星が大地に落ちてきたかのように、巨人が現れて全てが変わった。
スカルフェイスがスネーク達に吠えると、サヘラントロプスと名付けられたメタルギアは搭載する全ての兵器を全開閉させたのである。
炎がベースキャンプの入り口を焼いて嘗め尽くし、狙いが定まらぬミサイル群とバルカンはベースキャンプを文字通り引き裂いてみせた。基地内はおかげで警戒から混乱、逃走へと変化する。
それほどに激しい攻撃を、それも敵も味方もお構いなしに全力攻撃でやったのだ。
スネークはというと、その直前に走り出すことでヒューイを背負ってその場から離れようとしていた。おかげで致命傷はなかったが、安全な橋の下に飛び込むまでに火傷や切り傷を新たに作ることになった。
担がれていただけのヒューイは火傷が痛いと大人なのにみっともなくすすり泣きだす。知ったことではない。
アレはこいつが作った兵器なのだ。
「スクワッド!スクワッドリーダー、ゴート!?」
「……」
「オセロット!?」
『ボス。まだ状況が、少し待ってくれ』
早くしろ!と声をあげたいが、自分も橋の下に隠れている身の上ではそうはいかない。
『ボス、ピークォドは一旦離脱した。だが、問題はなさそうなのですぐにも戻れると言っている』
「だが対空レーダーがあるぞ。それよりもスクワッドは?」
『こちら……ゴート、スクワッドリーダーです』
「生きてたか!?」
苦しそうに咳込んでいるのは気になったが、とりあえず安心して自分の後ろについている不安そうなDDをみてにっこり笑った。
『すいません、ボス。みっともない醜態を……』
「いいさ。それで他の奴は?」
『皆生きています。一緒です、ですがーー』
「なんだ?」
『3人が負傷、俺も足をやってしまいました』
「そうか――」
とりあえずあいつ等は自分で自分の面倒をみることが出来た。死なれるよりは断然よい。
なにをするべきか、すぐに決まった。
「DD、よく聞いてくれ」
やかましいヒューイを放り出すと、相棒の前で膝をついた。ヒューイは自分を乱暴に扱われ、悲鳴を上げてやはりすすり泣いているが、抵抗することは出来ないらしく。そのまま倒れて動こうとしない。
「スクワッドのところへ行くんだ。あいつらを脱出させろ。俺とヒューイで囮になる、頼むぞ」
スネークの意志を理解したのだろうか。
何も言わずにDDは橋の下から飛び出すと、すぐに姿は見えなくなった。
「スクワッドへ。今から俺がヒューイと囮になる。お前達はその間に離脱しろ!」
『……了解です、ボス』
「ヘリを待たせるなよ。それは俺達だけで十分だ」
『スネーク、何を――!?』
『了解した、ボス。スクワッドはボスが囮になったのを確認して現地を離脱。ヘリとの合流地点を設定する』
半狂乱になりかけるカズを黙らせるように、オセロットは淡々と指示を出す。
「よし、ヒューイ。お前は俺といまから巨人の機動テストをしてやろう」
「正気なのか?君は馬鹿か?スネーク、君はおかしいよ」
「お前が作った自信作なんだろう?なんで動いているのか不思議がってただろう。お前の目で直接、確かめさせてやる」
ヒューイを再び担ぎあげると、カービンを手元に引き寄せる。
弾倉の21発をフルオートで撃ったら、どうせこれはお役御免になる。橋の下からゆっくりと出ていくと、丁度背中を向けていた巨人にむけて銃口を向けた。
ゴート達スクワッドは死にそうな顔をしていた。
痛みや苦痛からではない。自分達の存在が、はっきりとあの人の重荷になっている今が許せないのだ。
