オリ主が再びIS世界でいろいろと頑張る話だけど…side:ASTRAY《本編完結》 作:XENON
─了解…ルシファー、VSGS、ウーンドウォート、識別コード受諾……エクシェスとのコネクト開始─
─…必要構造体構築完了。物理接続と組み込み最終工程まであと────
トレミーが月へ進路を向ける中、イギリスが保有しザフトに接収されたエクスカリバーに巨大な黒いカブトガニ?にもにた影が取り付く。様々なケーブルとアームが伸び忙しく動く度に形が変わっていく
─脳量子コントロール端末同調、レーザ発振器追加接続……コンプリート…─
─ヴォワチュールリュミエール、問題なし─
脳量子通信がかわされる中、エクスカリバーは異様な姿へと変え、巨大な黒いカブトガニ…いやルシファーのモノアイが妖しく輝いた
「医療物資は仮設テントに優先して回せ。施設復旧に必要な人員と資材はコレより一時間後に手配する。マスドライバー修復作業は?」
『は、はい…ダメージは少ないのですが各種点検に回せる人員が…』
「ソレも手配する。八時間から十時間三交代シフトを組め、それでも無理ならばオレが対応しよう」
『え、ですが…』
「戸惑う時間も猶予は無い。先のビジディアンによる襲撃はこちらの注意を向けるための妨害工作を含めたモノだとプレシア議長は判断してる………全ては君たち、いや俺たち一人一人の手にかかってることを忘れるな。この世界の平和を担うザフトの剣としてな」
『は、はい!ルセディス特別顧問!!』
通信が切れ、ふうっと椅子に身を任せる…ビジディアンによる襲撃でジブラルタル基地が受けた被害状況確認、復旧に向け必要な資材と人員、怪我人の治療に必要な医療物質と医者、MS、MSパイロットと艦船クルー補充要因手配に追われアレスは疲労困憊。火星で内政、軍事、公共事業等を手掛けていた際、自らが見いだしスカウトした各分野のスペシャリストを配し辣腕を振るっていた。しかし火星とは違いザフトにはソレを任せうる人材確保する時間も無いに等しく(プレシアを除く)、結果として全てをこなしていた
「く…」
基地機能回復状況は70%、それでもやらなければならない事が山積みだ。コーヒーを飲もうと椅子から立とうとしふらつく。しかしそっと誰かに支えられる。支えたのはロランだ
「無理はいけないよ…」
「………すまない」
「すまないって思うならば、少しは皆に頼ること覚えたらどうかな?」
「ん、すま…っ」
「直ぐ謝るのはよくないよ……ふふ」
アレスの唇に指をあて微笑むロラン…もう片方には淹れ立てのコーヒーがありすっと差し出し、受け取り口につける。苦さと香りに少しばかり目が冴えた
「……マリア達は?」
「彼女たちならミネルバとミストルティンの整備中、ついさっき新しいMSがMarsbuilder《マーズビルダー》から出たってのもあるけど、フリーダムに似てたから仕方ないかな」
「アレが出来たか…」
ミストルティンにデータベースをつなぐ…MSデッキにはフリーダム…開発局よりソレスタルビーイングが盗み出した設計データを元に作り上げたZGMF-20Aストライクフリーダムにも似た灰色の機体に呟いた
「…アメイジングストライクフリーダム」
「アメイジングストライクフリーダム?なんか長いね名前が?」
「そうだな…だが名前の長さはぬきにして、コレを使いこなせば一騎当千の働きを見せ……「私のインレも、だよね」……ああ」
そっと肩に頭を寄せるロランに小さくうなずき軽く髪をすくアレス。心地よさを感じながら思考を分離しビジディアン、そして逃げた翔真、姿をくらました大東の動きを様々な予測を仮説を立てる
(………ビジディアンから受けた攻撃による被害は最小限とはいえ、こちらの動きを押さえるのに充分なダメージだ。未だに動かない大東も気になる…そして翔真とトレミーも………………ヴェーダのサテライトサーチによる地球外園衛星軌道監視を強化)
「…レス?……」
(……大東は今のジブラルタル基地の状況を知ってるはず。コレを最大限に利用し現状を覆すために動くはず……ならば各マスコミ、メディア、報道規制に介入するのも視野に)
