「こっちは俺に任せてそれを――」
つけろと言う後半を省略し、
(勢いだ、こうなったら勢いで誤魔化すしかない)
ついさっき最悪の状況を想像したばかり。投げた布地がパンツだったなんて酷いオチはないと信じ、俺は
「従者を辱めた罪、償って貰おうか」
指輪のせいか、ちょっと心が痛んだが、この
「マイ・ロード……」
「トロワ、隠し終わったなら俺のフォローを頼む」
変則的だが、これをある意味戦闘のようなモノとするなら、俺が
「お前のお相手の一匹だ。うっかり入ったのはこっちの落ち度だが、混ぜて貰うぞ?」
ついでに元女戦士の変態修行のおこぼれにも預かるべく、参戦の断りを入れ。
(久しぶりな気がするけど、うまく言ってくれよ)
床を蹴った俺は
「これが、俺のシュゥゥゥゥッ!」
「ピギィィィィ?!」
「ぐっ」
吹っ飛ぶ
「ごふっ」
「ビギッ」
ただ、吹っ飛んでいった
「うぐっ、いい一撃じゃ……ないの、さ」
元女戦士はよたよたと身を起こすが、棘つきの服を着てやたら凹凸のあるおろし金を滑らされるハメになった
(うーむ、
何にしても、ヒントは貰った。そう、
「ところで、その服の予備はここにあるか?」
尋ねつつ、有るとは思っていた。あんな
(まぁ、原作では防具の破損とか無かったけどさ)
あの元女戦士の修行法は常軌を逸してるのだから、原作知識を引き合いに出したりその上に胡座をかいていれば、足を掬われかねない。
「あ、ああ。有るには有るけど……どうすんのさ?」
「決まっている。床か壁に置いて、そこへ蹴り込む。またぶつ」
「っ、見くびるンじゃないよ! あたいが居るじゃないのさ。さあ、どんどん来な!」
そして、おれ は どうやら また やらかして しまったらしい。
(なに それ。なんで、おこるの?)
何が元女戦士の心を駆り立てるというのか。矜持かそれとも変態的な趣向か。
「ま、マイ・ロード。予備が有るのでしたら」
「いや、お前は良い」
いいからね、張り合わなくて良いから。トロワにはきれいなトロワのままで居て欲しい。
(つーか、なんで こう なった?)
いや、胸の内とは言え問うた俺がアホなのか。元女戦士と接することを鑑みればこの程度は充分あり得たではないか。
(何だか見知った顔に暴力振るうみたいで気は引けるけど、このまままごついてる訳にはいかな……あ)
部屋は防音仕様、ドアは閉まっているというのに俺の優れた知覚力は、この時、それを捉えた、のだと思う。
(そう言えば、時間的にもそろそろスミレさん達、戻ってきておかしくないじゃないか!)
拙い、急がなければいけない理由が出来てしまった。
「はぁ、はぁ……ホラ、さっさと来な! なんだったら、はぁ、二発一度にでも――」
その上で、元女戦士からの最速。
「「ピ、ピィィ」」
怯える
「すまん」
短く謝罪の言葉を零すと、俺は
元女戦士にはぐれメタルをシュゥゥゥゥゥッ! 超、エキサイティンッ!
うん、本当にどうしてこうなった?
次回、第百三十九話「罪と罰」
何故だろう、あの元女戦士側からするとご褒美でしかない気がするのは。