オリ主が再びIS世界でいろいろと頑張る話だけど…side:ASTRAY《本編完結》    作:XENON

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閑話 フェスタ《NEW!》

「……さあ、皆様ながらくおまたせしました~今日はミネルバへ新たに派遣された戦艦ミストルティン、そしてミネルバクルーとの親睦パーティーを始めるわよ~~」

 

パンパン、パパン!クラッカーの音が青空に響き、特設ステージで開催を元気よく宣言するのは更識楯無…その眼下に広がるのは様々な料理が並べられたテーブル、ソフトドリンク。ミネルバクルーとミストルティンクルーのメンバーが一斉に手にしたコップを高らかに空へ掲げ。歓声が空に響き渡った

 

閑話 フェスタ

 

 

「わ──スゴいデス!このケーキの高さはエッフェル塔に負けないデスよ~」

 

 

「き、切ちゃん、あまりはしゃいだらダメだよ」

 

 

「うふふ。たまには良いじゃない…作戦も無事に成功したし皆が無事に戻ってこれたから」

 

「デスよ~調もたくさん、た~くさんたべて!大きくならないとデス!」

 

 

皿にこれでもかとモンブラン、ガトーショコラ、オレンジピールを生地に練り込んだフルーツケーキが溢れんばかりに山積みされ、ほっぺに生クリームをつけ調にうながす切歌…しかしながら調の視線は豊かに揺れる胸に小さく「くっ」と言葉が漏れたのは気にしない。

 

 

MA奪還作戦の成功し、帰還したアレスをはじめとしたメンバーが見たのはミネルバの甲板に増設されたステージ、そして国際色豊かな料理の数々をせわしくテーブルへと準備するミネルバクルーに固まる

 

 

─あ、おかえりなさい皆~─

 

─タテナシ・サラシキ…なんだコレは?─

 

 

─作戦成功兼新メンバー懇親歓迎パーティーに決まってるじゃない。どうしたのルセディスくん?─

 

 

─…………悪いがオレは参加しない。議長に報告をし…─

 

─あら、それなら議長から明日でかまわないって聞いてるんだけど?ソレにあなたたちもだけどショウマ、リィズちゃんも参加したばかりで互いの事を知らないし、だから交流も兼ねてね♪ダメかしら?─

 

 

─………マリア、切歌、調、レポート提出は明日21:00までにだせ…ソレまでは自由行動とする─

 

 

─じ、じゃあ今日はお休みって事ですか!?─

 

─………ああ─

 

 

やったあデスよ!と喜びを隠すこと無く笑顔を向ける切歌、ただマリア、調は少しだけ驚いていた。レポート提出を明日に延期するなんて事は今まで無かったからだ…記憶を失っていた《マルス・レディーレ》頃の影響をアレスが受けていたのもあるかもしれないが実際には

 

 

(上手くいけば火星圏に必要な人材を確保できるかもしれないからな………)

 

と考えていたりもする

 

──あの、隊長……っ!?─

 

 

──マリア、調、はやく行くデスよ!─

 

マリア訊ねようとするも切歌に引っぱられるようシャワールームへ向かうのを見送った時、楯無のもとにブリッジクルーが息をきらしかけて来るや否や耳打ちした

 

─更識さん、厨房スタッフが足りません…─

 

 

─え?まいったわね…コレじゃ…─

 

 

─……………タテナシ、厨房はどこだ?─

 

 

─え?─

 

 

─手が足りないのだろ?─

 

 

─でも、あなた料理できるの?─

 

 

─問題ない………─

 

 

ソレだけ呟き、背を向けスタスタ歩き出す…向かうは厨房という名の戦場。何故か赤い外套をたなびかせる某正義の味方と楯無の目に映り重ねみた

 

一時間後、厨房から凄まじいまでの覇気が溢れだし瞬く間に野菜、肉、香辛料が舞い光が煌めく

 

 

─肉は隠し包丁を入れミディアムレアに。味付けは好みに合わせてソースを作れ!スープから目を離すな、料理は生きている事をわすれるな─

 

─は、はいチーフ!─

 

 

─出汁はこがれ節とさば節で…フォンは………これでいい─

 

 

喧騒飛び交う中、包丁を手にしたコックコート姿のアレスの指示が飛び交う。一時間後にはステージ設置も終わると同時に全ての料理が完成した。そして今、その味にミネルバクルーは酔いしれていた

