神炎聖剣少女ジャンヌオルタさん   作:ちゅーに菌

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作者かと思いました? 残念メジェド様でした!

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最近のFGOで登場した偉いエジプトの神様↑



ジャンヌオルタさんと魔王さん

 

無垢な寝顔で眠る少女に寄り添うように黒い影がある。

 

良い夢を見ているのか、小さな微笑みを浮かべる少女の目尻から一筋の涙が零れると、黒い影はその黒い甲冑とは真逆の死人のように白い指をそっと少女のほほに這わせ、涙を拭った。

 

その時の黒い影……ジャンヌ・ダルクの姿を普段の彼女を知る者が見たのなら目を疑うような光景だろう。それ程までに今のジャンヌの自然な微笑みは彼女らしからぬ慈愛や博愛に満ちていたのだ。

 

だが、そんなジャンヌの様子はいつの間にか止み、鼻を鳴らすと背後に目をくれる事もなく口を開いた。

 

「淑女を覗き見とは褒められた趣味ではありませんね?」

 

「そうか…いや、すまんなつい…」

 

どうやらジャンヌの目を疑うような光景を見て面食らった者がいたらしい。いつもの彼らしくはない苦笑いを浮かべている。

 

「……それで、なにか他の施設と変わったことはあったか?」

 

「その娘を拾いました。それ以外はいつも通りでしたよ。"アジュカ"様」

 

いつの間にかジャンヌの背後にいた人物は現四魔王のひとり、アジュカ・ベルゼブブその人であった。

 

アジュカはジャンヌから目を変え、視線をジャンヌの膝の上で眠る少女に目を向け、驚愕に目蓋を見開く。

 

「それは…」

 

「ええ、アナタの思う通りかと。ちなみに効果の程ですが多少は劣りますが、オリジナルと遜色無い出来でした」

 

「フェニックスをも複製するテロリストか…」

 

禍の団(カオス・ブリゲート)。それがこのフェニックスを産み出した組織の名である。同時にアジュカが秘密裏にこのジャンヌ・ダルクに研究施設の撲滅を依頼している組織の名でもある。

 

「収入源としては申し分無いでしょう。そこまで保存は効かないとは言え、戦争になれば喉から手が出る程欲しい事を知っているのですから。例えば保守的なアナタ方の上層部や、未だに旧魔王に後ろ髪を引かれている方々」

 

「…………否定できんな」

 

アジュカは老害と言っても差し支えない者達の事を思い浮かべ目頭を押さえる。

 

「更に悪いことに、"カトリーヌ"が既に製造されたという事実がある以上、私の施設潰しも鼬ごっこになりそうです。まあ、止める気は更々ありませんので取るに足らない事ですね」

 

この人並み外れて白く黒い少女。ジャンヌ・ダルクとアジュカ・ベルゼブブの奇妙な関係が始まったのは丁度、1ヶ月程前の事だ。

 

アジュカの元にディオドラ・アスタロトの女王だという者から一通の手紙が届いた事が全ての始まりである。

 

そこには極めて詳細なひとつの座標情報と共に、何故かアジュカが予定の無い休日の日付と指定の時間が書かれ、一言。

 

"世界のダニをひとつ焼却します"

 

そう添えられていたのだ。

 

流石に奇怪に思い、更には自身の本来の家の次期当主の女王からの情報となっては無視する事も出来ず、疑心を募らせながらその場所に向かったアジュカが目にしたのは彼でさえ気の毒になるような惨状と全てを焚く獄炎の中で笑うジャンヌ・ダルクを見たのだった。

 

「カトリーヌ…?」

 

「最初の私の妹の名です。この娘に付けました。もうこの娘は私とディオドラ…様のモノですから」

 

「…………構わん。これだけでも十分過ぎる収穫だ」

 

そう言ってアジュカはいつも通りジャンヌの隣りに積もっている山のような研究資料に手を掛けた。その表情は禍の団の行為に侮蔑を告げていながらも目は研究者の仄暗色に染まっていた。

