美しい神様と神様に魅せられた人の話 作：えーちゃんは疲れている
藤原佐為...佐為はとても綺麗だ。
そして、佐為が創る盤上の世界はそれ以上に綺麗で幸か不幸か幼い時にそれを目にしてしまった私の綺麗なものと謂えば佐為が基準となってしまい、心を動かされる程に美しいものに出会う事が少なくなってしまった。でも、それを悲観に感じることは今までになかった...振り向けば私の後ろには佐為がいて、思わず涙が出てしまいそうな程に美しく笑ってくれるから＿＿。
父は大学病院で医師として勤務している。
大学病院と聞けば華やかなイメージを持つかもしれないが、私から見た父は会社に勤めるサラリーマンと変わらないと感じる...時としてサラリーマンより更に社蓄として働いているのかもしれない。
朝は8時前には出勤し、夜は日付が変わる頃、体制として週休二日制らしいが休日でも受け持ち患者の急変があれば携帯に電話がかかりすぐに病院へ向かう。定期的に研究論文の提出もあり、締め切り間際になると生ける屍状態となっている。そんな父...お父さんに私が出来るのはお夜食に不格好なおにぎりと温かいお茶を持っていく事だった。今ではきちんと三角だって俵の形にだって握ることが出来る。
世間でも言われているがどこの病院でも医師不足に悩まされている。慢性期やリハビリを専門にしている病院であれば、少なくともやっていける所があるらしいが急性期や救急医療に力を入れていれば、そうはいっていられず、どこも医師を欲しがっている。比較的医師が満たされている大学病院では不足している周辺病院へ、時としては県を跨いで医師を派遣する制度があり、お父さんも派遣医師として出張する事が少なくなかった。そのため、祖父母の家に預けられる...と思うだろうが意外に子離れ出来ていないお父さんの為に私はいつも一緒についていっていた。過ごしてきた時間をトータルして考えると既にお父さんよりも四六時中一緒にいる佐為との時間が多いが、ちゃんと私もお父さんは好きで、恋しくなってしまうからついていく。結局、私も親離れ出来ていないので人の事は言えない。となると、小学校は定期的に転校する事になるが最終的には自宅区域の小学校に戻るため仲の良いお友達には『また、戻ってきたの？おかえり』と笑われてしまう。私的にはちょっとした長期の旅行のようなで、初めての時は緊張感もあったが今では慣れたもので自己紹介だって詰まらずに言えるようになった。
幼い、今も幼いがもっともっと今よりも幼かった頃から言葉にしなくても私の気持ちを考えを理解してくれる佐為という存在が隣にいたため私は自分の気持ちを言葉にすることが得意ではなかった...今も得意じゃない。だから、佐為と一緒に練習をして少しずつ言えるようになってきたが、佐為と二人だけの時にも思わず口に出してしまうようになって端から見れば独りでいるのに誰かと一緒にいるような事になってしまう、気を付けないといけない。
今回は葉瀬小学校に転校する事になった。下見は既にばっちりで、担任の女の先生も優しそうで良かった。お父さんはいつも申し訳なさそうに私の頭を撫でてくれるが佐為もいるし、大丈夫だからお父さんに向け笑って手でブイサインをつくる。
転校初日になるということで忙しいにも関わらず、学校まで車で送ってくれたお父さんを見送り私は私と同じようにランドセルを背負った子で溢れる校門をくぐった。生憎ここは地元の小学校とは違って制服がないからこれから朝の時間は洋服選びに時間がかかるだろう。
『帰ったら一局、打とうね。それで、今日は河合さんのいる碁会所に行こう』
肩越しに少し振り替えって佐為に伝えると佐為はうきうきとスキップをしながら閉じた扇子を振り回す。その姿が見えるのは私だけだけど、良い大人のそんな姿を他の人の目がある所でされるのは少しだけ恥ずかしい気がする。
『あぁ...早く、がっこうの時間が終わると良いのですが』
私もそう思うよ、佐為。
早く、終わらないかなぁ。
全く碁に触れていない。
本編と関係ない話ですみません。
色々とぶっこんでみました...すぐに分かっちゃいますよね(笑)
文章にならない文章に目を通して下さった方々には感謝の言葉しかありません。本当にありがとうございます。コメントにも目を通しています。ありがとうございます。アドバイスを自分なりに文章に取り入れてみました...オッサン幼女から少しは可愛らしくみえる小学生に感じられるといいのですが。
お気に入りに入れて下さった方々には最上級の感謝を。
有意義な時間潰し...には程遠いと思いますが、読んでくださった方々の暇潰しになれば幸いです。