Toloveるダークネス ~トランス兵器編~   作:野獣君

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新年明けましておめでとうございます!新年早々ですがやっとできたので投稿します!今回はかなり長めなのでご注意ください


たい焼きとペロペロキャンディーと読書

「う……ん眠い……」

 

時計の針はまだ6時を指していた。外はうっすらと朝日が昇ってきていた。

 

「しっかし暑いなー。」

 

大夢の格好は上半身裸に短パンと、かなりの薄着だった。それでも大夢の体からは少しだが汗が吹き出していた。

 

「………芽亜のやつくっつきすぎなんだよ。」

 

彼はそう言って芽亜のおでこに軽くデコピンをかました。

 

「ん……」

 

「さすがにまだ起きないか。」

 

そう言うと彼はタンスからデビルーク製のタブレットを取り出し回線をデビルーク星へと繋いだ。

 

「うっせーな。……誰だよこんな朝早くから。」

 

「よっ。ギド、久しぶり」

 

大夢がライブチャットをしている相手が現デビルーク王のギド・ルシオン・デビルークである。威圧感のある声とは対照的に彼は体がとても小さい。銀河大戦で力を全て使い果たしてしまったからだ。

 

「その声は……大夢か。何のようだ?」

 

「モーニングコール。」

 

「じゃな。切るぜ。」

 

「冗談だ。割りと真面目な話だよ。」

 

「何だよ?」

 

「地球に向かっている宇宙人で要注意人物とかいるか?」

 

「ラコスポ。ぐらいだな」

 

「はぁ?ラコスポ?冗談だろ?」

 

「いや、大マジだ。近いうちにララや結城リトのとこに現れる。殺し屋も雇ったって聞いたぞ。」

 

「成る程ね。リト殿を殺してララ姫を自分のものにしようってか。ただ殺すだけじゃ物足りないな。」

 

「そういうことだ。俺はいけないからそっちは頼むぜ。」

 

「了解した。じゃあギドそろそろ切るよ。」

 

「待った。まだ話さないか?セフィはまだ起きてないし」

 

「いいよ。俺のとこの同居人もまだ起きてないから。」

 

この後大夢とギドは30分位世間話をしてから互いに切った。因みにセフィというのはギドの妻でセフィ・ミカエラ・デビルークのことである。宇宙人一美しく優しい女性だが、怒らせれば宇宙一恐ろしい(ギド談)。

 

大夢がタブレットを片付け終えたのと同時に芽亜が起きた。

 

「おっ。起きたのか。おはよう」

 

「おはよう……。」

 

「芽亜。今日時間ある?」

 

「ん。あるよー」

 

「図書館行かないか?」

 

「いいよー。私も調べたいことがあったし」

 

「悪いな芽亜。寝起きなのに無理させて」

 

「大丈夫だよ。その代わり帰りに

お菓子買ってね♪」

 

「わかったよ。」

 

芽亜は素早く朝食を済ませ、私服に着替えた。夏らしく、そして芽亜らしい可愛い格好だった。因みに大夢の格好はカッターシャツにネクタイとジーバンと、とてもシンプルな格好だった。

 

「……。」

 

大夢はあまりの可愛さに数秒間言葉を失ってしまった。大夢はあまり女性に対して免疫がないため、こういったことには慣れていないのだ。

 

「どうしたの?顔赤いよ?」

 

「あ、いや、今日は暑いなー。ハハ……」

 

「?」

 

「と、とにかく行こうか!」

 

外へ出ると強い日差しが襲ってきた。町行く人達を観察しても誰もが大量の汗をかいていた。

 

「芽亜、日傘ないけど大丈夫?なんなら俺がトランスで作るけど。」

 

「大丈夫だよ。これぐらいの暑さには慣れておかないとね。」

 

「そっか。ヤバいときは言えよ。」

 

「うん。ありがと♪」

芽亜とあれこれ話しているうちに彩南市立図書館に着いてしまった。中は冷房が効いていてとても涼しく、しっかりと防音対策も施されていて、読書や調べものをするのには最高の環境と言える。

 

「じゃあ芽亜、俺こっちだから。」

 

「うん。あとでね。」

 

芽亜と別れたあと大夢はあるジャンルのコーナーへと向かった。

 

「えーと宇宙についての本は……あった!」

 

本のタイトルは宇宙の真実。某有名大学の教授が書いた本である。大夢は本物の宇宙人として、地球の人間が宇宙に対してどのような考えを持っているのかとても興味があった。

 

「(さて、地球人は果てしなく続く宇宙をどう思っているのかな?)」

 

~10分後~

 

「(残念だな。こんな甘い考えで宇宙を語ろうなんて10年早いな。)」

 

彼は落胆しながら次の本を探していると、

 

「あっ。ヤミ」

 

「貴方は……ヒロム。」

 

彼女が金色の闇である。宇宙で最も危険な殺し屋でリト殿の命を狙うトランス兵器の少女である。

 

「……一人で此処へ来たのですか?」

 

「芽亜と一緒に来たんだ。あいつは別のところにいるけどな。」

 

「そうですか……。なら私の読書の邪魔をしないでください。」

 

「はいはい。わかったよ」

 

