オリ主が再びIS世界でいろいろと頑張る話だけど…side:ASTRAY《本編完結》    作:XENON

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MA奪還作戦、レーザー砲擊によるカルガナン基地およびオーストラリア深海基地壊滅数日前、イギリス《ロンドン市内》

晴れた日は滅多に無いココ、イギリスは珍しく晴れ渡り石畳が目立つココ、ベーカー街に軒先並ぶ店はティータイムを楽しむ人々が目立つ中、オープンテラスに一人の女性が座ってる

やや不機嫌そうな眼差しに、クセのある金髪を首のあたりで三つ編みにし、整った顔に翆碧眼、豊かな膨らみたに腰のくびれから緩やかなヒップライン、太股は長袖のワンピースにカーディガンの上からでもわかる

しかし誰一人声をかけようとしない。なぜなら滲み出る苛立ちと怒気に気圧されていたからだ…そんな時だった


「あ、ああ~すまないね。抜け出すのに苦労してね」


ややくたびれたジャケット?に、首にかけたタオルとズボン、サンダルの出で立ちの中年男性が手をひらひらさ椅子を率き座る


「お前がマルスの知り合い大東貴一か……ふん、まあいい。今日は前から渡すように頼まれていたものだ」


すっとアタッシュケースを取り手渡した…指紋認証と音声コマンドを解除してある。開けてみると不思議な輝きを秘めた小石を組み合わせた棒状の物体が並んでいる


「これはなにかな?ペンダントにしか見えないんだけどね」


「知らないのは無理もないか。これはMSに新たな力を付与させる新型OS…FG回天式天翔機甲シンフォギアシステムだ……」 


「シンフォギアシステム?コレがマルスくんに頼まれていたのかい?えとキャロル.マールス.ディーンハイム女史」


「ああ、先行して完成したら送ってくれと言われてたからな。詳しくはテキストを入れてある。よく読んで使うように。ところで」


「なにかな?おじさんあまりお金無いんだけどね」


「……お金はいいっ。この国に最高の歌唱力を持つ女がいるなら持たせてみろ、コイツの力を引き出したいならばな」


「歌かい………(風鳴翼くんぐらいしか知らないな…)ま、心当たりはあるからやってみるさ」


「じゃ、たしかに渡したからな………最期にひとつだけマルスに伝えろ。約束は必ず守れよと…」


いいたいことは告げ、身を翻し歩き出したキャロルを見送り気が抜けたのか椅子に身を任せた大東。ふとアタッシュケースを見る


「シンフォギアシステムね……マルスくんはなんでコレを私に渡すようにしたんだろうかね。彼ががいなくなった事を話すべきだったかな……たたっ」


Nitroの副作用からくる激しい頭痛に顔をしかめる大東、ラスベガスで姿を消して二日、イヤな予感を感じながらやや冷めた紅茶を口にし風味を味わった


キャロルから渡されたシンフォギアシステム、アマハバキリ、イチイバル。コレが戦局に大きな影響を与え復讐者を救うきっかけになることをまだ知らない








PHASE-107/108 終焉序曲

「皆様、本日は哀しい報告をさせていただきます。先日未明、我々Z.A.F.Tが有するカルガナン基地およびオーストラリア深海基地が壊滅したとの報を受けました」

 

 

檀上に立つのはZ.A.F.T最高評議会議長プレシア・テスタロッサ議長。軽く間を置きゆっくりと皆を見た

 

 

「当時、両基地にて働いていた職員および軍関係者は500人あまり、その全てとの連絡も無く僅かに遺体の一部を回収出来たに過ぎません。しかし我々はこの惨状を引き起こした存在を掴みました………かつて連合参加国であった《イギリス》です。彼らは衛星軌道上に極秘裏に建造した軍事衛星《エクスカリバー》に搭載された超高出力レーザー砲で両基地へ砲擊を敢行したのです。ソレも一切の警告もなく一方的に…これはもはや虐殺としか言えません、そしてさらなる事も判明したのです」

 

 

