常に金が無い。金が無いと嘆いている俺達だが、今日は少し違う。そろそろ夏も近くなってきたが、節電のために未だに扇風機無しで凌いでいる俺達はハーフパンツに上半身裸というしょうもない格好で居間に揃っていた。年季の入ったちゃぶ台に置かれているのは、9万円という俺達にとっては、非常に大きな金額だ。無論、パチンコで勝ったわけではない。流石に3人がきちんとバイトをしているのに、毎月ああも苦しかったのは隼人が提案した毎月貯金という制度のおかげだ。月に、1人5000円出す事になっている。半年も経てばそれなりにたまるので、ここらで一発何か買ってみようかと思い、本日は会議が行われているのだ。
「というわけで、この9万円何に使うか? 先に言っておくが、缶コーヒーとフィギュアは無しの方向で」
隼人が心の底から爽やかな笑顔でそう宣言した。マジかこいつ。ぶっ飛ばすぞ。……とは言ったものの、流石に9万円ともなると少し勿体無い気もする。義輝も同じようで納得はしていないものの、ムスっとした顔で頷いた。どうでもいいけど、こいつの上半身裸はちょっと気持ち悪い。
「うむ。……しかし必要な生活必需品はあるか? 一応、扇風機にテレビに冷蔵庫と一通りは揃っていると思うが……」
「そうすると、家電の買い替えは必要ないって事になるな。エアコンもぼろっちいけど、一応あるし」
「電気代が高いのが困るが、わざわざ買い換えてもそう変わらないだろうしな。俺達も来年は4年だし、ずっとここに住むとも限らないしな」
来年はいよいよ4年生だ。年が明ければ就職活動なんかも必要になってくる。俺はおぼろげだが、具体的に進路は固まっている。義輝は出版社を受けるか作家を目指すかで迷っているらしい。隼人については全くわからない。親の仕事を継ぐのか、どうするのか。俺達にはまだ何も言わない。まぁ、俺も義輝と隼人に進路の事は話していないのでイーブンと言えばイーブンだ。まずは、あの人に報告してからこいつらにも話してもいいかな何ては思っている。
「そうだなぁ。というと、何かぱーっと派手に使ってみるのもいいかもしれんな。……たとえば、旅行とか?」
「珍しくいい事言うな。……ただ、お前らと旅行か」
「なんつーか、修学旅行の再来みたいな感じしかしねぇんだけど。女子に泣かれるわ。フられるわで散々だったわ」
「……あの時はまぁ、色々と迷惑をかけた」
隼人が申し訳なさそうな顔でそう言った。昔は俺の事をあの件で色々とわかった気になって上から色々言ってきたが、今では違う。迷惑はかけたというが、謝罪まではしない。俺ももう全く気にしてないので、非常に不本意で気持ち悪い言い方だが、こいつも俺の事をわかってきたんじゃないかと思う。ついでに戸部と海老名さんは大学に入ってから付き合い始めたので俺としても体を張った甲斐があると言うものだ。戸部が真面目な顔をして俺に話に来た時は本当にびびった。
「そうだなぁ。隼人の所為で彩加と一緒にお風呂入れなかったから旅行もいいかもしれねぇな」
「そこは俺関係ないと思うんだけど……。強く出られない」
「しかし、4人で9万で京都はちと辛いの。……京都に行くなら卒業旅行でもいいし。また別口で金を溜めるのもアリではあるな」
「そうだな。旅行はそういった形にした方がいいかもな」
こうなってしまっては、どうしようもない。3人で3万円ずつわけてもすぐにくだらないものに使ってしまうだろう。隼人なんかはバイト代の殆どが交際費で消えている。何回か飲みにいって終わりでは溜めた意味が全く無い。俺も俺で、ゲームか本かマッ缶に変わるかなのでこれもどうかと思う。
「高級焼肉に行くのもなぁ。この前、大魔王の気まぐれで連れてって貰ったばっかだしな」
「美味かったが、あそこまで高いと食欲が削げたでござる……」