 

 

 

アジュカにすれば少しの間であったが、現実では夕陽が見える程まで経過していた。3時間程だろうか。

 

いつの間にかアジュカを護るように斜め後ろにに立ち、身動きすらほぼせずにいたジャンヌにアジュカは声を掛けた。

 

「すまない…熱中してしまった」

 

「お気になさらずに、魔王の側にいれるなんて光栄な事です。私としても今より安全な時間もそうありません。まあ、この前のように他の禍の団の手の者が乱入してくれればまたアナタと共闘出来たのですが……それは少々残念です」

 

そう言って本当に残念そうに肩を竦めるジャンヌ。彼女のかなりひねくれた感性による出会いはアレであったが、ジャンヌはアジュカにとって非常に使い勝手の良いものになっている。

 

眷属以外である程度自由に動かせ、派手な行動は取るが、襲撃した施設で禍の団にも他の悪魔にも決して悟られる事はないというアジュカの駒達にすら無茶な事を平然とやってのけるからだ。

 

何せ最初に施設に大規模攻撃を仕掛け、施設の防衛機構や逃走方法に電信手段を燃やし尽くし、その神器の激しい憎悪から来る呪いをもってして転移魔法と通信魔法を完全に遮断する。

 

こうなってしまえば狙われた禍の団の助かる方法はその足で外に脱出する以外は無くなるが、施設内ではジャンヌ・ダルクが目に入るモノ全てを斬殺し、それを遣り過ごして命辛々外に出れば己より遥かな巨体を持つ竜が、己の何十倍もの速度で襲い掛かってくる。

 

結果どうなったかなど、襲撃を重ねる度にとある戦利品を喰らって徐々に強大になるジャンヌと、原型が殆ど残らない程に蹂躙され尽くした施設を見ればわかる事だろう。更には研究資料は全て無傷で確保し、過程で入手した神器は全て提出しているため言うことはない。

 

単にジャンヌ・ダルクは有能過ぎた。それこそ人の怪物(英雄)と呼ばれるに相応しい程に。これならば彼女が人を止め、悪魔に転生したのは何ら間違った事ではないだろう。

 

アジュカは書類を戻し、相変わらずフェニックスの少女を撫でているジャンヌに向き直った。

「…………ひとつ聞きたい事がある」

 

だからこそアジュカはこの問いを今投げ掛ける事にした。

 

「君は何故悪魔になったんだ? 禍の団に行く事も出来ただろう」

 

1ヵ月程の付き合いだが、彼女の事は多少理解出来た。そして、アジュカはこんな突拍子もない質問をしたのだ。

 

施設を破壊した後の死体、決まって全て終えた後でアジュカを待つ彼女の様子、アジュカが聞き出した彼女の思考など。様々な観点からの判断材料から推測した彼女の性格。

 

それは当代のジャンヌ・ダルクは紛れもなく子供を人質にするどころか、誘拐した敵国の子供に爆弾を括り付けて敵陣へ放り込むのを平然と実行するような外道であるという事だった。

 

だからこその問いだ。ジャンヌのような人種は清流で生きれるような存在では決してない。こんなところではなくテロリストとして活動していた方が余ほどに向いているだろう。実力、或いは精神共に。

 

「…………………………ハァ?」

 

ジャンヌは珍しく面食らったような表情で固まっていたが、やがて頬の口角がつり上がっていった。

 

「アハ、アハハ、アハハハハ!」

 

アジュカの質問が余ほどにツボに入ったのだろう。ジャンヌの目の端には若干の涙が溜まっている。

 

ジャンヌは一頻り笑い終えた後、不器用な笑みを浮かべる。その直後、アジュカは目を見開く。

 

ジャンヌの雰囲気が一変したのだ。まるで慈悲に満ち溢れた聖人とでも対峙しているかのようにアジュカの全身が悪魔としての拒絶反応を示す。それは彼女が何処まで堕ちようとも聖人であった名残であろうか。