 

「こ、この鱧、骨がない!?普通ならば骨きりし食するモノなのに…舌で踊るような弾力に儚くほどけ旨味が広がる……!?」

 

 

「箒?そ。そんなに美味しいの?ハモって」

 

「アリシアも食べてみればわかる…京料理の至高の一品だ」

 

 

「ん………ほんと!スゴく美味しいよ!」

 

 

薄味ながら鱧の柔らかな身がスウッとほどけていくのを舌で味わい、おもわず手に頬を当てながら目を輝かせるアリシア…京料理にすっかり魅了され、隣では

 

 

「ショウマさ~ん、コレ食べて食べて~スッゴく美味しいよ。はい、あ~~ん♪」

 

「リィズ、流石にコレはだな……」

 

 

「あ~~~ん♪」

 

「っ……あ、あ~~ん。トマトとチーズ?…………っ!?コレは!!」

 

 

有無を言わせないリィズの笑顔と共にトマトとチーズを照れ隠しに一気に食べたショウマの躰に衝撃が走った…バジルとオリーブオイルのソース、新鮮なトマトの瑞々しさと風味、モッツァレラチーズのしっとりとした舌触りと未知の味に我を忘れてしまうには充分だった

 

 

「う、美味い……」

 

「でしょ♪でも誰が作ったのかな…」

 

「インサラータ・カプレーゼ(カプリ島のサラダ)は口にあったようだな」

 

リィズの問いに応えるような声にショウマが振り返ると漆黒のエプロン姿のアレス…その手にした大皿に盛られたピザをスッとテーブルへ置いた

 

 

「じゃあ、今日のお料理はルセディスさんが全部?」

 

 

「いや、半分だけだ……イタリア料理、オランダ料理、京料理、フランス料理だけな……さあピッツア・マルゲリータは熱いウチが旬だ。ショウマ・バジーナ、どうした?」

 

「君はパイロットではなく料理人に向いてるかもなしれないな…しかしドコで料理を」

 

「……シロ…エミヤに教わった…口直しにエスプレッソもある飲むか?」

 

「ああ、いただく。ルセディス君は食べないのかね?(エミヤ?日本人か?……だが前に比べて話しかけてくるのは此方を信頼してると捉えていいか)」

 

 

「…そうだな…」

 

エプロンを外し、椅子にかけピッツア・マルゲリータを切り分け食べる生地とチーズ、ボルチーニ茸の風味と食感に微かながら頬が緩ませた

 

 

(………エミヤが今のオレをみたら笑うだろうな…だが悪くない。畜産、水産資源のSEEDはすでに揃った海の組成値も……あとは最終PHASEの頃合をどう見極めるかか…)

 

 

「や、やあルセディス」

 

「…ロラン、どうした?」

 

「い、いや……楽しんでるかな?って」

 

 

「…………ああ………どうした?」

 

 

「な、なんでもないよ(……あいかわらず私を観ないんだね…)」

 

 

「?…そうか…」

 

 

それっきり黙り混んだ。周りの賑やかさが包む。ショウマとリィズはなんとなく様子を察し離れてく。いたたまれなくなったのか口を開いた

 

「ルセディス、さっき聞いたんだけど今日の料理はキミが作ったって本当かな?」

 

 

「…ああ」

 

「じ、じゃあコレもかな」

 

 

ドギマギしながら手にしたのは緑色のスープ…それを見て微かに頬を緩めた。懐かしさ、喪失がない交ぜになったような感情と共に紡がれた

 

 

「エルテンスープ(空豆と玉ねぎ、豚肉、セロリのスープ)…作るのは久しぶりだったから味の保障は出来ない」

 

 

「そんなことない!この味は私の国オランダ…エルテンスープはスプーンが立つほど美味といわれてる。もしかして隠し味に甘口のショウユを入れてないか?」 

 

 

「!……」

 

 

農業王国オランダの伝統的なスープ。乾燥したエンドウ豆をメインにペーストにしてタマネギ、ジャガイモ、セロリ、豚肉、ソーセージなどを入れて、豆と野菜が煮崩れるまで煮込んで仕上げたソレはポタージュよりもかなり濃く、スプーンを真っ直ぐ立てられる位の濃さがベストだといわれている…アレスはショウユと聞いてはっとなる

 

 

─マヤかあさん、このスープって不思議な味がするね─

 

