オリ主が再びIS世界でいろいろと頑張る話だけど…side:ASTRAY《本編完結》 作:XENON
「……!?」
まず目に入ったのは自分を守るように立つマルス・レディーレ、そして血にまみれた手を見て悟った。顔に落ちていたのは血だと。慌ててアインハルトは血を止めようと傷口を見て固まる
色とりどりの配線から生まれる火花、血に染まる金属的なフレームが顔をのぞかせていた事もだが、顔を俯かせるマルス・レディーレの赤いメッシュを残し艶がある黒髪が真っ白に染まっていくのと同時にイメージが流れ込んできた
ー……っぐ……っ……ぐー
(マルス……さん?)
血塗れになった老人、女性、アインハルトと年の変わらない女の子と小さな女の子を前に泣きじゃくる小さな男の子をマルスだと感じた
「そこでターン、切り返して…3、2、1」
「♪~~」
色とりどりの光に照らされ。ステップを踏みながら歌うのは三人の少女…その動きはキレがあり、まるで武術のような演武をも思わせながら、可憐さをも醸し出している
三人がステージの中央に滑るように集まり、マイクを得物のように突き出した所で音楽と照明がきえた
「はあ、はあ…切歌、調、リハーサル終わりにしましょう」
「ふ~やっと終わったデスで~す!」
「切ちゃん。気を抜きすぎ…はいマリアも」
へたり込むのは世界中が注目する超人気アーティストグループ《DiVA》メンバー、暁切歌に水を渡す《月読調》、タオルを手に汗を拭くのはリーダー《マリア・カデンッヴアナ・イブ》…ザフト、連合の戦いが激化していく中、彼女達の歌は度重なる戦乱で疲れ切り、明日へ希望を見いだせなかった人々の心を強く勇気づけた
世界中の人々が注目するDiVAー歌姫ー……しかし彼女達はただの歌姫でない事を誰が知るだろうか?クールダウンし終えマリアは軽くメロディを口ずさんだ
「♪~♪♪~♪♪~~…」
「…………♪♪」
「♪~~」
真っ青な空に響いていく、ソレにつられるように切歌、調もメロディーを重なっていく…その音色は哀しみをにじませている
四年前、火星への援助をしていた実父であり養父カデンツヴアナ卿、実妹であり義妹セレナを眼前で失ったマリア達…そして厳しくも生きる希望、術を与えてくれた《アレス・ルセディス》へ向けられていた事をライブの準備を進めるスタッフは耳を傾けながら手を動かしていく
彼らは知らない…彼女達が火星圏急進派閥所属アレス・ルセディスが編成した対《Gspirits隊》特化MS部隊《サーカス》のMSパイロットだと言う事実を
そして今日がDiVAのラストコンサートになる
PHASE-94「蘇る悪魔の騎士」《裏》ー集うオルフェンズー
真っ暗なライブ会場に無数のサイリウムの耀きが揺らめく…静かにステージ中央にライトが照らされた
黒を基調とし、まるで騎士を連想するようなデザインのステージ衣装に包まれたマリアが顔を俯かせ立つ姿…
「…DiVAの歌に魅せられ、遠くより参じたこと感謝するわ……」
静かにマリアの澄んだ声が響く…別方向から月明かりのような光が見え、薄いピンクにフリル、黒髪をアップテイルにした少女《月読調》、反対からの光に照らされサーカスのピエロ?にも似た衣装姿の《暁切歌》の二人がステージを滑りながらマリアの近くに背を向けるように立つ
「…………さあ、今宵もDiVAの歌に酔いしれなさい!!」
「いくよマリア、切ちゃん」
「わかったデス!調。マリア」
静など旋律が流れ一気に曲調が、荒々しくなる…会場一杯にマリア、切歌、調の歌声が木霊し観客達のサイリウムが波のようにうねる
軽やかに舞うように踊り、歌う彼女たちに誰もが目を奪われる、力強く羽ばたくかのようにステージを飛翔するマリアの耳に填められたインカムがふるえた、間奏のタイミングに合わせたかのように。気取られぬように開いた
《……………マリア・カデンツァヴァナ・イヴだな》
(…アナタは?)