「しかも陽乃さんの事だから何時気が変わって、やっぱ割り勘でーなんて言いそうだから怖いんだよな。実際、俺達のそういった反応見て楽しんでる所もあったからな」
「本当にどうしようもねぇ金の使い方だ……。そういや、その辺りにあの店の割引券あったよな?」
「うむ。確かこの辺に……」
この家も最近一色の襲来を皮切りに来訪者が増えたので、お土産や私物が置かれる事が多くなった。大魔王は寝巻きを常備しているし。沙希も専用のエプロンがある。戸部も偶に来ては酒やらパチンコの景品やら海老名さんに見つかりたくないものを置いている。今度から、戸部だけ貸し倉庫みたいにして金をとるべきだろうか。彩加も寝巻きを置いていけばいいのになー。何なら彩加が着るまでに俺が着て暖めておくまである。伸びちゃうか。でもだぼだぼパジャマ彩加もアリだと思います。
「そういえば、あの割引券戸部にあげた気がするぞ。姫菜と一周年記念デートに使うから欲しいとか言ってたからさ」
「1周年記念のデートで割引券使うのかあいつは……」
「うむ。そのようだな…………。しかし、代わりになんか妙な紙が置かれているのだが……」
義輝が机の上に置いた紙には、黒にピンクの文字で色々と書かれていた。「60分8000円」だの。「若い子いっぱい揃えてます」だのと色々ある。どうやら、風俗の優待チラシらしい。今時こんなもん配ってる店があるのか……。どうやら、戸部が焼肉の割引券の代わりに置いていったもののようだ。どうするのよこれ……。何ともいたたまれない空気だ。興味はないわけではないが、口に出すのは気が引ける。
「………………」
「………………」
「………………」
静寂が流れ、そして俺達は──
●
「来てしまったな……」
「うむ……」
「そうだな……」
何故かわからないけど俺達は駅裏の繁華街に居る。何故かわからないけど、手には1人3万が握られている。本当に何故かわからないけど。だって仕方ないじゃない、男の子だもの。それに、これは社会勉強なのだ。そうだ。うん、そうだ。こんな事を家でもこいつらと話していたような気もする。隼人なんかは恥ずかしいのか、帽子を深くかぶって伊達眼鏡までかけている。じゃあ来なきゃいいのに。そんな感じの隼人だが、テンションは高いらしい
「……で、誰から行くんだ?」
「え、皆で行くんじゃないのか?」
「我、貴様らと待合室で一緒なんて絶対嫌でござるぞ」
ネットで見た知識だと、まずこういった店は待合室に通され、そこで指名やらプレイ内容やらを決めてお金を払うらしい。義輝の言う事もまぁわかる。正直、こいつらにプレイ内容聞かれるのは確かに恥ずかしい。それに、誰を指名したのかなんていうのも、なんかこう、気恥ずかしい。普通の男友達ならここは盛り上がるんだろうが、いかんせん俺達は捻くれぼっちに中二病と縛りプレイ似非リア充なのだ。全員が全員とも少し面倒くさい。
「じゃ、まずは八幡から行って来いよ。一番手は譲ってやる」
「……は? 何で俺なんだよ。お前らから行って来ていいぞ」
「ふむ。臆したか……。まぁ、あんな美女達に迫られて逃げ出し続けている貴様には少し荷が重すぎたか」
怒ってはいけない。ここで義輝の思惑に乗ってしまっては駄目だ。ギリギリの所で何とか心を落ち着ける。「お兄ちゃん、心を落ち着けて(裏声)」……よし、これでいい。
「彩加殿だってあんなに男らしくなったというのに、貴様はこれからも成長せんのだろうなぁ」
「……わかったよ! 行ってやるよ! 先に可愛い子頂くからな! 知らねぇからな!」