そもそもボスの指示に異論は許さない、というのが出動した後のルールだと言われている。拒否はできないが、それでもできることは残っているはずだ。
「ゴート……」
「言うな!ボスの命令は絶対だ、だから離脱する」
「しかし――しかしそれじゃ!?」
「ああ、そうだ。俺達は戦場であの人の荷物であってはならない。そうだろう?」
リーダーといわれるだけあって、ゴートの頭脳と判断には見るべきものがあった。
「俺達は武器を捨てる、荷物になるものは置いていく。ただしラムとワスプ、お前達は違う」
そう言うと自分のiDroidを渡す。
巨漢のラムとワスプはこの中では軽傷ともいえないかすり傷でいたので、この選択には意味があった。
「ボスは多分、北西方向の研究棟に走るだろう。巨人の目から逃げるには、あそこじゃないと隠れられない。お前達はすぐに北の出口を目指せ」
「北だって?」
「そうだ。ただし途中で破壊してもらわないと困るものがある。対空レーダーだ、わかるな?」
全員の目が輝いた。自分達の価値を示すチャンスがある。
レーダーを破壊すれば、このあたり一帯の空域に大きな穴が生まれる。
「準備しろ、俺達もな。2人抜けるが、怪我人は確実にヘリに到達しないといけない。それがボスの命令だ」
「どうする?お前は足をやってるし、ヴェインもフラミンゴも軽傷とは言えない」
「ボスが使ってたウォーカーギアだ。あれがまだ入り口にある。俺が使って1人を運ぶ」
そういうと橋の方から銃声が聞こえて来て、巨人はそちらの方へと向く。
始まったぞ。
DDが低く唸りだし、スクワッドに行けよと指示を出すが。最後にゴートはラムとワスプに伝えることがあった。
「レーダーの破壊は出口を出てからにしろ。途中見つかるのもナシだ。ヘリはここから北部地域にはおいそれとはいけない。数日は――」
「わかってるさ、それじゃ」
言葉少なく2人の男女が走り出すのを確認すると、自分達も動き出す。
『ん、スクワッドリーダー?』
「オセロット!俺達はボスの命令に従ってます。ですがーー」
『わかってる。ヘリの到着に遅れるなよ』
話のわかる上司は助かる。
しかし、だからこそ自分達も絶対にやり通さなければ我がままを通した意味がない。足を引きずって走るゴートに続き、クラブは両方の肩をそれぞれにフラミンゴとヴェイルに貸して引きずるようにして駆け出していく。
最後をDDがついていき、研究棟に続く道を走る巨人の後ろ姿を一度だけ見返した。
それはもう、追いかけっことかいうレベルではなかった。
童話に「ジャックと豆の木」というのがあるが、巨人とスネークはまさにあんなノリである。
建物に寄り添うようにして隠れて常に移動を続け。崩れかけた研究棟の跡地に飛び込んだ時などは、差し込まれた鋼の手を必死によけ。
顔をそこに押し付ける巨人の横を全力で走って隣の棟へと転がり込む。
警報が鳴りつづけたせいもあって、電子錠は閉じられたままなのでこのまま、外でかくれんぼを続けるしかない。
『ボス、スクワッドはベースキャンプから離脱。ヘリも回収にむかっている、あとはあんただけだ』
それは良い報告だ。
『頑張れ、ボス。静かに移動しろ、そいつはあんたがどこにいるのかわかっていない。離れるチャンスを待つんだ』
オセロットは元気づけようとするが、それに関しては疑問が残る。
この巨人は、こちらの姿を間違いなく見失っているにもかかわらず。どこに隠れているのか、なんとなくわかっているような行動をスネークを追ってきてからずっと見せていた。
