Toloveるダークネス ~トランス兵器編~   作:野獣君

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これでナイトメア編はラストストーリーとなります


ナイトメア ~終焉~

「あれが…ナイトメア…」

 

姿はヤミがダークネスを発動したときとおなじように際どい黒の戦闘服に身を包んでいた。ちょっとエロい。

 

「今えっちい事を考えてましたね…」

 

「こんな時にそんな事考える余裕ないっての。それに、どうして芽亜はああなったんだ」

 

「確信はありませんが、恐らくナイトメアの発動条件は「身近な誰かに好意を持つこと」で発動されるようです」

 

「金色の闇の言うとおりだ。芽亜はお前に好意

を抱いていることを金色の闇に打ち明けた」

 

「それで…ナイトメアが発動された…」

 

「そういうことだ」

 

「でも…それならどうしてヒロムは発動しなかったんだ?」

 

「俺は小さい頃にナイトメアを発動させたときに抗体みたいなものができていてそのおかげで発動しなかったということです」

 

「とにかく今は芽亜さんを救うことが第一です」

 

「けどどうやってナイトメアから解放させるんだ?」

 

みんな焦っていた。大夢も奏もモモもナナもヤミも。どうすれば芽亜を助けることができるのか。どうすればナイトメアを打ち倒すことができるのか。すると大夢がある作戦をきりだした。

 

「…俺が芽亜の心に侵入する。そして直接ナイトメアを叩く」

 

「本気で言ってるのか?一歩間違えれば君は死ぬぞ」

 

「わかってる。けど戦うよりかはずっといいだろ」

 

「でも…そんなことをしたら大夢さんは…」

 

「そ、そうだ!死ぬかもしれないんだぞ!」

 

「モモ、ナナもういいですよ。今回は彼のわがままに付き合ってあげましょう」

 

「ヤミ…」

 

「ヤミさん…」

 

「それで、私達は何をすればいいのですか?」

 

「できる範囲で引き付けてくれ。隙をみて俺が精神侵入《サイコダイブ》を使う」

 

「わかりました」

 

どうやら全員納得させることができたようだが、モモ、ナナは相変わらず心配そうだった。

 

「お二人ともそんな顔をしないでください。大丈夫ですよ。俺は必ず生きて芽亜と一緒に帰ってきますから」

 

「わかりました。必ず帰ってきてください。芽亜さんを連れて」

 

「必ず芽亜を連れてこいよな!」

 

「お二人の思い、受けとりました。行ってきます」

 

 

 

 

「待たせたな。ナイトメア」

 

「随分と長い作戦会議だね。それなのに一人で私と遊ぶつもり?」

 

「私もいますよ」

 

「僕もいるんだけどね」

 

「ナイトメア、遊び相手が三人もいるんだ。退屈だなんて言わないよな?」

 

「そうだね。じゃあ、始めようか」

 

すると、ナイトメアは目にも止まらぬ速さで大夢の目の前に現れ、大剣を降り下ろした。大夢は間一髪で避けたが、次の攻撃が大夢を襲ったが、ヤミがそれを弾きかえした。

そして弾きかえし、体制を立て直すところを狙った奏がナイトメアの懐へ剣を降り下ろし、大夢に言った。

 

「大夢!今だ!」

 

すると大夢は一瞬でナイトメアの近くへと移動し、自身とナイトメアを繋いで精神侵入《サイコダイブ》を発動させた。

 

 

~芽亜の心の中~

 

「ここが…芽亜の心の中…」

 

ナイトメアに支配されているからか、辺りは真っ暗だった。

 

「(もう少し深く潜れば何かわかるかもしれないな)」

 

そして、最深部まで潜ると鎖に繋がれた芽亜を発見した。

 

「芽亜!」

 

鎖をはずそうとするが、全くびくともしなかった。ならばと今度は鎖を破壊しようとするが、こちらも壊れる様子はなかった。

 

「こんなところに侵入者か…」

 

振り向くと大夢と瓜二つの姿をした少年がいた。

 

「なんで…俺が?」

 

「そうか…貴様は私の元主か」

 

「お前は誰だ?何故俺を知っている!?」

 

「私は…ナイトメアだ。そして貴様を知っているのも以前貴様が私を発動させたからだ」

 

「なら、何故芽亜に寄生した?俺でもよかったはずだ」

 

「単純に条件が揃っていた。それだけだ」

 

「そんな簡単な理由で芽亜に寄生したのか!」

 

「私自身も誰かに寄生しなければ生きていけないのだ。悪く思うなよ…」

 

「させない…。芽亜は俺が助ける!」

 

大夢はナイトメアに突進するが、難なく避けられてしまう。

 

「そんな速さで私を倒せるとでも?」

 

するとナイトメアは凄まじい速さで大夢との距離を詰めてきた。咄嗟に体が反応して一撃目は避けることができたが二撃目は避けきれずに腹部を切り裂かれてしまう。

 

「…っ!」

 

「一撃目はよく避けたな。だが、遅い。貴様の本来の実力であれば二撃目も避けることができたはずだ」

 

「……」

 

「もうすぐ彼女への完全支配が完成する。そのときは君も消失するだろう」

 

「完成…支配…?」

 

「言葉通りだ。彼女の肉体、精神、脳を全てナイトメアである私が支配する。それの完成間近という訳だ」

 

「……そうか。それは好都合だ」

 

「なんだと?」

 

「完全支配《パーフェクトインペル》」

 

大夢が使用したのはトランス兵器限定の支配能力で精神侵入《サイコダイブ》使用時のみ発動できる特殊能力であり、精神中の人工生命体を自身の精神の中に封印することができる。