 

─あら、わかる?……私の友達に教わったのよ。さあおあがりなさい─

 

 

「………よくわかったな」

 

 

「日本とオランダは昔から親交があるからね。ショウユはやはりカゴシマのが甘味とコクがあるから私は好きだね」

 

「!?…そうか……」

 

柔らかな笑みにドキリとした…ソレを無理矢理押し隠し誤魔化すよう近くにあったグラスを手にし飲み干した。

 

 

「ど、どうしたんだ?ルセディス」

 

 

アレスの様子がおかしい…フラフラと身体を揺らし視線がおぼつかないのをみてロランは慌てて肩を掴むと信じられない言葉を耳にした

 

 

「ロラン?ん~ロランが──二人いる~ヒック……ま、いいや……」

 

 

「ルセディス?な、なにがあった??」

 

 

くらんくらんとしながら呂律も回らない口調で話す姿は色んな意味でロランが知るアレスじゃないから仕方ない。しかしなぜこうなったと思い原因を探し見たのは空になったワイングラスを目にしたのと同時に焦りにも似た顔でマリアが叫んだ

 

「ロラン、アレス隊長から離れて!今すぐに!!」

 

 

「え?なんでだ……うわ?」

 

 

「ロ~ラ~ン~前にさ……たしか、ヒック!『私に視線を釘付けにする』いうたなあ~~」

 

 

「あ、そういったよ……す、少し落ちついて…ルセディス」

 

 

「じゃぁ~ヒック………こうする」

 

 

「え?え、ちょ!──────っ!」

 

 

ロランの瑞々しい唇がアレスの唇が重なる…腰に手をまわされた上に頭をぐいっと抱き寄せられては逃げる事すら出来ないロランは抵抗するも徐々に弱々しくなる。舌と舌が絡み合い唾液が流し込まれてく感覚が思考を痺れさせてく

 

 

「ん…ん──んっ──」

 

 

「う、うわ……スゴっ…ねえショウマさん、ルセディスさんって大胆だよ!」

 

 

「……コレが若さか」

 

 

「だから離れないって言ったのに……」

 

 

「ね、ねえカデンッヴァナさん。何か知ってるの?」

 

未だにキスを続けるアレス、ロラン…ミネルバクルーが注目する中、アリシアが恐る恐る尋ねた

 

「アレス隊長は……ワインを飲むとああなるの…食糧生産コロニーが完成してはじめて果実、葡萄の生産に成功して試しに農業総合研究所がワインを作ったのよ…その時に送られたのをアンとボニーと飲んで……そしたら酔っ払ってキスを…」

 

「ええ!ルセディスさんアルコール飲めないの?」

 

 

「いいえ、ワイン以外は大丈夫……でも今の隊長は、かなりヤバいわ…アン、ボニーはアレス隊長と距離を取るようになったけど…」

 

 

遠くを見るようなマリアから哀愁にもにたモノを感じたアリシアはふと二人に視線を移すとまだやっているがやがてゆっくりと銀の糸を引きながら離れた

 

 

「───っ────っつ……はぁ♡」

 

 

「ふぅ──」

 

 

片や惚けた眼差しを向けるロランに対してやりきった感のアレスはゆっくりと抱き寄せ耳に口を近づけた

 

「ロラン…ヒック」

 

 

「はあっ、はあっ♡な、なに……」

 

 

「……ロラン、部屋に行こう…ヒック…もっと釘付けにしてみる…ヒック」

 

 

「───うん」

 

 

キュッと服を掴み顔を俯かせるロランと共にスタスタと歩き出すアレス…その姿が見えなくなるまで呆然と立ち尽くしたミネルバクルーは思った

 

 

「「「「「「「な、なんでさ!」」」」」」」

 

 

月夜の空に声が木霊し、気を取り直した楯無の再度乾杯により親睦パーティーは再開した

 

 

 

なお後日、目を覚ましたアレスが見たのは生まれたままの姿で胸元に抱きつくロラン、乱れたシーツ、赤いシミと乾いた何かと腰の痛みで全てを悟り、目を覚ましたロランに見事なまでのDO・GE・ZAをしたと言う

 

 

閑話 フェスタ

 

 

 

アレスの真の目的を理解してるの誰?

  • ユーナ・クロスハート
  • 殺生院キアラ
  • 謎のヒロインXオルタ

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