世界中の主要都市の大型スクリーンに映されたのは衛星軌道上に浮かぶ剣にもにた構造を持つ構造体…軍事衛星《エクスカリバー》がその異様なまでに長い砲口を直下にある地球に向け浮かぶ様、そして次に映されたモノに街ゆく人々、誰もが息をのんだ

 

 

「イギリス政府、イギリス王室はエクスカリバー建造にあたりIS技術を用い、そのコアにこの少女《エクシア・カリバーン》を制御用生体融合型ユニットとして組み込んだのです…これは人として許される行為でしょうか?断じて否です!!ロゴス、いえ連合と変わらないではないでしょうか!!」

 

 

強い眼差しと共に断じたプレシアの声明に世界各国の政府。市民は聞き入り始めた…

 

 

「私はコレを見ている全世界の市民へ問います。このような悪魔のような所業を平然と行い剰え、我々への攻撃に使った事実はもはや周知の事。何度も我々はイギリス王室および政府関係者へ問いましたが未だに返答が無いのが現状で………失礼……ソレは事実かしら?」

 

 

「はい、たしかな筋から───」

 

 

現れた男から告げられた言葉に面微かに見開き、再び視線を戻した

 

「………………新たな事実が判明しました…イギリス政府及び王室はソレスタルビーイングを匿っているとな情報を掴みました…彼らは悪戯に戦火を広げ多くの人命を奪ってきた…こちらからの返答に応じなかったのはコレだったのです。我々Z.A.F.Tは最後通告として軍事衛星エクスカリバー及びエクシア・カリバーンの開放、ソレスタルビーイング引き渡しをイギリス政府へ要請します……もし応えなければ我々は世界の平和を脅かす存在としてイギリスへ宣戦布告を告げるものとします」

 

 

 

PHASE-107/108 終焉序曲 

 

 

数時間後、ドイツ

 

デストロイガンダムにより多くの人々がなくなり、街が灰燼と化したベルリン。今はジャンク屋組合、ZAFTの支援により復興が進みようやく都市として住めるぐらいになった

 

賑わいも戻った…そんな中、再建したばかりの無人ケーキ店にサングラスに灰色の髪に赤のメッシュが目立つコート姿の少年が入る

 

 

「やっと来たか…待たせすぎだマルス」

 

 

「キャ、キャロル、すいませんボク達も、さっき来たばかりなんですから」

 

 

「あ、ごめんね……キャロル、エルフナイン、ジョン・ウェイン・ウェルキンゲトリクス博士」

 

 

「(!?)……ふん、別にかまわんが。わざわざドイツまで来たのだからな」

 

「そうとも!この地球最高の生化学者である僕を待たせるなんて、チクタクチクタク世界は分刻みで動く、その貴重な時間を無駄にはしたくないんだけどね~」

 

 

「あはは……すいません………出来たんですか?」

 

 

「持ちのロンロンだよ!君が渡してくれた聖遺物を桜井理論にパッチとワークして、キャロル女史とエルフナイン女史のシステム開発……いや以外と楽しくてね~」

 

「無駄口叩くなバカウェル!半分はオレとエルフナインが聖遺物に合わせアゥヴバッヘン波形抽出と聖永、フォニックゲイン組んだの誰だか忘れたか!ケーキばかり食べてないでさっさと見せろ!!」

 

「まったくセッカチだね~ほら、コレが君が求めていたモノだよ」

 

 

キャロルの剣幕を軽く聞き流しケーキを食べるのを止めた…別世界じゃ楽器をぶっさされてもおかしくないのに。取り出したのは黒のアタッシュケース、指紋認証、網膜スキャナが読み取り乾いた音と共にひらいた

 

 

「コレが聖遺物を組み込んだOS…シンフォギアシステム」

 

 

ケースの中には赤い小石を棒状に組み合わせたモノがが五個並んでいる…手に取るもただのペンダントにしか見えない

 

 

「ふう。説明するぞ、ソレはMSに差し込むいわゆるキーだ…普通に起動すれば限定的なアームドギアが形成されるぐらいなモノだ…」

 

 