目線をあらぬ方向に向けることはあっても、その体は決してこちらから離れたところに移動する様子がまったくないのだ。それがどうしてなのかはわからない。
そうなるとやれることは一つに限られてくる。
情報端末をとりだすと、設定を送る。
タイミングをはかってここから基地の外にある合流地点まで直線で約500メートル。これをヒューイを担いで全力疾走する。辛いがやらねばならない、助からない
勝負の出だしは悪くなかった。いや、最高と言っていい。
巨人はまた崩れた研究棟に気になりだすと、そこに覗いたり、バルカンを撃ちこんだりしていた。その後ろを抑えて駆け抜けたが、奴は面白いことにその時だけはこちらには気がつかないようだった。
それでも、出口まで残り200メートルのあたりで後ろから凶暴な声があがる。
遠く道路の上を人を担いで走っているところをついに見られてしまったのだ。だが、こっちだっていまさら隠れてやり過ごすなんてわけにはいかない。
息が切れるし、体はきしむしとすぐにでも背中のヒューイを道端に放り出したい気になるが。そんな苦しさを忘れるように、スネークは懸命に走り続けた。
そうやって丘を上って降りてきたヘリにたどりついた時には、さすがにビッグボスなどと崇めたてまつられようとも。肉体は老人で、足はフラフラで、ひどい有様である。
『ボス、ヘリのバルカンを使え。奴を牽制するんだ!』
わかってる、まだ休めない。
オセロットの言葉に従い、急上昇するヘリから地上に向けて狙いも滅茶苦茶にスネークはすがりつくようにして動かすバルカンを撃ちつづけた。
その攻撃がどれだけ効果があるのか全く分からなかったけれど、いきなりベースキャンプの対空レーダーが爆発するのを聞いて、奴は一瞬だがこちらから体を逆に向ける。
これが勝利のカギだったらしい。
遅れてこちらに飛びついてこようとジャンプしたあたりで、こちらの攻撃にさらされ。あっという間に大爆発をおこしてサヘラントロプスは四散しながら地上へと落下していった。
「直立型2足歩行兵器、霊長類に例えるならばサヘラントロプス。ぼくなしで完成するわけない」
『話はこっちで聞こう』
ヒューイは冷たいカズの返事が聞こえたのか、こちらにまたあの媚びるような笑みを向けてくる。
何も言うこともないし、言いたくないので。スネークは乱暴に黒の麻布をヒューイの顔に被りなおさせた。
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ヒューイ回収作戦終了から20時間がすぎた。
ビッグボスは珍しく、自室にビールの箱を部下に届けさせると。1人でそれを飲み尽くすつもりだと宣言して引きこもった。
飲まなきゃやってられない、そんな気分になっていたのである。
酒を不味くさせるが、聞かなければならないテープがあった。
ヒューイをオセロットとカズが6時間にわたって責め抜いた記録である。正直、素面でこれは聞いていられなかった。
話は完全にループしてしまっている。
自分は悪くない、正しいと思ったことをしようと思い。皆に勧めて、そんな事をした自分だからこそ責任もって遂行しようとしただけだ。なのに、僕はだまされたんだ。
ヒューイの口から出た証言はこれだけだった。
この理屈を崩そうとつつくと、今度は途端に話がキリモミを始める。
カズはサイファーと通じていた。オセロットはスパイ時代、米国とも繋がっていた。ゼロを知っているだろう?
