姉が勇者として転生してきた為、魔王の右腕になって復讐することにした【凍結中】 作:ベクセルmk. 5
瘴気の大峡谷を越えたラドラー平原。ミストヴェール教国領であるこの平原に、ブルームハート王国の将軍、
陣形は魚鱗、指揮を降しているのは『一華冠』、デブル・デプールだ。
「よし、陣形をそのまま維持!防御に徹しろ!」
正面から突撃してくるクラウディア大聖堂騎士団。彼らの主武装である
「なっ――――――――止められた!」
騎士の一人が驚愕で顔を染める。よく見るとそれは、盾を持ったゴーレムだった。
「機械歩兵は後方から射撃準備、ゴーレムは防御に徹し続けろ」
数秘魔導だけでなく、
デブル・デプール。ブルームハート王国北部で生まれた
魔導を完全に兵器として使い込めるように昇華させ、将軍となったのは、デブルだけだろう。
「
デブルが唱えるとゴーレムの防御がより堅牢になる。
「あまり舐めるなよ。私は
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「さて、デブル将軍はうまくやってるみたいだ」
ちょうどフェーリン海域の見える丘の上で、白いローブを纏った男・・・・・・否、性別どころか人間であるか、あるいはそれ以上の生物であるかも分からない『ソレ』はそこにいた。
「ラウル、君の作戦はうまくいってるよ」
今のところは。最後にそう呟き、ソレは魔力を高める。
「開放宣言――――――――
それは遥か昔、パンドラ帝国が現れるまで北の覇王と呼ばれていた国が密かに作っていた箱型の兵器。
『全兵器細胞開放、砲撃開始』
それは細胞一つ一つが大火力の主砲だった。放たれた先にあるのは沈みかけた教国の戦艦。そこで戦っている勇者と同胞。
「うん、腕だけじゃ足りなかったな」