大夢side
暑い。真夏とはいえ、外は立っているだけでも汗が噴き出してくるほどだった。ここ数日は猛暑日が続くらしい。今日の体育はどうやらサッカーらしい。俺の好きなスポーツではあるが、こんな暑い日ではやる気は半減だ。
「そういや女子はプールか」
少し羨ましいと思いながらも準備運動を始めた。準備運動を終えて体育倉庫からボールを出す。今日は試合形式だったので余った奴と適当にチームを組んだ。因みに俺のチームは俺以外サッカー初心者だった。チームを組み終わったところで早速試合となった。すると奏が遅刻して校庭にやって来た。担当教師に遅刻の理由を説明し終えると俺のチームに入ることになった。
「遅かったな」
「まぁ、色々あってね」
「それよりお前サッカーできるのか?」
「少しは出来るよ」
「じゃあその少しに期待するよ」
だが彼のサッカー技術は同じクラスのサッカー部員よりも上だった。一級品のボールコントロール、狙い済ましたシュートやパス、少しだけやってたとは思えない技術だった。
試合が終わり、休憩の時間に入った。試合はというと全試合完封、大量得点で勝利した。みんな大夢と奏の技術に舌を巻いていた。女子のプールを覗きに行き、体育教師につまみ出される輩もいた。
「はぁー。暑い…」
「女子はプールみたいだよ」
「知ってる。俺もプールに入りてぇよ」
「入ってくれば?」
「馬鹿。水着が無いだろ」
「あ、心配するのそこなんだ。女子がいるとかじゃなくて」
「興味ない」
「でも君自身そんなことを言ってるけど実際どうなの?」
「何が言いたい?」
「言い方を変えれば君は周りの女性をどう思ってるのか。そういうことだよ」
「別に。特別な感情を抱いている人物とかはいないよ」
「ふーん。まぁ君ならそう言うと思ってたよ」
すると休憩終了の笛が鳴り、再びそれぞれがグラウンドに散った。
後半戦の試合が始まって数分経った頃突然女子がいるプールから閃光と爆発のような音が聞こえた。
「なんだ?今の音は…」
するとプールの方から何かが飛んできて校庭に突き刺さった。
「これは…ビート板?」
それも、かなり硬く、まるで武器のような感じだった。
「こんなのに刺さったら一発で死ぬな」
「呑気なことを言ってる場合じゃないぞ」
「まぁ、それもそうだね」
他の男子生徒が避難しているなか俺達はプールの方へと向かった。
プールに着くと既に戦闘は始まっていた。過激な戦闘服に身を包んだ謎の人物とヤミ、ナナ、モモの三人が戦っていた。
「モモ姫!助太刀いたします!」
「大夢さん!どうしてここに?」
「詳しいことはあとで話します。それより目の前の敵を…」
その瞬間大夢は固まってしまった。過激な戦闘服の人物の顔がはっきりと見えた。芽亜だった。綺麗な紫色の瞳は紅の色に染まり、無表情で、三つ編みも下ろされていた。
「モモ姫…あれは…」
「あれは芽亜さんじゃありません。トランス兵器ナイトメアです」
次は最終回!