美しい神様と神様に魅せられた人の話   作:えーちゃんは疲れている

1 / 8
作者はドが何十個もつく素人です。加えて日本人ですが日本語が得意ではありません。助詞の使い方、言葉の使い方の誤りがあると思います。文章も分かりにくいです。ガラスの心臓です。御手柔らかにお願い致します。


美しい神様と神様に魅せられた人の話

物心ついた時には既に母親という存在はなく、家族と言えば父だけだった。私が母親の事を口にすると父は顔を曇らせ、口をつぐんだ。仏壇には母親の遺影などはないことからそういう事なのだろうと思い、いつしか母親という言葉すら口にする事は止めた。

父も父で医師という職業柄、自宅にいる時間は限られており祖父母の家に預けられる事が多かったのは自然の成り行きだったのだと思う。

私は父は父でとても好きだったが、祖父母も私にとって好ましい人達であった。

祖父はどちらかと言えば気難しい気な雰囲気があり、厳格な人であったが私を頭ごなしに叱る事はなかったし、私を撫でる手つきは優しげでその視線は温かみがあった。祖父とは対称的に祖母はいつも柔らかな笑顔を浮かべており、口調もおっとりしていた。祖母に抱き締められると何故か胸がきゅっと締め付けられ、涙が出そうになった。私は母親という物を知らないがきっと祖母にそれを重ね合わせて見ていたのだと思う。また、彼女の作る料理はどれも絶品で父はお世辞にも料理が上手いとは言えず、自宅の食卓には惣菜が並んでいたため私が人並みに成長できたのは彼女のお陰である。

 

その日も意外に男勝りな私は探検と称して祖父母宅の蔵の中に忍び込み、埃を被った箱の蓋を開けたり、まだ習っていない漢字が羅列し、書いてある内容の殆どが分からない書物を開いて誰もいない蔵の中で得意気な顔をし、演説のような事をしていた。

暫くすると幼い私は疲労を感じて小さな棚のようなものに腰を下ろした。祖母に着せられた丈の短いワンピースからは細く短い太もも惜しげもなく露出していた。屈めば白い、トレーニングパンツも見える事だろう。この頃、私はまだトイレットトレーニングの真っ最中だったのだ。

窓がないからか、体温調節が充分に出来ない幼い身体の為なのか季節はまだ肌寒い春というのに、額には汗が浮かび少し動けば頬を伝い座っていた棚らしき物に落ちていった。座っている棚に触れた太股に違和感を感じた。短い指で座っている棚の表面に触れるとつるりとしたそれかと思っていたが網目模様の柄が施されていた。網目は丁度正方形でいくつも、数えきれない程に描かれていた。棚から腰を上げてその前にしゃがみこみ網目をひとつひとつ指でなぞった。その時の私には何故かその網目模様がとても美しく感じたのだ。美しい模様だというのに棚の隅には黒い染みがあった。私は不快感を感じて、ワンピースの裾を短い手で引っ張り棚を拭いた。しかしながら、最近付いたような汚れではなく、歳月を経ているのかワンピースが棚の表面を覆っていた埃で汚れるだけで染み自体がとれる事はなかった。諦めてその場に座り込むが、何かを気配を感じて顔を上げた。慣れた蔵の筈が、初めて蔵に脚を踏み入れた時のような緊張感を感じた。

 

『 』

 

誰かの声が聞こえたような気がした。一瞬、祖父母が私を探す声ではないかと思った。しかし、祖父母のそれではなくもっと若い男の声のように感じた。

 

『それが見えるのですか?』

 

今度ははっきりと聞こえた。やはり、若い男の声で、祖父母とはまったく異なる声だった。

感じていた気配が自分の後ろからするのに気づいた。そこに鏡などないため私自身の表情を見ることは出来なかったが、真っ青だったのではないかと思う。見なければいいのに、振り返る事なくその場から立ち去ればいいのに、この時の私は怖いもの見たさ...で振り返ってしまった。

季節は確かに春だった。桜が咲いていてもおかしくはなかった。しかしながら、窓のない室内で桜が散っているのはどう考えてもおかしかった。

振り返り、それを目にした瞬間私は目を見開いた。半ば恐怖に囚われていた身体から力が抜けた。

私の様子から感じ取ったのか目の前の言葉に表すことが出来ない、ただ白く美しい人は儚げな笑みを浮かべ、口を開いた。

 

『わたしが見えるのですね?』

 

私は見えない力に操られるようにただ頷いた。

 

『あまねく神に感謝いたします、わたしは今一度現世に戻る』

 

彼は私には難しい言葉で何かを言っていた。しかし、私には今一つよく分からなかった。ただ、分かったのは美しい人の頬に伝う涙が悲しげなものではないという事だった。何故か分からないが私には歓喜の涙であると感じたのだ。

そして、もうひとつ私は綺麗な綺麗な神様に出会ったのだと思った。

綺麗な綺麗な神様は私に名前を教えてくれた、藤原佐為_と。

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。