「アレス!」
「な、ど、どうした…」
「どうした…じゃないよ。君がぼ~っとしてるから心配で」
「ああ、すまない」
「ん、すまないは禁止!ぼ~っとするぐらいなら休んだ方がいい。ほら」
「いや、眠るわけには」
「い・い・か・ら・ね・る!」
「わ、わかった」
気圧されうなずく…しかし招かれたのは膝の上に手を添え招くロラン、ゆっくりと頭を膝枕におくとアレスの手櫛で鋤き撫でて。眠気がどっときた
「何かあったら起こすから…安心して」
「わかっ……た…ロラン…1時……間…だけ…」
いいきるまえに眠りについた…その寝顔をみてクスッと笑う、先程まで辣腕をふるいジブラルタル基地機能回復に務めこなしていた時は疲労感にみちていた、今はソレから解放されたような寝顔
「おやすみアレス」
軽く唇にキスをした頃………………トレミーでは……
「…………ん、クリス?どうした?」
「いやアニキがなんか浮気してる気がした……」
「あら、奇遇ね。私も感じたわ……」
「マルスさん…」
「あたしら放って上等だ…ふふふ」
黒い笑みを浮かべる御門、ノーヴェ、クリス、アインハルト、千冬から溢れだす殺気にツバサ、ネプテューヌを初めとした面々は戦々恐々しふるえながらおもった
(帰ってきたら地獄/だね/ね)
と
PHASE-124/128.5 宇宙へ… side.ARES
───────
───
「はい、どうぞ」
「あ、あのな虚……もう食えないから」
「ダメです。あなたの作った野菜炒めに勝つまで食べて貰います」
「う、ああ、わかったからレンゲを押しつけるなったら!はむ」
車椅子に乗り豪快に差し出されたレンゲを咥えるよう食べる。アレックスこと弾、ミネルバ副整備主任布仏虚の姿に疲労困憊なブリッジクルーは砂糖を吐きまくりコーヒーをおかわりしている
遡ること1日前、アスタロトの整備を終えるもイラついていた。この世界を変え家族を奪い離れ離れにし、躰を弄くり回された原因を作った綾崎翔真をあと一息の処で逃がしてしまったいた
あの時、阿頼耶識システムのリミッターを解除していればと何度も思ったが出来なかった…
─アレックスさん、阿頼耶識システム・リミッター解除はしないでください─
出撃前の心配そうな面持ちの虚とのやりとりが過った。綾崎翔真、織斑一夏への復讐するためにココまで来たのにだ
リミッター解除を踏みとどまらされた理由がわからないからこそ苛立つも腹の虫がなる、とにかくメシをと車椅子で食堂にきてランチを頼んだ。出されたのは野菜炒め定食、ふとあの日。当たり前だった日常を思いだし口に入れたが……
「マズイ……野菜炒めじゃ無い」
火が通り過ぎてぐちゃぐちゃの野菜、旨味が抜けボサボサの肉…ハシを起き厨房に入るやいなや中華包丁を手にし、瑞々しいキャベツを賽の目に、人参、筍は火が通りやすく切り揃え油通し、ザーレンで引き上げ、肉を炒めに野菜、甘味噌と豆鼓をあわせた調味料を投入。フランペするよう炎が舞い絡めるよう鍋をふるう。強力な火力に余分な水分と油は飛ばされ香しく食欲をそそる薫りにブリッジクルー、厨房にいるスタッフは釘付けになる中、出来たのは…
「…爺さん直伝《業火野菜炒め》……冷める前に食べな」
湯気だつ野菜炒めにゴクリと喉を鳴らし食べる…油通ししし旨味が閉じ込められた歯ごたえある野菜、肉汁、豆鼓と甘味噌が絡むことで調和した味わいに我を忘れてハシを震う
ソレは食堂にいる皆も同じだ。一心不乱に食べる姿をみて弾の脳裏に浮んだのは元気だった祖父が鍋を振るう姿だ
─弾、火を使いこなせ!恐れるな!!─
─…わかってるから!─
─おにぃ、じいちゃん~次のオーダーたまってるよ─
─爺さん、五番さんに蟹玉、青椒肉絲、杏仁豆腐だ!─
─弾、青椒肉絲はまかせた!蟹玉と杏仁豆腐はワシがやる!まかせた─
─ったく、人使い荒いんだよ……ああ、まかされたよ!─
………世界が変わる前、懐かしい五反田食堂での1日…客の笑い声と美味しかったと言われて悪くなかった。このまま跡を継ぐのも悪くないと。でも、もう《あの日》は帰ってこない…なぜ、こうして厨房に立ったか?
