~デビルーク星~
「ここも変わらないなぁ」
相変わらず変わらない街並み。俺は今故郷であるデビルークに帰省している。理由はナイトメアの件で学校が半壊し、修理のためだ。だが、仕事など色々ある都合上2日までしかデビルークには滞在できない。因みにメアもどこかへ出掛けると言っていた。
「さて、まずはギドに会いに行くかな」
まずはデビルーク城へと向かった。
「城もあまり変わってないな」
昔を懐かしみながら門へと向かった。
「誰だ貴様?何の用だ?」
「デビルーク軍軍師総司令官の七原大夢。これだけ言えばわかるだろ?」
「し、失礼しました!中へどうぞ!」
門番に名前を言ったらすぐに中へ通してくれた。何年経っても俺が軍師なのは変わらないんだなぁ。
とりあえず数年前ここに来たことがあるのでその時の記憶を頼りにギドがいる場所へ向かった。ちなみにアポ無しです。
「どこだっけなぁ。ギドがいる部屋」
城の外見は変わっていなかったが、中身はすっかり変わってしまっていた。以前より部屋は増えているし、レイアウトも複雑になっていた。そしていつの間にか迷ってしまった。
「参ったなー。どこを行けばいいんだ?」
すると後ろから声をかけられた。
「何かお困りですか?」
あまりにも綺麗な声だったので振り向くとギドの妻であるセフィ・ミカエラ・デビルークさんがいた。
「あっ…セフィさん。ご無沙汰してます」
「あら、大夢くん。お久し振りです」
彼女はいつも通りの格好に顔をヴェールで隠していた。
「ところでギドは今いますか?」
「ええ、いますよ。案内しますわね」
セフィさんは普段このように優しい人ではあるが怒らせると宇宙を制覇したギドでも頭が上がらないほどらしい。
「娘達は元気にしていますか?」
「3人とも元気に過ごしておられます」
「そう、それは良かったわ。みんな、少し甘えん坊なところがあるから…」
「それならセフィさん、一度地球に降りてみられてはどうでしょうか?」
「そうね…。それもいいかもしれませんね…」
「では、姫君に連絡を…」
「待って!できればお忍びでいきたいのだけれど…」
「わかりました。手配等はこちらでやっておきますので、セフィさんは行く日程をあとで教えてください」
「わかったわ」
セフィさんとあれこれ話しているうちに大きな扉の前に着いた。その扉は他とはただならぬ雰囲気があった。
「この扉の向こうに私の夫がいるわ。それじゃ私はやることがあるから失礼するわね」
「案内ありがとうございます。セフィさん」
「いいのよ。これくらい」
普通の男性なら一発で見惚れてしまいそうな笑顔を見せ、セフィさんは行ってしまった。
「さて、行くか」
大きな扉を開けると中央に大きな椅子があり、そこにギドは腰かけていた。
「久しぶりだな。ギド」
「なんだてめぇか…。何の用だ?」
「相変わらずそっけないなぁ。短期間の里帰りだよ」
椅子に座ったままのデビルーク王は以前見たときは幼児体型だったが、今は成人男性ぐらいの体型になっていた。
「力、戻ったのか?」
「ああ、これで星1つは吹っ飛ばせるようにまで戻った」
「物騒なこと言うなよ…」
「冗談だ。それでお前はどれくらいここにいるんだ?」
「明日までかな。あまりゆっくりしていられないんだ」
「寝床はどうすんだ?」
「宇宙船があるから大丈夫だよ」
「そうか」
改めて部屋を見渡すととにかく広いが、よく整理された部屋だった。それに家族の写真もある。
「お前、結構家族思いなんだな」
「当たり前だろ。家族を大事にしないで父親が務まるか」
「ギドらしい答えだな。安心したよ」
「さて、俺の話はこれぐらいでいいだろう。次はお前の身の回りの事を話してもらおうか」
「はは…。勘弁してくれ」
すると突然城内に敵襲のサイレンが鳴り響き、俺達がいた部屋に一人の兵士が入ってきた。
「どうした?」
「失礼します!先程デビルーク城付近にて怪しい人物を発見し、問いただしたところいきなり攻撃を仕掛けてきて……現在軍が交戦中です!」
「襲撃者は何人だ?」
「3人です!」
「わかった。軍を退却させろ。後は俺がやる」
「はっ!」
「さて、ひと暴れしますか」
「悪いな。大夢」
「気にすることはないよ。ギドの手を煩わせたくなかったから」
「怪我するなよ」
「わかってるよ。じゃ、いってくる」