ここまで煽られては行くしかない。特に、彩加を引き合いに出されては引くに引けない。あれだけ彩加も自分の殻を破ろうと頑張ってきたんだ。別にここで一番手を俺がきる位なんて事はない。むしろ地雷を引く確率が減って有利とも言える。義輝達の方はもやは振り返らずに、俺は繁華街の裏道を歩いていく。夕方過ぎたからか非常にガラが悪い。客引きはそこらに立っているし、ホテル前には外国のお姉さん方が煙草吸いながらわけのわからない言語を喋っている。ここ本当に日本? そして、俺は店の目の前にたどり着いた。ここからエレベーターで上がれば、もうそこは店の中である。……エレベーターのボタンを押す手が震える。
「………………くっ。し、静まれ俺の右腕……」
何をやっているのだ俺は。まるでどこぞの中二病のデブじゃねぇかこれ。いや、これ無理でしょ? 緊張してボタン押せないもん。狙い定まらないもん。確か俺の座右の銘は「推して駄目なら諦めろ」だった筈だ。あちゃー駄目だこれ。ボタン押しても駄目だこれー。諦めるかー。仕方ないなー。それにこんな所を誰かに見られたらただでさえ評判の悪い俺の評判が更に悪くなっちゃうし、こんなか弱い俺がカツアゲやボッタクリにあっては警察さんの余計な仕事を増やしてしまう。うん、それじゃあこの国の治安維持の為にもこれ以上ここに居てもしょうがないからもう戻るか。そんなこんなで踵を返して店の前から離れると、近くで義輝達がニヤニヤしながらこちらを見ていた。
「賭けは我の勝ちだな。100円だすがよい!」
「くそっ。八幡に期待した俺が間違いだった……」
どうやら賭けをしていたらしい。後、隼人君ちょっと君言ってることおかしくない? 高校時代、何だかんだ君に期待されて色々やらされた気がするんですけどそれはまぁいいや。
「予想通りだったな。流石は理性の化け物(笑)と言ったとこか」
「まぁ、所詮は自意識の化け物(笑)って事だな」
「ぐっ……」
しかしまぁヘタレはヘタレなので何も言い返せない。後、その(笑)本当に辞めろ。心の底からイラっとくる。ついでに君達、何でその仇名知ってるの? 陽乃さんが俺につけた不名誉な仇名だ。い、一瞬でもかっこいいだなんて思った事ないんだからね!
「そこまで言うなら、次は隼人行ってこいよ」
「うむ。次は隼人だな」
義輝が一瞬で裏切ってこちら側についた。恐ろしい程の変わり身の早さである。隼人が焦った顔をするが、二対一では勝ち目がないと判断したのか、口を歪めた。大方、こいつがこんな話に乗ってきた理由は予想がつく。一緒に暮らし始めて半年だ。どれだけ取り繕っても葉山隼人も健全な男だという事は俺も義輝もわかっていた。表には出さないが女体には興味があるし、表には出さないが猥談も嫌いではない。そして、自分がモテる事も理解している。高校時代は特定の相手を作らないようにしていたようだが、大学に入って色々吹っ切れたのか三浦とも連絡を再び取り始めたのも知っている。
そこで、問題になってくるのが"夜の部"でも"完璧な葉山隼人"を演じられるかどうかだ。俗説では「童貞可愛い」だの。「慣れてると逆に引く」だの。俺達を慰めるが如き意見もあるようだが、小町曰く「男性からのリードはしてほしい」との意見がある。俺の中で小町の意見は絶対なので俺はこの説が世間一般的だと考えている。……ていうか今気づいたんだけど、何で小町そんな事考えてるの? 誰かそんな相手いるの? もしくはもうしちゃったの? お兄ちゃん許さないよ。…………話が逸れた。まぁ、そんなわけで隼人も概ね同意見なのだろう。だが、自分だって初めてなので自信がない。だから、今回の事を良い機会と捉え、ここまで来たのではないか。
「行ってこいよ、隼人。そんなにビビるもんじゃねぇよ」
「かっこいいな八幡。さっき自分はビビって逃げてきたのにサラっとそういう事言えちゃうとこ、我マジドン引きするぞ」
「わかったよ」