あのショウマ・バジーナとのやりとりが原因だと気づき、軽く舌打ちしながら、コックコートを脱ぐ
「……邪魔したな。料理人ならクソ不味い野菜炒めつくんじゃねぇよ」
惚けた表情を浮かべる厨房スタッフに吐き捨てながらコックコートの下に業火野菜炒めのレシピを入れ去ろうとした時だ。扉が開いた
「げ、虚副整…「虚」……な、なんだよ介護なら必要無いぜ」
「この野菜炒め、アレックスさんが?」
「ソレがなんだよ……」
「あの、私に作り方教えてくれませんか?」
「はぁ?……なにいってんだよ野菜炒めならアン「虚」……虚でも出来るだろ?」
「あなたの野菜炒めを教えてください」
「だから…」
「……教えてください」
「………っ、く……わかった。だからそんな目でみんな!……やるからには手を抜かないからな!!」
「望むところです」
こうしてアレックスこと弾による業火野菜炒め伝授修行が始まった。最初は包丁を握る手もおぼつかなかったが、慣れ始め調味料配分と火の入れ具合、鍋使いが上達。今では出来たのを試食するのが当たり前になった
「まだ、甘味が足りない……」
「じゃあ、また…」
「……でも美味い……食ったらもう一度だ」
「っ、は、はい♪」
そんなやりとりを見て、整備主任の本音も嬉しそうにし周りにいる面々は見てるだけでお腹は膨れていくばかりだ
(む、マジで美味くなったな……別なレシピも教え)
弾のそんな想いは鳴り響いた緊急招集を告げるアラートにかき消された…虚をみると頷き車椅子を押し向かうはミーティングルーム。室内には慌ただしく動くブリッジクルーと篁結衣艦長が檀上にあがり、隣にはアレスが副官席へ座る姿、少し収まるとあたりを見回した結衣が口を開いた
「静かに聞いて欲しい…先程、ダカールにある議会場が衝撃を受けた…首謀者はイギリスでの戦いに介入し世界各地で戦線を膠着状態に持ち込み混乱に陥れたATAGひきいる大東貴一。我々ザフトを武力による支配を良しとする組織であると糺弾する声明を世界に向けて発信した」
「なんだって!わたし達は平和の為に」
「ふざけてるのかATAGは、しかも議会を占拠して!?」
「戦火を悪戯に広げ、膠着状態に持ち込んだヤツらが何をいうんだ!」
「静粛に、皆の気持ちが混乱するのはわかる。事態はそれだけではすまなくなってきてる…ルセディス統括官、説明を」
促され立ち上がるアレス、マルチタスクウィンドウを開く。映されたのは衛星軌道上から向かう艦艇。最大望遠拡大され見えた船に騒然となる…ソレスタルビーイング旗艦であるプトレマイオスⅡが大気圏を離脱する姿だからだ
「これは先程、ザフト監視衛星からスクランブル送信されたモノだ。ダカールでの議会占拠はソレスタルビーイングの動きを隠蔽しザフトへの悪感情を煽るためのモノであることは間違いないだろう……予想進路からして月に向かっていると判断。先刻プレシア議長より彼等が月へ向かうのを阻止せよと命がくだった」
「でもでもマスドライバーは連続して使えないのだ。ルセリン?」
「それについては議長が手段を講じるそうだ。コレより二時間後にミネルバ、ミストルティンは宇宙《そら》、月へあがる…ソレスタルビーイングは何らかの切り札、もしくは恫喝するための兵器を使用するためとみる……コレをソレスタルビーイング、ATAGとの最期の闘いとし、この世界を護り、真の平和をザフトの名において齎すため、今この場にいる一人一人の力をプレシア議長の為に貸して欲しい……世界の為に!」
そう区切りアレス…篁結衣、箒、アリシア、ロラン、マリア、楯無、斬歌、調、弾、ブリッジクルー、メカニックを見回し頭を下げた
「そうだ、この世界に平和を齎すために…」
「ソレスタルビーイング、ATAGがいる限りは世界は平和には……今度こそおわらせるんだ!」
「俺たちザフトが世界を護るんだ!」
口々に声があがり歓声が沸き立つ…室内にが震えんばかりに木霊した
「艦長、篁唯依が命じます!各員配置につけ補給と搬入を速やかに終わらせ出撃準備を!!」
「「「「「「了解!!」」」」」」
蜘蛛の子を散らすようブリッジクルー、メカニック、MS要因が各持ち場へ弾かれたように退室していく…帽子を深々と被りブリッジへ向かおうとする結衣は足を止めた
「………ルセディス統括官、あなたもミストルティンに」
「わかった……篁艦長。ミッションプランができ次第転送する…」
目を向けず声だけ交わし立ち去るアレス。その背中を無言で見送り敬礼し結維もブリッジへ向かった…二時間後、全ての準備を終えたミネルバ、ミストルティンは議長が展開した転位魔法により衛星軌道上に集結したザフト艦隊宙域付近に現れた
「宇宙《そら》か…(プレシア、もう隠す必要はないと判断したか。奴が、綾崎翔真は間違いなくこの先にいる……クリス、涼子、アインハルト、ノーヴェ、チフユも)」
MSデッキに浮かび漆黒の宇宙に浮かぶ月を赤金に輝く瞳を向けるアレス…あと数分で艦隊と合流するまで身をまかせた
ザフト、ソレスタルビーイング、ATAG、ビジディアン…様々な思惑が絡み運命が交錯してきた物語は終わりの時が迫る
命が煌めく宇宙…なにが待ち受けてるのか?
PHASE-124/128.5 宇宙へ… sideARES
了