いえ、止しましょう。
何かあったときのために、かなり先を指定して最終話を予約投稿しておきます。
願わくば、話をすっ飛ばしの最終話になりませんように。
……と、この文もその時には消さないと行けませんね。
まぁ、闇谷以外見ない文でしょうし、もっとはっちゃけても良かったかな?
最後に、ここまで私のお話へ付き合って下さった皆様へ、感謝を。
では、最終話、どうぞお楽しみ下さい。
「オォォォォ」
悲鳴のようなモノをあげつつ空を泳いでいた緑の竜が落ちる。
「っ、ふぅ……」
張り詰めていた緊張が解け、ボロボロのままひざをつくと息を漏らすが、それぐらいは許して欲しい。
「みごとだっ! この私を6ターンで打ち負かしてしまうとは……」
「見事という割にはあっさり起きあがって居るんだが……」
「当然だろう。私は神竜だぞ?」
楽しげに起きあがる先程までの対戦者に恨みがましげな目を向けるが、神竜は何を馬鹿なことをと言いたげな視線を俺に返し、あっさり鼻で笑う。
(いや、それはいい。と言うか、目的は果たせた訳だしな……)
辛い戦いだった。
(まさか神竜との戦いをソロでこなさなきゃならなくなるとは、まったく思っていなかったしなぁ)
クシナタ隊のお姉さん達やトロワ、ムール君も居て戦力的に余裕だと思っていたところへ突然のアクシデント。
(まぁ、それで決心が付いた……気もするんだけどさ)
どことなく疲れた表情で立ち上がると、顔を上げる。
「条件は果たした。ターンとかメタ発言するのはどうなんだと言うツッコミはさておき、願いを叶えて貰いたい」
「……いいだろう。そなたの願いを一つだけ叶えてやろう。さあ、願いを言うがいい」
要求に答えが返り、後は俺が願いを口にする、それだけで全てが終わる。
(ゲームと違って選択式じゃないってのが大きかった)
だからこそ、選べる。本来無かった
(すべては、この為だったんだ。躊躇うな)
自分に言い聞かせ、拳を握り、大きく息を吸い込んで言う。
「俺と、結婚を前提に付き合って下さい!」
全力の、告白だった。
「……って、何が『告白だった』だぁぁぁ!」
心の底から叫びつつ、俺は身を起こす。
「っ、あ」
身を起こすという行動が引っかかって周囲を見回すと、そこは緑の竜と戦った場所ではなく宿屋か民家の一室。視界は若干ぼやけていたが、これは間違いない。
「ああ……夢か」
酷い夢だった。願いを叶えて貰えるところにこぎ着けるまでは良かった、だからって何故神竜に交際を申し込まねばならんのか。
「マイ・ロード、今のは?」
「あ、ああ、すまん。驚かせてしまったな。どうやら夢を見ていたらしい。まったく、我ながら度し難い。今はお前達も体調に気を配らなければいけない時だというのに」
気遣わしげな顔でこちらを見てくるトロワへ頭を下げ、自嘲気味な笑みを浮かべるとトロワのはち切れそうなほど膨らんだお腹に目をやる。
「もうすぐ、か」
「はい、ようやくママンにも孫の顔を見せることが出来ます」
尋ねれば、何処か嬉しそうに誇らしげにトロワは頷き。
「ヘイルさん、今の」
「スー様?」
パタパタと近寄ってきた壁の向こうの足音は扉を開くと、顔を出した数名の妊婦に変わる。
「っ、しまったな。他の部屋にまで聞こえていたか。すまん。実は――」
酷い夢を見た。同じ説明と弁解と謝罪をもう一セット終えてムール君やクシナタ隊のお姉さん達のお腹を見る。
「お前達ももうすぐ、だな」
理由は解る。ある日、口にした飲み物に妙な苦みを感じ。
(吐き出そうとしたところで誰かがぶつかってきたんだっけ)
昔のままならあっさり、ふりほどけた。だがこの時既に神竜へ挑むためパーティーメンバーは強化されていた。更に合わせ技で首にかけられたきんのネックレス。
(結局、誰が犯人か謎のまま、目を覚ましたら全員に手を出しちゃってた俺が居て)
神竜に叶えて貰う願いの一つは、やり直しのはずだった。
(……ただ、なぁ)
不本意な形であるはずなのに、嬉しそうな顔をしてるトロワを見ると決心は鈍り。
(だから、あんな変な夢を見ちゃったんだろうな)
やり直すべきか、このまま責任をとるべきかで迷走した結果、混乱してあんな願い事をしてしまったんだとしたら――。
「どうした、ダーリン?」
まどから しんりゅう が なか を のぞきこんでるのにも なっとく が いきますね。
「……と言う夢を見てな」
本当に夢オチで良かったと思う。
「それは、えっと……」
「いや、無理にコメントしなくてもいいぞ、シャルロット? 俺でもこれは流石にないと思っているからな。よっと」
複雑な表情で視線を背けたシャルロットの頭をポンポン叩くと、苦笑しつつ俺はベッドから出て立ち上がる。
「さてと、話をした通り、俺は神竜へ挑みに行く。神竜は挑み勝つことが出来れば、どんな願いも叶えてくれると言う。お前達が後れをとるとは思わんが、最悪のケースを考え保険をかけておくのは悪くない。俺もお前達についていきたいところだが、ゾーマとは一度戦っているからな。同行すればあの大魔王に余計な警戒をさせる事になるだろう。それぐらいなら、な」
迂遠でもこういった形のサポートの方が効果があるはずだと続ければ、シャルロットも納得してくれたのだと思う。
「……わかりました」
「すまんな。ああ、もちろん倒せるならゾーマはそのまま倒してくれて構わん。俺が用意するのは万が一に備えてのものだからな。不要になるならそれが一番だ」
頷くシャルロットに謝罪をすると冗談めかして許可を出し、服を着出す。
(とりあえず、トイレに行って、あとは朝食と……シャルロット以外の面々にも話をしておかないとなぁ)
まさかムールくん達と別れ、このポルトガに着たところでシャルロット一行とばったり出くわすとは俺も思っていなかった。
(まぁ、それはあっちも同じだろうな。こっちに気づいた瞬間、駆け寄ってきて――)
抱きつかれ、泣かれ、情報交換の名目で同じ宿屋に誘われ。
(気が付いたらシャルロットとベッドをとも、に……あるぇ?)
なぜだろう。そういえば、よこ に いた しゃるろっと、ふく を きてなかったような。
(ちょ、ちょっと待てよ! ない、ない、ないないないないないっ! こんな事があるはずがないっ!)
だって、今日は――エイプリルフールなんだもーん。
解ってると思いますが、エイプリル企画です。
ので、お話はまだ続きますよ?
最後のシーン、元バニーさんも出すべきかちょっと迷ったのは秘密。