「ですが、桜井理論によると聖遺物を手にした人間は胸に言葉が浮かび歌と共に紡がれエネルギーを生み出すそうです。生まれたエネルギー《フォニックゲイン》を物質化しつつMS全体を再構築、形成する事で真価を発揮します。適合者がいればの話ですけど。あ、テキストはこちらに入れてますね」

 

 

「………そうか……キャロル、エルフナイン、ジョン・ウェイン・ウェルキンゲトリクス博士、ありがとう……」

 

ゆっくりとアタッシュケースを閉じたマルス、しかしキャロルは違和感を感じていた…何かが引っかかっている。何がともう一度マルスを見る。普段と変わらない何時もと同じだ…はっと気がつく

 

 

「待てマルス、なんでサングラスを外さない?」

 

「………え?変装も兼ねててなんですけど…あのキャロル?」

 

 

「馬脚を晒したな…………お前は誰だ?」

 

 

「キャロル、どう見てもマルスさんじゃないですか?」

 

「忘れたかエルフナイン、マルスはオレやお前を何度注意しても「《ちゃん》付け、さらにこのお菓子ばかり食うバカウェルをフルネームでは呼んだりはしない」

 

有無を言わさないとばかりに詰め寄るキャロル…静けさが無人の店内に漂う中、マルスはゆっくりとサングラスに手をかけ外した。赤みをおびた金眼にある虚無の眼差しを見てエルフナインも気づいた

 

「……………キャロル・マルス・ディーンハイム。アルケミスターズの一人だけはあるな」

 

 

「最初は確信はなかった…だがハッキリした!マルスの名を語るニセモノが!本物はドコにいる!!」

 

 

「………本物だと、笑わせるなヤツ《マルス・レディーレ》こそ偽物。オレの名はアレス・ルセディス、それが本当の名前だ……」

 

 

「な?……」

 

 

「半年前、イザーク・マールス・ディーンハイムを護衛していた時、やたらオレをアルケミスターズに勧誘していたことも……こちら側の人間、ゆくゆくは人類史に残る稀代の科学者となると」

 

 

キャロルは唖然となった…半年前、父イザークを狙う科学結社から守るために雇われ出会い、しばらくして優秀な頭脳を持つ彼を最期まで勧誘し続けた事はマルス、キャロル、エルフナインしか知らない事実だ。キッと顔を俯かせながら叫ぶよう問いかけた

 

「…マルスじゃないといったな…ならアレス・ルセディスなぜ私たちの所に来た!答えろ!!」

 

「オレの目的は一つ、完成したシンフォギアシステムを手に入れ、キャロル・マールス・ディーンハイム、エルフナイン・マールス・ディーンハイム、お前達の技術が他に渡らないためにな……」

 

 

すっと手をあげる。瞬く間にキャロル、エルフナイン、ウェル博士の躰をバインドが拘束、突然身動きを封じられもがくも逃げられない。だが二人の視線はマルス、いやアレスに向いていた

 

 

「じ、じゅあ、私たちの作ったシンフォギアシステムを手に入れるために……ウソですよね」

 

「オレやエルフナイン、バカウェルの技術を利用するためだけに、パパに近づいたのか!!」

 

 

涙を目にためアレスにぶつけたキャロル、エルフナイン…ウソであって欲しいの想いがこめられた言葉は

 

「……………そうだ。オレが必要としたのはアルケミスターズの持つ異端技術だけだ…」

 

しかし淡い期待にも満ちたソレは砕かれた…キャロル、エルフナインの胸中にあるのは哀しみ。裏切られたという想いだ。そしてさらに追い打ちがかかる

 

「ふ~ソロソロ外してくれないかなあ、アレス・ルセディス?」

 

反対側の席に座るウェル博士のバインドが解かれ、肩をコキコキ鳴らしながらアタッシュケースを手にし立ち上がった。その顔は狂気に満ちてる

 

 

「バ、バカウェル?お前まさか…最初から」

 

「ん~ん~♪まさか裏切ったのかブルータスって言いたいのかね~キャロル女史、エルフナイン女史。そう僕はハナっからアルケミスターズには興味が失せてたんだよ。一時的な名声よりも世界中から賞賛され脚光を浴びるため、アレス・ルセディスのもとについたのさ!!稀代の英雄を誕生を間近で見るためにね~♪英雄メーカーに僕はなる!!」