 

ジャンヌ・ダルクはゆっくりと口を開いた。

 

「怒りに身を任せて全てを焼却しましょう。復讐の名の元に喉笛に剣を突き立てましょう。地に伏した死に損ないの首を切りましょう」

アジュカは口を閉口する。その方が彼女の機嫌を損ねて話を聞けなくなる可能性は薄いだろう。

 

「私の道の果てに神がおわしめすならば、私には必ずや天罰が下るでしょう」

 

ジャンヌはアジュカから目を逸らし、何処か遠くの空を眺めると、妖艶に映る手付きでそっと笑みを浮かべる。

 

「私はその日まで常に勝つ側についています。尻馬に乗るのなら悪魔。生憎、泥舟に乗る趣味は無いのです」

 

「そうか……」

 

話終えたジャンヌは聖人から悪魔へと戻る。ひょっとすると無自覚でしていたのかもしれない。

 

話を聞く限り、少なくともジャンヌの目的は禍の団の理念の遥か高み……いや、寧ろ下にあるらしい。アジュカはジャンヌが相変わらず信用にはおけないが、悪魔の上層の連中を相手よりはよほどに芯が通り、扱い易いと評価を下した。

 

「ああ、そうそう。少しでもアナタの負担を減らす為に言っておきましょう」

 

ジャンヌ指をピンと立てると嬉しそうに言葉を吐く。

 

「三陣営の和平の事はあまり深く考えなくともいいと思いますよ。禍の団の激化に伴い数年内に必ず成立します。場所は駒王学園でね」

 

「………………それは啓示か?」

 

「どうぞお好きなように受け取って下さい。私は誰でもなく私には嘘を吐きません」

 

ジャンヌはフェニックスの少女を両手で抱き抱えると、巨大な邪龍の足元に立った。

 

「では、アジュカ様。いつも通りテロリスト狩り(この)功績はジャンヌ・ダルク個人ではなく、ディオドラ・アスタロト様の女王。引いてはディオドラ様の功績としてお願い致します」

 

そう言い残し、恭しくジャンヌが頭を下げた直後、魔方陣が起動してジャンヌらは跡形もなく消え去った。自身の王の所に帰ったのだろう。

 

本当に全方面に極めて優秀な女王だとアジュカは溜め息を漏らす。あれで性格と信念と行動原理がマトモならばアスタロト家の時期当主の女王だという事を手放しで喜べただろうに…と。

「…………そうか…」

 

ふと、ジャンヌの事を考えていたアジュカの表情が一変する。更に愛らしい異端者と接してから常に感じていた強烈な違和感の正体に気付き、声を漏らした。

 

当代のジャンヌ・ダルクは裁判に上げられた悪魔のように神へを憎悪し、皮肉を語り、糾弾する。そして、時には無垢な信者すら神を否定させた挙げ句に殺すような事さえも快楽に感じる異常者だ。

 

だが、その実それは全ては如何なる聖者よりも神に盲信しているという事に他ならない。形は醜く歪んでいようと、既に居ないものと知りながらも唄に合わせ英雄伝を語り続ける詩人と彼女の何が違うというのか? 死者を語る上で冒涜は寧ろ必然だという事に彼女は考えて至っているのか?

 

そして、彼女は気付いているのだろうか?

 

狂った英雄ジャンヌ・ダルクという存在そのものが神が居た事の証明に他ならない事を。

 




忘れて暫くした頃にやって来る。どうも、ちゅーに菌or病魔です。

私の中のジャンヌオルタさんへの愛はまだまだ冷めていませんよ。ええ!

それより、私の中で今一番ホットなぽんこつお人好し女神ニトクリスちゃんのちちしりふとももとメジェド様のお話をしませ……うわ粛正騎士さん達なにするのやめ(この作者は聖伐されました)

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