どこで聞いたのか、知ったのか。自分の証言がゆさぶられると、途端に「スネーク、こいつは裏切り者だ」と誰かを差して叫ぶのである。呆れるし、アホらしくなる。
どうやらヒューイはこの意識を変えさせないと、9年前の事件のことを細部まで言うつもりはなく。その後のスカルフェイスの話も、どこまで信じたらいいか分からない程度に事情を知って、狡猾に振る舞おうとしたがっているようだった。。
カズは一時、激昂してついにヒューイの片足を。あの不格好な鉄の寄り木でそれらしくできる足を使い。逆方向に曲げてネジ切ろうとまでしたというが。それはさすがにオセロットがとめたという。
証拠は何一つ出てこないし。そもそもまともに話すにしても、アレでは長期戦になりそうだ。それがオセロットが口にしたことだった。
まったくスッキリしない話である。
それと同じことはスクワッドの連中にも言えた。
スネークがちょっと甘い顔をしてみれば、途端につけあがってくる。対空レーダーの処理は悪くないことだとは思うが、おかげであそこに残った2人の救出には10日前後の時間がかかりそうだと聞いてはさすがに気分が悪い。
長時間の任務とはいえ、彼等の中にも怪我人が多かったのも気になる。
そんな事を考えていると、ビッグボスが塞ぎこんでる様子を見ようとオセロットが部屋を訪れた。
彼は部屋の主の断りなくビールのビンを一本とりあげて、やはり勝手に座ると口をつけた。
「オセロット、あいつは――」
「クワイエットは結局、医療班に引き取らせた。近づけるのは限られた人間だけだ」
「ほう」
「本人は従う様子を見せているが、それが返って気になる」
「なにかあるのか?」
「俺は最初――クワイエットはあんたに再戦を申し込むために、ここに来たと思っていた」
「まぁ、そうかもな」
「サイファーの命令を受けた彼女は、なんらかの奥の手を持ってここに乗り込んできた。だがらわざと監視を甘くした。檻に入れたが、彼女ならあの鍵なんてないも同じだっただろう。彼女を薄気味悪がって兵士達は近づかない、ボスの部屋はここだ。いつでもチャンスはあったはず。ところが――」
「ところが?」
「なにも。なにもない。あんたは死んでないし、襲われてもいない。あいつは動かなかった」
滅茶苦茶な言われようだった。
こっちに黙って囮にしておいて、ちゃんと考えはあっただろうが。あの女はあんたになにもしなかった、とはどういうことだ。
「人を囮にして、残念そうに言うな」
「そう見えるか?実際、少し困っている。彼女は人とのコミュニケーションを拒否している。言葉はわかってるようだが、話さない。筆記もしない。だが、こちらの指示には従う」
「ふむ」
「形ばかりの拘束をしても。出歩きはするが。自分の銃を取り返そうともしないし。あんたを見張ってもいない。好き勝手に寝泊りして、捕虜のフリをして客人のように振る舞っているだけだ」
「カズはなんといってる?」
「いつもの奴だ。『あいつはサイファーだ』で、『すぐに殺せ』だ。話にならない」
「だが、考えはないんだろう?」
問いかけると、なぜかオセロットは黙る。
こちらを見る視線が、何やら怪しいのは気のせいか?背筋に冷たいものが流れて、思わず瓶を一本空けると、新しいのに手を伸ばした。
こっちが怪しみだしたと気がついたのか、オセロットは急に話題を変える。
「ボス、DDはどうだ。いい戦争犬になっているだろう?」
「どうだろうな、まだわからん」
「俺としては自慢の息子なんだがな」
「犬種はわからないな。ハスキーじゃない」
「オオカミ犬じゃないかな。オオカミの血が多く混じっているのかもしれない。DDは頭がいい、自己判断力もある。しかも勇敢だ。
時にはあんたの考えとは違うこともするかもしれないが、あいつなりに考えて行動している。従順なだけじゃないというところが、あいつの素晴らしいところだ」
「ふむ」
めずらしくあのオセロットが誉めているのが面白い。面白いから、そのまま続けさせることにした。
「あんたがあいつの特徴をもっと理解してやれば。お互いになくてはならないパートナーになれるはずだ。あいつを尊重してやってほしい」
「大絶賛だな、親バカを見ている気分だ」
「正しい評価を口にしているだけだが。まぁ、そう思われても仕方ない」
「オセロット」
「?」
「DDをなんでトレーニングしようと思ったんだ?子煩悩な山猫とは知らなかった。驚いた」
「いい犬だった。それに、きっとあんたの相棒になれるんじゃないかと思ったんだ」
「ほう、あの子犬を見て?」
「――訓練を終えて巣立ちの時が来れば、親元から出したくなる」
「だから俺に押し付けた?」
「あんたはもう、あいつを気に入っているだろう?」
どこまで本気かは分からないが、たしかにオセロットは見事にDDを鍛え上げて見せた。
俺も人と組むのは、今は相手を十二分に選んでからでないと御免だが。DDとなら全く問題はないと感じ始めている。
きっと、この先あいつの能力を引き上げるのはオセロットではなくこっちの役目なのかもしれない。それを伝えたいのか、オセロット?