 

 

くるくる回りビシッと左手で顔半分隠したウェル博士、それが合図と言わんばかりにZ・A・F・T特務部隊がなだれ込んできた。銃を構え二人に無数のレーザポインターが突き刺さる

 

 

「そ、そんな、じゃあドイツを待ち合わせ場所にしたのはこのため……」

 

 

「そうだよ。知っての通りZAFTは数日以内にイギリスへ宣戦布告をする。何かと都合がよかったのさ…なあアレス」

 

 

「そうだな。さてこれ以上長居は無用だ…キャロル、エルフナイン来て貰うぞ……ミストルティンへ帰投する」

 

「ハッ!」

 

敬礼し特務部隊は撤収開始し、黒塗りのメルセデスベンツへキャロル、エルフナイン、ウェル博士、アレスが乗り込み走り出した

 

終始無言で睨むようにアレスをキャロルが、今にも泣き出しそうなエルフナインが眼差しを向ける中アタッシュケースを再び開いた。ふとイチイバル、アマハバキリ、手に取ろうとしたがすり抜けノイズ交じりに消えた

 

 

「これは……」

 

「やっと気づいたか。アレス」

 

「キャロル、イチイバルとアマハバキリ、何処へ隠した……-」

 

アレスの虚無に染まる瞳に怯むことなく不敵に笑うキャロル…

 

 

「あの二つはイギリスにある……シンフォギアシステム適合者らしいアゥフヴァッヘン波形を検出したからな…二人もだ……完成した分をティワズに送るよう指示したのはお前だろうが!アレス・ルセディス!!」

 

 

「………(マルス・レディーレ、手を打っていたのか…記憶を消した上でか!)…………まあ、いい取り戻せばいいだけだ……」

 

 

「出来るモノならやってみろ!アレス・ルセディス!!」

 

 

失われたマルスが記憶を改竄していた事に苛立ちを覚えるも取り戻す事を決め、待機していたミストルティンへ乗艦、車から降りキャロル、エルフナインを伴い艦内を歩いて行く。互いに終始無言のまま…そしてある一室の扉の前に止まる

 

 

「……入れキャロル、エルフナイン」

 

 

「………」

 

 

薄暗い室内へ入る二人、やがて空気が抜けるような音と共に閉まり眩い光が包んだ。目が慣れ見えたモノに息をのんだ

 

鳥のさえずり、豊かな森林の映像が流れ柔らかなベッドに加えシャワールーム、キッチン、ふかふかのベッドまで柔らかくも明るい室内灯が完備されていたのだから。ふと足下に何かがぶつかる。目を向けると赤い丸い球体がコロコロ回り羽根みたいなモノをばたつかせた

 

 

《ハロ、ハロ、キャロル、エルフナイン、ハロ》

 

 

「こ、これって…まさか前にボクとエルフナインがねだったハロですよね?」

 

赤い球体…ハロを手にしたエルフナイン。かつてマルスがハロを作っていたのを知りねだったもの。カラーリングも二人のオーダー通りで音声と思考パターンもマルスからサンプリングしたものだった

 

「……い、いまさらこんなモノで許せ…と……う、うく」

 

『ハロ、キャロル、泣カナイデ、大丈夫ダカラ…傭兵ダシネ……ハロ、ハロ』

 

 

─泣かないでキャロル、僕なら平気だから。傭兵だしね─

 

 

エルフナインの手にしたハロに手を添えポタポタと赤い表面に涙が落ちた…ミストルティンはミネルバとの合流点へ向け進路を取りドイツの空へ上がる

 

 

夕焼けに染まるドイツの空はこれから流される血のように赤かった

 

 

 

 

 

 




イギリスからの再三に渡り返答を求めるZAFT

しかし時は無情に過ぎ、遂に動き出す


互いに引けぬ想いの中。遂に彼は引き金をひく


   PHASE-108/111.X  荒れ狂う死の嵐


もはや後戻りは出来ない…


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