姉が勇者として転生してきた為、魔王の右腕になって復讐することにした【凍結中】 作:ベクセルmk. 5
『無駄だ、貴様ノ攻撃ナど!)
白い炎がカノンに迫る寸前、カノンが別の場所に移動した。
(・・・・・・また。魔法無しで転移された)
セラ・クラウディーの攻撃が全て回避されているのだ。
その上カノンが行った、セラに対する攻撃は全て命中している。
(スキルで回復出来てはいるが、このままじゃジリ貧ね)
「星よ、堕ちろ!」
その言葉と共に隕石を落とす。さすがにこれを避ければ、味方への被害も甚大だ。
「無駄ダと、何故気づかない!】
カノンは、隕石を素手で受け止め、空へと投げ返したのだ。
〈隕石など程遠い!<<星の魔力よ>>」
いつの間にかカノンの姿は、顎鬚を生やし弓と矢筒を持った姿へと変わっていた。
「イシュタル神!?何故、神の力を」
星から抽出した強大な魔力をどうにか結界で受け止めるが、その余波をミストヴェール教国の艦隊に襲い掛かる。
【
6つの顔と12本の腕を備え、孔雀に乗り槍を持つ若い青少年の姿のカノンが今度は雷撃を放った。
(雷霆は基本、雷神の・・・・・・いわばインドラやゼウスの物)
だが、あの姿は別の神の姿だ。確かに燃えるような目と赤髪を持つ、赤髭の大男というトール神の姿も交じってはいるが、元は軍神スカンダだろう。
「なるほど、貴女は全ての神の偶像になることができるのですね?」
~~~
「
巨大戦艦、『リヴァイアサン』に乗っている少年、ラウル・デス・ムーンがぼそりと呟く。
魔族の持つスキルの一つで、このスキルはその種族が長年かけて醸造したもの。所謂種の集大成とも言えるスキルである。そのためか、模倣も強奪も出来ない。
「あいつはある芸術家が作った、全ての宗教の神を一つの姿とした像だ」
「いわゆる、無機系種族だったんですね?」
隣にいたクロムウェルが質問してきたのでうなずいて答える。
「そいつらは自身と同じ像を造り、魂の器とすることで代を重ねてきた種族だったんだが・・・・・・」
カノンの代になった際、神としての偶像の姿ではなく、人間の姿を手に入れてしまったのだ。
「神像種と呼ばれる無機系種族について調べていた僕が、偶然カノンを見つけたってわけ」
「神の偶像。信仰心を受け止め、力とする神にとってその信仰を受け止める偶像は自身の一部と言っても同然」
「つまりあいつは、逆説的に神の力を行使出来るというわけだ」
~~~
「ミスタヴェール神は見えざる手で人々を救う。それを攻撃として解釈しましたね」
これで見えない攻撃は理解できた。とセラは呟く。
「だったらどうする!?攻撃が当たらなケれば意味がない!)
「こうします。【主よ、我が祈りを聞きいれ、汚れ多きこの世界を救いたまえ】」
それは、祈りだった。願いだった。それを、カノンは知っていた。自身の上司であるラウルの使う禁呪同様の長文詠唱を必要とする魔法。
・・・・・・否、これに至っては魔法すら凌駕した、それこそ人間の身の丈に合わない力である。
≪
「ええ。ハンムラビ法典位、神の代理人様ならばご存知でしょう?」
目には目を歯には歯を。
「神様ならば、神の力を受け止めれるでしょう?<福音
セラの手のひらから放たれた小さき光球が、カノンへと迫る。
この魔法を防御する事は出来ず、撃ち返す事も出来ない。放たれた瞬間、詰みだ。
「くそお゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ!!!」
光球がカノンに触れた瞬間、カノンの身体が内側から溶け始める。最後には灰すら残さず全て燃え尽きる。
「セラ様!敵艦隊が撤退していきます!」
「そうですか・・・・・・」
恐らく、ブルームハートの・・・・・・らラウルの目的は陽動。セラ達勇者の大部分を引き付けている間にクラウディアを制圧する算段だったに違いない。
「この戦い、われらの勝利だ――――――――――!!」
そう叫んだ瞬間、シャングリラ大陸全土を季節外れの吹雪が襲った。
急遽予定変更して開講しました申し訳ございません。