隼人が息をついて歩き始めた。その足取りにもう迷いは無い。胸を張り、何時もの葉山隼人らしい余裕をもった笑みを浮かべてエレベーターの前に立った。
「隼人の奴、良い顔してるな」
「うむ。ようやく吹っ切れたみたいであるな。あ奴らしい、とても爽やかな笑顔だ」
「…………あの笑顔がこれから曇るのは辛いな」
「…………うむ」
俺達の視線の先。隼人の背後にこそこそと近づく影が一つ。エレベーターのボタンを押した隼人の背中を指で突き、振り返った隼人はにっこり笑う大魔王の姿を見て表情を絶望に染めた。
○
「やーい、むっつりスケベ」
開口一番、大魔王はそう言い放つと心の底から楽しそうにビールを飲み干した。あれから俺達は大魔王に連行されて高級中華料理屋に居た。大魔王があそこに居た理由は知らない。強いて言うなら、雪ノ下陽乃は何でも知っているとの事らしい。マジで我が家に盗聴器が仕掛けられているのかも知れない。今度義輝と一緒に探す事を心に誓った。隼人はというと、青い顔でブツブツ喋りながら下を向いている。学校の同級生とかならまだしも、相手が悪い。こいつにとっては陽乃さんは幼馴染なのだ。ショックはでかいだろう。
「隼人も男だったんだねぇ。お姉さんとても嬉しいなぁ。人形のようなつまらない男かと思えば、きちんと雄としても本能もあったみたいね。まさか、私の下着とか盗んでないよね?」
「するわけないだろ……」
現在、隼人を玩具にして遊ぶのに陽乃さんは御執心だ。俺たちはといえば、矛先が隼人に向かっている隙に料理をガツガツ頬張る事しかできない。すまない、隼人。めっちゃ美味い。「邪魔しちゃったお詫びに好きなだけ食べていいよ」なんて言われたら全力全開で食べるしかない。ここで来週分ぐらいまでのカロリーはとっておきたい計算だ。
「ねぇねぇ、隼人。誰を指名する予定だったの? 四番のまなかちゃんなんて子は雪乃ちゃんに何処か雰囲気似てない?」
「知らないよ……」
「あ、じゃあじゃあどの子がタイプ? このなおちゃんとか? 隼人もギャルっぽいのが好きだねー。見て、パンツの色ピンクだよ?」
正にサンドバッグ状態である。俺も北京ダックを食べてなかったら隼人の味方をしていたまである。漫画でしか見た事なかったけど、これホント美味いんだな。スマホで俺達が行こうとしていた店のホームページを見ながら、陽乃さんはひたすら隼人の心を抉り続けていた。あ、つばめの巣とアワビのスープはこっちでーす。義輝はこっち見るな。
「隼人モテるんだし、童貞何かその気になればすぐ捨てられるでしょ? 何でわざわざお金払って捨てる必要があるのよ」
「……どうでもいい相手としたってしょうがないし。葉山隼人がリードできないなんてありえないだろ。それで幻滅されたらどうするんだ」
……つばめの巣って味がないんだな。確か、栄養価がとてもいいとは聞いた事があったけどこれはマジだな。ただ、スープが抜群に美味いから何も気にならないけど。アワビの触感もいい。
「本当に好きな相手なら、それだって愛おしく思えるものよ。背伸びしなくたっていい。隼人が好きな子は、その程度で幻滅するような子なの?」
「それは、違うと思いたい」
「なら信じてみなさい。信じきれたら、きっとそれは本物だよ」
スープを飲み終わるとふかひれの姿煮が運ばれてきた。いや、本当にこんなものを食べていていいのだろうか。明日からまた豆腐生活だと思うと泣けてくる。
「…………っ! 八幡」
「何ですか?」
陽乃さんがイライラしたようにこめかみに指を当てて話しかけてきた。今ふかひれ食べるとこなんで邪魔しないで欲しいんですけど。
「今度は八幡にお説教だよ。あんな店で童貞捨てるぐらいなら、お姉さんの所に来なさいよ」
「いや……その結構です」
