オリ主が再びIS世界でいろいろと頑張る話だけど…side:ASTRAY《本編完結》    作:XENON

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七つの大陸が融合し生まれた世界《ワールド・フロンティア》


ゴルドドライブひきいるゴルド帝国、危険極まる時空犯罪者集団《ヴィルグ》…彼等からフロンティア世界を奪還したメサイア達はブラックホール内へ逃れた彼等との決戦に向け、一時の平和を送っていた


サルヴァージュ島、最深部にある空賊アナスタシア、同母艦アイガイオンにある一室で一人の少年《アレス・ルセディス》と空賊をひきいる首魁《悠那・クロスハート》とテーブルを挟み座してる


「……悠那・クロスハート、貴女に質問がある………」


「ん、なんだい坊や。口説くのかい?それとも私のスリーサイズを」


「…そんなつもりはない」


「あら、残念…で、何をききたいの?」


僅かに間が空く…アレスはゆっくりとハッキリと告げた


「……火星圏が国家として力を持つ為にはどうしたらいい…」





MarsDays:06 視察

火星圏、ヘルヘイムコロニー群、第五宙域ミストルティン

 

 

食料自給率を上げるために数年前から建造がはじまった農業コロニー数十基…至る所で作業員がプチモビで船外活動に従事している姿がある

 

完成すれば火星圏の食料自給率が飛躍的に向上する。地球圏から稀少鉱石と引き換えに食料を得つつギリギリの生活を送っていた火星圏の人々は飢えから解放される

 

しかし、地球圏連邦議会に籍をおき火星圏の支援者の中心人物《カデンツヴァナ》卿の失脚と暗殺により遅延。急進派派閥にとって農業コロニー建造は火星自治政府に対して発言力を高め、火星圏に棲まう民衆の支持を得る目的も含まれた計画だった

 

 

「ルセディス、コレが現在までの進捗状況だ」

 

 

「………メインシャフトは完成、ただ外壁作業が遅れているか。原因はやはり」

 

 

「スペースコロニー技術、外壁作業経験者《ビルディングスペシャリスト》不足だよ…オーストレルコロニーから完成はいつになるって釘を刺されているしジェダ同志もカリカリしてるよ」

 

 

ヘルヘイムコロニーから移動するシャトルの中でタスクから手渡されたデータシートに、アレスは目頭を軽く押さえた…コロニー建造技術自体はヴェーダから引き出している

 

このコロニー建造計画に参加しているのは働き口を求める人々。賃金、住む場所(建造したコロニーに住む権利)、3度の食事を保証する事で人員には問題ない上に士気は高いのだがコロニー建造技術者の不足が問題だった

 

 

「……技術者なら問題ない…オレが参加する」

 

 

「ルセディスが?でもキミは軍神の矢計画の責任者だ…コレ以上は負担が…」

 

 

「問題ない…オレが参加すれば20日で完成させられる…あと技術者もなんとかする」

 

 

「…………わかったよ。たしかにキミの力はコロニー建造には必要だ…それにこの建造計画が成功すれば食料配給も終わる。それに」

 

 

「………ああ火星圏開拓も進む…着いたか」

 

 

 

MarsDays:06 視察

 

 

シャトルがスペースゲートに入り伸びたアームハッチに固定される…減圧が完了し解放された無重力デッキには責任者がずらりと並んでいる。二人が姿をみて胸に手をあて靴を慣らした

 

 

「ルセディス統括官、タスク同志、ミストルティン第八コロニーへようこそ!」

 

 

「敬礼はいい…それよりだガダ責任者、オレも建造に参加する」

 

 

「ルセディス統括官が自ら!?ですがあなた様には…」

 

 

「かまわない。少しでも早く完成させ火星圏の食糧を賄わなければならない…このコロニー群は火星圏の人々の生命線だ…シフトに関してはオレとタスクが折半して進める」

 

 

「オレとしても君たちの負担を減らしたいからね。ガダ責任者を含めた作業従事者に感謝している。それにココまで完成させられたのは君たちがいなければ無理だった。誇りに思うよ」

 

 

「ルセディス統括官、タスク同志…」

 

自分たちの仕事を認めてくれた…ガダ責任者の瞳に涙が光るも拭う。しばらくしてエレカに乗り込みシリンダー内壁へと入る。アレスとタスクの目に入ったのは三面に火星から持ち込んだ土(ナノマシン入り)が敷き詰められた光景…少し先には作業従事者の宿舎、建造現場が見えてくる

 

エレカが静かに止まりガダ責任者と降りたアレス、タスクはメットを受け取り被ると歩き出した…

 

 

「内壁はほぼ完了しているみたいだな」

 

 

「はい、あとは外壁工事だけです…空気の循環と重力発生に必要な自転制御プログラムは8割完成し試験運用してます」

 

 

「そうか…」

 

 

「ルセディス統括官、それにタスク副統括官?」

 

 

自分たちの存在に気づいた作業従事者の声が響く。それは他の者にも伝わり作業を止め集まってきた…それを手をかざして止めた

 

 

「手は止めず皆聞いて欲しい。ミストルティン第八コロニー建造に従事する全ての者のおかげで完成が間近となった。君たちの力が無ければこの偉大なる事業は為すことは出来ないだろ…あと少しだけ君たちの力を貸してくれ」

 

 

「あと、オレとルセディスも建造に参加する…皆と共に完成させよう!火星圏の未来の為に!!」

 

 

二人の声が作業従事者の無線を通して伝わり、波を打ったように静まりかえり、やがて拍手と共に歓声が沸き上がった

 

 

「ルセディス統括官!必ず完成させますぜ!!」

 

 

「聞いたかヤロウ共!気合い入れてやるぞ!!タスク副統括官には恩があるしな!!」

 

 

 

「「「「「「「「おう!!」」」」」」」」

 

 

野太い声をあげる作業従事者達に少し頬を掻きながら隣にいるアレスを見た…微かだが笑みを浮かべている

 

しかし…

 

 

(……………この感覚…いや、まさかな…)

 

 

この世界にいるはずもない人間達の気配…イノベイターとして感じる、しかしこの世界にいるはずも無いと判断したアレスは臨時オフィスへとガダ責任者とタスクと共に歩き出した

 

 

歓喜に沸く作業従事者達の中に自分がかって迷い込み、戦ったメサイア達がいた事を…感じたのが間違いでなかった事を

 

ーーーーーーーー

ーーーーー

 

 

『アニキ、今日も帰って来ないのか?』

 

 

「…すまないクリス。半月かかりそうだ…」

 

 

『……………………』

 

 

「クリス?」

 

 

『アニキの、アニキのバカ!あたしより仕事が大事なら帰ってくんな!!』

 

 

僅かな沈黙と共に義妹雪音クリスの割れんばかりの怒声にビクリと震わしたアレス。通信はすでに切れておりインカム式通信端末ディーンを閉じため息をついた

 

 

「…………仕事に戻るか…」

 

 

割り当てた部屋から出て行く…その背中は少し疲れているように見えたが消え去る………このコロニー建造計画

にはもう一つの意味がある

 

 

ガンダムエクシェス、VS/GSを要するに対Gspirits隊用MS部隊《サーカス》、A-Zをフラッグシップとした特務艦の運用メンバーを選抜…軍神の矢計画を成功させるために必要なモノだと計画発案者の一人であるアレス、急進派閥以外誰も知らない

 

 

(……建造が終わり次第、行うか……全ては火星圏の未来とオレの復讐を為すためにな)

 

 

軍神の矢計画。実行まで85日。プロジェクト・エデン、発動まで???日。

 

 

MarsDays:06 視察

 

 

 

 


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