オリ主が再びIS世界でいろいろと頑張る話だけど…side:ASTRAY《本編完結》 作:XENON
Mars-day:00
四年前
マーシャン急進派閥所有コロニー
「ダメです!ジェタ同士!フレーム強度が限界値を越えてます」
「またか!なぜだ!我々の設計は完璧のはずなんだ!!このままでは我々はいつまでも地球圏のいいなりのままだ!腰抜けのオーストレルコロニーの奴らの思い通りになってしまう!!」
ダンッ!と音が響く…ジェダ・パパスィは髪に手をあてデスクを叩く音に技術者達はビクッと身体を震わした……彼らは火星に住まう人間《マーシャン》。一世紀近く前に争いが続く地球から離れ新天地として選んだ火星で生きる者…開拓は困難を極めるも、なんとかコロニー(密閉型)を建造、それを足がかりに火星開拓へ着手した。レアメタルを地球圏へ送るようになり生活は安定したものの貧富の差が激しく華やかな街の裏側に貧しさがあった
水を、食料を、空気すら自らが作らなければならない極限の中、何度か援助を申し出たが帰ってきたのは《資源を送れ》の一言何も送らなかった…内紛を続かせ身勝手な地球圏の人間に怒りを募らせた一部の人々はやがて内紛がおわったと地球圏にいる数少ない火星親派からつたえられ、ようやく援助も増え改善されてきた
それでも過去に受けた仕打ちを忘れない一部の者達は《地球圏と手を切るべきだ》火星急進派閥を産み出した
そのために力…かつて地球圏に存在した伝説のMS、自由と反逆の象徴《ガンダム》開発に着手していたのだが失敗が続きMSハンガーには無数の残骸が転がっていた
失敗に続く、失敗、地球圏に一泡ふかせる事が出来ないのか?と肩を落とす
だが、彼らの前に復讐の炎に身を焦がす火星の軍神アーレスの名を持つ少年がP・Tを伴い現れるまでは…………
Mars-dayー00ーその名は…ー
「ジェダ同士」
「なんだ…私はいそがしいのだが」
「それがP・Tがお見えになりまして…」
「P・T?………通せ」
眉間にシワを寄せながら来客に対応するべく佇まいを整える…静かに扉が開き濃い紫色の髪を腰あたりまでのばした黒のレディーススーツ姿のサングラスをかけた女性、その隣にいる十二歳前後の子供を伴い現れた
「ひさしぶりねパパスィ……盗用技術の融合はうまくはいってないようね」
「嫌みかP・T?………今日は子供を連れて見学にでもきたのか?」
「半分正解ね………今日はアナタ達にとって益のある人材をつれてきたの」
「益のある人材?ふ、まさかソイツがか?冗談はほどほどにしろ」
「なら、アナタの目で確認したら……アレス」
「…………………」
品定めするようみるジェダ、P・Tに促された少年は真っ先に急進派閥メンバーが座っていないシートへ腰掛け、手早くスクリーンを展開と同時にデータベースへアクセス、わずかに瞳の色が赤金に変わりせましく閲覧しながら静かに口を開いた
「………フレームが滅茶苦茶だ。高出力兵装に耐えるための強度は愚か、ただ強い機体のフレーム、サテライトシステム対応GX9990系、OZ系、XXXGを工夫なしにただ寄せ集めただけの屑だ」
「な、なに!このガキ!……っ!?」
「…………離せ」
今までの成果を屑という少年アレスにちかづくなり胸ぐらを掴み上げるジェダは瞳を睨みつけハッとなる…少年の瞳にはどす黒く凝り固まった憎悪、極寒の嵐が吹き荒れる大地のような冷たさ…思わず身震いし掴み上げた手をおろす。胸元を整えると再びスクリーンに顔を向けながらキーへ指を滑らせ目にも止まらぬ速さで打ち込んでいく
「高出力兵装運用に耐えうるフレーム………不祥事を起こし解体され国営化されたモルゲンレーテがかって数体試作開発したMBF-P、GAT-X105派生フレームを採用、オーストレルコロニー工廠にあるΔのヴォワチュールリュミェール、コレを媒介に………装甲はVPS……高出力エネルギー伝達バイパスは」
すさまじい早さで打ち込んでいくアレス。ジェダ、急進派閥メンバーの前にあるスクリーンにMBFP、GAT-X105のフレームがバラバラになり新たなフレームを形成、エネルギー伝達バイパス配置、両肩、両膝に動力部が配置されていきキー軽くたたいた音を最後に姿を表し、それを見たメンバーは息をのんだ
今までのフレームとは違う次元の設計、何より高出力兵装使用を前提としたエネルギー伝達バイパスならびに動力部配置、さらにヴォワチュールリュミェール………自分たちの願いを叶えうるモノだと確信した
「………な、なんなんだお前は!」
「アレス、アレス・ルセディスだ……オレも地球圏統一連合には怨みがある………これからよろしく頼むジェダ・パパスィ同士」
「………アレス・ルセディス……」
小さく名前を口にしつぶやくジェダ、他の急進派閥メンバーは静かに立ち上がると拍手した……その中にはPTはいない。急進派閥所有コロニーからシャトルが射出され虚空の宇宙を舞う
「さあ、舞台のキャスティングは終わり………ふふふふふ……」
P・T…プレシア・テスタロッサの乗ったシャトルはやがて開いた転移魔法陣へ入り消え去った