 

「貴様…何をした…」

 

「完全支配間近のとこ悪いけどお前は俺の中に封印させてもらう」

 

「ふざけるな!私にはまだ!」

 

「どうせ芽亜の体を使って地球滅亡とか企んでたんだろ。安心しろ、暫くは寝かせてやる」

 

「……くそっ……」

 

こうしてナイトメアは大夢の中へと消えていった。ナイトメアが消えたことで芽亜を縛っていた鎖も消え、心の中も明るくなった。

 

「戻るか。精神侵入《サイコダイブ》解除」

 

~地上~

 

地上ではまだ戦闘が続いていた。奏、モモ、ナナ、ヤミの四人でナイトメアと戦っているが、いかんせん劣勢だった。

 

「大夢はまだ帰ってこないのか?」

 

「そろそろこっちも限界が…」

 

四人が諦めかけていたその時、ナイトメアの動きが突然止まり、その場に倒れ、過激な戦闘服からスクール水着に戻っていた。それと同時に精神侵入《サイコダイブ》から大夢も戻ってきた。

 

「メア!」

 

ナナが呼び掛けるが、返事がない。

 

「今はまだ気絶してます。少し時間が経てば目を覚ますと思います」

 

「良かった…メア…」

 

「大夢さんもよくご無事で」

 

「大きな怪我なくてよかったよ」

 

「馬鹿いえ怪我ならしてるぞ」

 

そう言って大夢は腹部の切り傷を見せる。かなり深くはいったようだ。

 

「そんなになるまで戦ったのですか」

 

「ヤミだってボロボロだろ。お前も芽亜のために頑張ってくれたんだよな。サンキュ」

 

「あなたのためではありません。妹の芽亜のためです」

 

「はいはい。わかってるよ」

 

ようやくいつもの日常に戻れた気がした。だが、一つだけ非日常なことがある。それは、芽亜がまだ目を覚まさないということだった。保健室に運び込み、ドクターミカドに出来る限りの治療をしてもらった。そこで大夢はみんなに二人きりにしてほしいと頼んだ。みんなは快く承諾してくれた。

 

「芽亜…」

 

保健室には大夢の声だけが響いていた。大夢は芽亜の手をしっかり握って彼女が目を覚ますのを待っている。もうかれこれ一時間経つ。ナイトメアの発動時間も短かったし、そんなに暴れていないからすぐに起きるとドクターミカドは言っていた。

 

「ん…」

 

「起きたか?芽亜」

 

「ここは…?」

 

「学校の保健室だ」

 

「また…私はみんなに迷惑をかけちゃったんだね…」

 

苦笑いしながら芽亜は窓の外を見る。放課後になってからあまり時間が経っていないため、ほんの少し夕焼けが見える。

 

「綺麗だね…」

 

「そうだな」

 

「私…苦しかったんだ。ナイトメアに支配されていてもちょっとだけ私の意識はあったんだ。でもそれさえも支配されそうで苦しかった。でもそんなときヒロ君が助けに来てくれた。自らの命を危険に晒しても私を助けに来てくれた」

 

「助けるのは当たり前だろ。だって…俺はお前の…その…パートナーなんだから!」

 

「あはは…そうだね。……恋人って言って欲しかったな…」

 

「なんか言ったか?」

 

「ううん。何でも」

 

「それよりどうする?自力で帰れるか?」

 

「ちょっと無理かな…」

 

「しょうがないな。俺がおぶってくよ」

 

「ありがと…」

 

芽亜と大夢の会話を奏は廊下でこっそり聞いていた。そした全部聞き終わったところで帰ろうとすると、

 

「もう行くのか?銀河警察の最強の刺客、長月奏よ」

 

「その呼び名はやめてくれないか?マスターネメシス。それに、俺はとっくに銀河警察をやめた身だ」

 

「やはり組織内部の腐敗か?」

 

「それもあるけどこの楽しい日常を無駄にしたくないんでね」

 

「貴様も変わった奴だな」

 

「君ほどじゃあないよ」

 

そうして二人は別れた。お互い変わってるというところはどうやら同じらしい。

 

 

 

「大丈夫?重くない?」

 

「ああ。大丈夫だ」

 

帰り道大夢は芽亜をおぶりながら家を目指していた。

 

「そう言えばナイトメアはどうしたの?」

 

「俺の精神に封印した。暫くは現れないだろう。まぁ出てきたとしても力は残ってないからまた発動なんてことは起きないと思うけどな」

 

「そうなんだ」

 

「……」

 

沈黙が訪れた。どちらも何か話題を出そうと頭をフル回転させながら考えていた。そして、

 

「ヒロ君は好きなタイプの女性ってどんなの?」

 

「俺は…好きになった人がタイプかな…」

 

「へぇ…。そうなんだ…」

 

「でも俺は一番お前がタイプだけどな」

 

そう言って大夢は顔を赤くしてそっぽを向いた。芽亜は何を言われたのかわからないような顔で困惑していた。そして何を言われたのかをようやく理解して、

 

「バカ…」

 

と呟いた。

 

「何か言ったか?」

 

「言ってないよ。それより早く家に帰ろ!みたいテレビが始まっちゃう!」

 

「わかったよ」

 

「いっけーーー!大夢号!」

 

「勝手に人を乗り物扱いするな!」

 

相変わらずどこまでも仲が良い二人だった。やはりこの二人にも共通点があるようだ。それは、どこか「変わってる」というところである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




この作品を最後まで読んでくださった方々ありがとうごさいました!4月は出会いの季節でもあります。学校でも職場でも素敵な出会いがありますように…

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