姉が勇者として転生してきた為、魔王の右腕になって復讐することにした【凍結中】   作:ベクセルmk. 5

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番外の話 乙女達の戦場

2月14日。転生後の世界であるシャングリラにもバレンタインは存在する。

この日の楽しみ方は各国共通で、女が男にチョコレートを渡すというものだ。この日を楽しみにしているものは割と多く・・・・・・寧ろ楽しみにしていない極小数がよく思っていないだけだ。

しかし、『バレンタインガチ勢』なるものは違う。彼女たちは1ヶ月前ないし2週間以上前から準備に取り掛かるのだ。

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「あ、あの~これは一体」

「「「お願いします!訳を聞かず、料理を教えてください!!」」」

ブルームハート王国宮殿の厨房。そこには4人の女性がいる。

ひとりはアイナ・シャリティム。家事妖精(ブラウニー)の少女にして宮殿メイド長だ。そんな彼女達に土下座をするのが3人。

ひとりはラウル直属の戦闘部隊『十本指』の第二の指、クロムウェル・デ・ガウル。人狼族の剣士にして自らの家系が建てた逸話や伝承を剣に付与(エンチャント)するスキルを持った少女だ。

二人目はブルームハート王国軍の将軍、六華冠(ブルームシックス)の鬼姫修羅だ。鬼人族の名家である鬼姫家に生まれ、かつて無傷で勇者を倒したという噂ができるほどの実力者だ。

最後は、女王ナハト。王国女王にして魔族の王・・・所謂魔王の一人だ。不死不変の存在で、無限の魔力を持っており、時間魔法すら生み出した歴代最強の魔王とも言われている。

そんな三人が、1メイド長に土下座をしてまで料理を習う理由。

「はあ、バレンタインに向けて手作りチョコを渡したいけど作れないから習いに来たんですか?」

「「「うっ!」」」

図星だった。そして恐らく全員渡す相手が同じだということまで容易に予想できた。

「な、何を言っている?それでは私が領地の外では槍一本で勇者と互角に戦える、ただの小娘みたいではないか」

「それのどこがただの小娘ですか!」

自らが仕える規格外過ぎる君主に容赦なくツッコミをする。

「た、ただ単に元部下だからチョコを渡すだけだぞ?別に本命とか特別な意味合いはないぞ!?」

「見事なツンデレありがとうございます!」

鬼人族最強の女性が誰から見てもわかるほど乙女の顔をしていた。

「私は閣下に感謝の気持ちを込めてちょこれーとなるものを献上しようと思っただけですよ?手作りなら気持ちが伝わると思ったから手作りなだけです」

「そこ、献上とか言わない!手段は正しいけど目的が間違ってます!」

人狼って、意外と素直なんですね。

「分かりました。とりあえず戦闘服とか着物とか鎧だと調理がしづらいので、着替えてきてください」

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「ところで、何を作るか具体的に決まってるんですか?」

使用人服に着替えさせられたナハトはアイナにそう言われると、自慢げに答える。

「国民全員分のチョコチップクッキーと、愛弟子用のアイスケーキだ!」

「難易度!難易度高いですから!」

因みに女性用使用人服(メイド服)を着ているが、ロングスカートなのに動きやすいな。と思っている三人。

「修羅さん、貴方は?」

「酒入りのチョコだ!入れる酒は狂った火精霊(クレイジーサラマンダー)だ」

「アルコール濃度90以上あるんですが・・・クロムウェルさんはまともでいてください」

「閣下が望むのは量より質!材料はウルグと王国の秘境にあるプラチナカカオを――――――――――」

「今から取りに行くんですか!?」

彼女たちの奮闘はまだ終わらない。

 

 

 

 

 

 




乙女達の奮闘に続く

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