その本人は席をたつと机の上に置かれたテープの山とカセットプレイヤーを見て
「カズヒラから渡されたテープか、例の?」
「ああ、お前のもあるぞ」
「……他にもテープがある。ボス、これは例の少女の奴か?」
顔をしかめたオセロットが指差した山は、パスと呼ばれた少女がこの世に残した音声による日記。
その半分は平和を愛する少女で、もう半分はあの場所で絶望し、苦痛にあえぐ彼女だった。どちらもその声を聞くのはつらすぎるものがある。
だがつらいというならそれ以外にも、他にもある、色々と。
そのすべてがビッグボスの人生だ、伝説のとおり厳しい試練の連続だった。
「ああ、俺の過去の情報につながるものは全部保管している」
「スネークイーター作戦まで?まだ持っているとは思わなかった――」
「俺の記憶は……かなり大きな穴があいていて、修復が必要だ。思い出すのにもきっかけがいる」
「そのために、これらの音声は必要……危険だぞ、ボス?」
「フラッシュバックとかいうやつのことか?そんなもの、こっちは9年も地獄に行って戻ってきたんだ。危険でも、なければ埋められない穴なら避けてはいられないさ」
「……」
もう、この記憶が完全なものとなることはないかもしれない。
だがそれでも、ビッグボスの過去はしっかりと残っている。ヴォルギン、ザ・ボス、ジーン、コールドマン。敵はもう記録の中でしか残らない。そして彼らと戦うため、ゼロ、キャンベル、カズらのサポートがあったことも重要な歯車のひとつだ。
過去の苦痛を思い出す危険は、彼ら強敵と仲間の支えと共にすることで、耐えるしかない。
「話を戻すが、カズはどう言っている?」
「ヒューイが唯一、俺達が知らないことを口にした。『サイファーは、スカルフェイスはアンゴラで活動する』。カズヒラは乗り気だ」
「そうか――」
「『間違いない、サイファーはアフリカ中部でなにかをしようとしている。
現地のPFとも接触している形跡もあるようだ。その痕跡を追えば、奴等が何をたくらんでいるのか。真実が明るみになるはずだ』とかなんとか」
「……ハァ」
「アフガンでの痕跡は途絶えた。サイファーを探すなら、ヒューイの情報とカズヒラの考えに賛同するしかない。アフリカで奴の痕跡を探すしかない」
「アフリカ、か」
「ボス、知っているか?最近、このあたりじゃダイアモンド・ドッグズを率いるビッグボスの活躍が話題をさらっているが。噂の中の彼に、新しい名前がついたのを?」
「俺に?なんだ、興味があるな」
「ビッグボスの新しいコードネーム、それがパ二ッシュド・スネーク」
「パ二ッシュ――神罰か」
「兵士のスカウトのためのストーリーだが、どうもカズヒラが流しているようだ」
「昔もネイキッド(裸)なんておかしな名前がついていたが、それと比べてもどうかと思うセンスだぞ」
「その名前はもうすぐアフリカでも聞けるようになるだろう。カズヒラは優秀だ」
「――俺達が行くのはいつだ?」
「すぐではないだろう。まだ、戻ってこれない奴もいるしな。どうした、ボス?」
思ったことを口に出さねばならなかった。
「スクワッドのことだが、俺は解散させたいと思っている」
「おい、ボス!?」
「待てよ、最後まで聞いてくれ。お前の目は信用している。不満は――なかった、これまではな。
だが、今回のことで俺が厳しく規準を再設定したい。ちょうど新しくダイアモンド・ドッグズの戦闘班も設立するというしな。俺も部下のことをもっと知らなくてはならないんだろう」
「まぁ、そういうのなら」
「アンゴラか……なにが待っているのやら」
ビールの酒精をやけに苦く感じさせる夜だった。
今回で第2章は終了となります。
次章は来週から、それではまた。