しまった。俺に矛先が向いてしまった。ずっと大人しく黙々と料理を食べていたのに何故なのか。ハフハフモフモフうるさい義輝を先に糾弾すべきではないでしょうか。というか、この人自分がとんでもない事を言ってるのをわかっているのだろうか。陽乃さんは確かに美人だし、スタイルも良い。一生の思い出になるだろう。うわ、でも全く興奮しない。むしろリトル八幡は恐怖で縮み上がっているまである。流石は俺の息子。よくよく見ると、陽乃さんの目の前には大ジョッキが何時の間にか4つ程並んでいた。このままでは旗色が悪い。義輝は全く役に立たないので隼人に目線を向ける。俺の視線を受け取ると、爽やかに笑った。
「まぁまぁ、陽乃さん。そんな事言ったって。陽乃さんだってどうせ経験ないんでしょう? 八幡は、経験豊富なお姉さんが良いみたいだよ」
……何言ってるのこの子。何時もの空気読みまくるお前は何処へ行ったの? 空気読めないお前なんて本当にただのイケメンじゃん。……いや、イケメンならいいのか。ともあれ、陽乃さんの肩がびくっと揺れた。顔がやや下に向き、髪で表情が見えなくなる。これはいけない。助けて義輝。
「確かに陽乃殿は耳年増っぽいでござるからなぁ。何かシャワーとか浴びたらいきなり無言になりそうでござる」
こいつも使えないいいい。何で陽乃さんを煽るの? 陽乃さんも陽乃さんであれの姉だし、絶対負けず嫌いだから。むしろ練習の段階で相手殺して勝っちゃうタイプだから。
「ゴムのつけ方とか知らなさそうだよな」
「そ、それぐらい知ってるもん!」
駄目です陽乃さん。これは完全に負けパターンです。ここが完全個室で良かった。こんな会話を聞かれたら出禁になってもおかしくない。しかし、こんな陽乃さんは初めて見た。酒を飲ませたのが功を奏しているらしい。隼人も義輝も随分と飲んでいるので何時もより喉の滑りが良いらしい。
「しかし経験ない癖に俺にあれだけ上から言ってきたのか。そう考えると、本当に耳年増だよな」
「うう……」
「ハイパー超人のくせに性に関しては中学生レベルとか、素人の妄想レベルのSSに出てきそうなヒロインでござるな。我の小説にだって採用しないレベルだ」
「ううう……」
もう言いたい放題である。陽乃さんの肩がプルプルと震え、そして勢いよく立ち上がった。
「────っ! 覚えてなさいっ!」
そう捨て台詞を残すとバッグを引っつかんで個室から出て行ってしまった。でででっでっででーはちまんたちはまおうをたおした。頭の中で勝手にファンファーレが鳴った。意外にもシモネタが弱点らしい。義輝と隼人は満足そうな顔で笑っている。言われて見れば、陽乃さんをやり込めたのは初めてかもしれない。
「初めて勝ったな」
「うむ。快勝といったところであるか」
「仕返しが来なきゃいいけどな」
「あの人だって仕事が暇じゃないさ。とりあえず、初勝利に乾杯」
隼人の音頭で俺達はジョッキを打ち付け、飲み干した後に再び食事を再開した。いや、高級中華とは本当に有難い。こんな高いものばかり食べて────
「…………なぁ、義輝。隼人」
「何だ八幡。辛気臭い顔をしおって、折角の高級中華が台無しであろう」
「そうだぞ。こんなもん、次何時食べられるかわからないんだから。楽しく食べなきゃ損だぞ」
「いや……そのな。陽乃さん逃げてっちゃったみたいだけどよ。………………こ、ここの支払いは誰が出すんだ?」
「あ……」
「あ…………」
やはり俺達は今後も魔王に勝てそうにもない。ちなみにお会計は何とか足りて俺達の手元には1人100円ずつが戻ってきた。
次回は四月です。
自分も大学時代に使った無駄金は30万を超えると今では思います。
本当にくだらない事に金を使えるんですよね。
誤字脱字の指摘をしてくださる方々ありがとうございました。