさか…」
「それー!ころころ男女君!」
「うわぁぁぁぁーー!」
気付いたときにはもう既に遅く、俺はころころ男女君のビームをまともに受け、また女の子の姿になってしまった。
「ヒロくんが女の子になった!」
「ララ姫!発明品は不用意に使うなとあれほど言ったでしょう!」
「ごめんね~、改良型をどうしても試したくてね~」
「そんなことより、早く戻してください!」
ララ姫は何度もスイッチを押すが、装置が起動しない。
「ごめんね~改良したら充電が切れるのが早くなっちゃったみたい」
「あなたという御方は……またこんな姿になるなんて…」
「でも、結構可愛いよ!ヒロコちゃん!」
「誰がヒロコちゃんですか!それに全然嬉しくないです!」
「そうかな~?私も結構可愛いと思うよ?」
「メアまでそんなこと言うのか…」
「放課後までは戻らないからそれまでは女の子のままだねー」
「…メア、替えの制服あるか?」
「お?とうとう着る気になったのかな?」
「うるせぇ、借りるのは今日だけだ。一応ティアーユ先生には事情を話して転校生扱いにしてもらう。メアは悪いけど先に教室に行っててくれ」
「わかったー」
「ごめんね~、大夢」
「別にいいですよ。やってしまったのは仕方の無いことですし、今後気をつけてください」
「はーい!」
俺はまだ知らなかった。今日1日がこんなに長く感じることを
投稿までの間が空いてしまい申し訳ないです。今年もよろしくお願いいたします!