そう言って大夢はヤミから離れ、芽亜のもとへ向かった。芽亜意外にも料理系のところにいた。

 

「芽亜なに見てるんだ?」

 

「お菓子作りの本だよ。自分で作って食べる食べるのもいいかなって。」

 

「お菓子作りくらい俺がいつでも教えてやるよ。ある程度のものはできるし。」

 

「ほんと!ありがと♪」

 

「それよりもさ今からヤミのとこに行かないか?」

 

「ヤミお姉ちゃんここに来てるの?」

 

「来てるよ。俺はさっき話したばっかりだけどさ。」

 

「そうなんだ…。……私はいいよ。行っても」

 

芽亜に了解を得てから二人でヤミのところに向かった。ヤミはまだ同じとこで本を探していた。

 

「……またあなたですか……」

 

「ヤミ。ちょっと話さないか?芽亜もいることだしさ。」

 

「お断りします。私は人と話すより読書をしている方が好きなので。」

 

「……たい焼き10個……」

 

「仕方ないですね。外へ出ましょう」

 

「聞こえてんじゃねーか」

 

外へ出ると今朝よりも暑さが増していて空気も尋常じゃないくらい蒸していた。

 

「おいおいヤミ、お前大丈夫か?」

 

「……大丈夫ですよ。……少し気温の変化に体がついていけていないだけなので……」

 

次の瞬間ヤミはドサッと地面に倒れた。

 

「お姉ちゃん!?大丈夫!?」

 

「大…丈…夫ですよ……。」

 

「馬鹿言え全然大丈夫じゃないだろ。とにかく今からドクターミカドのとこに連れてくからしっかり捕まってろ。」

 

大夢はヤミを抱き抱えながら芽亜と共に足早にドクターミカドの診療所へと向かった。ドクターミカドの診療所は町の外れのところにあり、見た目は幽霊屋敷のようである。彼女は彩南高校の養護教諭だけではなく、銀河でも有名な闇医者であり、様々な宇宙人の形態に詳しい人物でもある。

 

「ドクターミカド!いますか?」

 

「あら、七原君。どうかしたの?」

 

「ヤミの体調がおかしいので少し見てもらえますか?」

 

「ええ、いいわよ。」

 

ドクターミカドはヤミの体を一目みて、

 

「熱中症ね。少し体を冷やして水分を与えれば大丈夫よ」

 

「そうですか…。」

 

大夢は安堵の表情を浮かべながらその場に座り込んだ。芽亜も大事に至らなくて良かったという表情をしている。

 

「御門先生♪紅茶が出来ました!」

 

「ありがとう。お静ちゃん」

 

奥から出てきたのは村雨静という少女である。彼女は何百年も前に亡くなっているがドクターミカドが作った体に憑依して生活している思念体である。

 

「あ、あとおつかいも頼めるかしら?」

 

「はい!わかりました♪」

 

「あ!お静さん、おつかいは俺達に行かせてくれませんか?もともと彼女が倒れたのは俺の責任でもありますから。」

 

「いいんですか?助かります~」

 

「あら、七原君達が代わりに行ってくれるの?じゃ、お願いしようかしら。」

 

「それで村雨先輩なにを買ってくればいいの?」

 

「メモに書いてあるものだけを買ってきてください。」

 

「了解しました。」

 

「行ってくるねー。」

 

大夢達は三十分もしないうちに買い物を済ませてきた。

 

「結構早かったわね。」

 

「お二人ともすごいです!」

 

「まぁトランスがあるんで…」

 

「ヤミお姉ちゃんは?」

 

「寝てるわ。もうちょっとしたら起きると思うわ。」

 

「そうですか。じゃ、俺達はそろそろ帰ります」

 

「ヒロ君、もう帰るの?」

 

「あんまり長居してもドクターミカドやお静さんに悪いだろ?」

 

「それはそうだけど……」

 

「そういうこと。それじゃお二人とも失礼します。たい焼きはヤミにでも食べさせてやってください。」

 

「ええ。それと、七原君。学校ではちゃんと御門先生と呼ぶように」

 

「さよならです♪」

 

 

「……ん、ここは?」

 

「私の診療所よ。気分はどう?」

 

「もう大丈夫です。ドクターミカドがここまで運んできてくれたのですか?」

 

「私じゃないわ。七原君と芽亜さんよ。」

 

「あの二人が?」

 

「ええ。特に七原君に関してはヤミちゃんが倒れたのは自分のせいだってずっと言ってたわ。」

 

「……!たい焼き……」

 

「七原君達が差し入れでかってきてくれたのよ。」

 

「……本当に誰かにそっくりなお人好しですね……」

 

 

 

「芽亜ー。今日の夕飯なにがいい?」

 

「スパゲッティがいいかなー。」

 

「じゃあこれから食材買って帰るか」

 

「うん!あ、あとお菓子忘れてるよー」

 

「お菓子?ああ。すっかり忘れた。ペロペロキャンディーでいいか?」

 

「お菓子は任せるよ♪」

 

大夢と芽亜はまだ明るい道のりをいつも以上にゆっくりと歩いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 




徐々に作品の文字数が増えてるのは気のせいだろうか

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