姉が勇者として転生してきた為、魔王の右腕になって復讐することにした【凍結中】 作:ベクセルmk. 5
「ひゃぁぁぁぁぁぁぁ!修羅さん!燃えてます、ボウルの中身が燃えてます!!」
バレンタイン1週間前、アイナに土下座をしてまで料理を習いに来た3人は普段の戦闘や執務以上に苦戦していた。
「クロムさん、大丈夫ですか?」
第二厨房でチョコレート造りに励んでいるクロムの様子を見に行く。彼女は鍋で魔法生物を錬成したり、作った物が全て鋼を上回る硬度になるような事が無かった為一人でも出来ると思い4つある厨房の一つを貸し与えていたのだが・・・・・・
「はい、順調ですよ?」
一体これのどこが順調なのだろうか。赤い片手剣の上で沸騰する鍋に入った水、カカオに突き刺さった短剣、先がハンマーのような形になった剣、注射器を連想させる形状の
「どうやったら剣で調理ができるんですか!?」
「えーと、【竜殺しの炎魔剣】でお湯を沸かし【螺旋の短剣】(螺旋状の斬撃を放つ剣)でカカオをくり抜き、豆を取り出します。【
「わ、分かりました。続けてください」
頭を抑えながら見守るアイナ。きっとしっかり勉強したのだろう。そうでもなければここまで上手く行くはずがない。それ以上にクロムの技量には賞賛すべきだ。
(どうやったら、普通の調理器具が壊れないように剣で調理が出来るんですか)
などと現実逃避をしているうちに。
『うわあぁぁぁぁぁぁ!アイナ!キャラメルが、キャラメルが変な色生命体Xに!』
「ナハト様は、どうやったらお菓子の材料で魔法生物を錬成出来るんですか!?」
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それからというもの、アイナは3人の調理を手伝い続けた。
「はあ、はあ、はあ。やっと出来ました」
「うむ、会心の出来だ!」
ウェディングケーキを思わせる巨大なチョコレート。コーティングしてあるクリームからスポンジ生地、挙句の果てには灯っている蝋燭に至るまで全てチョコレートで出来たチョコレートケーキだ。
「なんとか出来た」
それは瓶に入った酒だった。正確には瓶底と注ぎ口がチョコレートで出来たチョコレートだ。勿論セットのグラスもチョコレートで出来ている。
「ええ、完成しました!」
彼女の手には6本の剣が握られていた。全ての剣にチョコレートに合うシロップがはいっており、剣自体は過多な装飾の無い簡素な見た目をしているが何故か神秘的な雰囲気を纏っていた。
「か、完成して良かったです」
「うむ、そうだな」
頷くナハト。次の瞬間アイナに手を差し出す。ナハトだけではない。クロムも修羅もアイナに手を差し出している。
「あ、あの、皆様?」
「「「これはお礼だ」」」
そこには何時の間に作ったのだろうか、3人が作ったものに比べればインパクトは無いが、花束の形をしたチョコレートを持っていた。
「嬉しいです・・・ありがとう、ございます」
乙女達の戦果に続きます。