《……P・Tのエージェントだ。探しモノをみつけた…データをそちらの機材に送る…》
P.Tのエージェントを名乗る人物が協力者だと気付き、マリアはステージに舞い降りながら歌い続ける二人の手をとり布がかけられた巨大なナニカの前で止まった
曲がやみ、全ての照明が落とされた事に、観客席からざわめきが響く、しかしスタッフはあわてる様子がなく再び照明がステージを照らし出し見えたモノに息をのんだ
「モ、MS?」
「え、うそ!……」
「なんで、DiVAのコンサートに」
「みて!MSの手に誰かいるわ!!」
布に包まれた三体のMSに混乱する観客席の一人が、指さした先にはマリア、切歌、調がそれぞれ手の上にこちらを見ていた。観客とスタッフの困惑し動揺の声が上がりはじめた
「うろたえるな!」
マリアの凜とした声が観客席に響く…水を打ったかのように静まりかえった
「まだ、ライブは終わっていないわ。私たちDiVAの新しい舞台装置に驚かせてしまったわね」
「そうです!これはライブをもりもりあげあげしていくためのMSデスよ」
「みんな…不安にさせてごめんなさい…」
マリア達の言葉を聞き観客達はようやく席に座っていく…しかしマリア達の心には謝罪の気持ちに満ち満ちていた
真剣に歌を聞きに来てくれたファン達から姿を消すのだから…
《……速くしろ。Gspirits隊が動き出している…》
協力者からでたGspirits隊のワードに身を震わした…自分たちがなぜ火星から地球に来たのか、ソレスタルビーイングに洗脳され、命をGspirits隊に狙われている隊長であるアレス・ルセディス助け出すため
先の言葉は彼女たちから迷いを完全に振り払った
「さあ、コレから私たちDiVAの新たなライブに刮目しなさい!」
「目を離したら承知しないですデスよ」
「ちゃんと見てね」
布を抜けマリア、切歌、調は衣装を脱ぎ捨てる…全身にフィットするようなパイロットスーツになるとコックピットに身を滑らせ、シートに深々と座り身をあづける。首の後ろにナニカの機械が張り付いた
「………網膜投影、疑似阿頼耶識システム接続…」
微かな違和感と同時にはステージ全体が映り、隣にいる切歌、調も起動した事を確認し外部マイクを繋ぎ新曲をながしステージから離れ飛翔する。観客達のまわりにはシールドを張っているのをみてほっと胸を撫で下ろした時、接近アラートがなる
「黒塗りの機体は…まさか」
「マリアあの時のヤツデスよ!」
「……展開が速い…アレスにいに…隊長が…」
『……待ちなさい!マリア・カデンツァヴァナ・ イヴ!』
複数の黒塗りの機体…ジェガン系を乗せたドダイ改が呼びかけながら三人に迫ろうとする…あの時、シャトルを撃った時に聞こえてきた同じ声にマリアは身体を震わせる。しかし一刻も早くアレスを助け出さないといけない…二者一択を取れない現状に焦りの色を見せた時だ
《……………ココはオレに任せろ》
協力者の声と共に1機の赤く塗られた戦闘機が追撃をかけようとするジェガン系の前を遮るようにバルカンを撃ち牽制してくる
《早く行け……マリア・カデンツァヴァナ・イヴ……》
「……わかったわ…」
《待つんだ!私の話を………》
協力者が乗る赤い戦闘機?に礼を告げ離れていく…ジェガン系?のビームライフルの射程から離れた事を確認した小さく息を吐いた協力者にミサイルが迫る急降下、加速し振り払おうとするが食いついてくる。さらにジェガン系からのビームライフルにロックオンされた
まさに絶対絶命…僅かにスピードが落ちミサイルとビームが直撃、爆発の閃光に包まれた。確認をしようとジェガン系の1機が近づいた
《………まさか、この姿を晒すことになるとはな》
静な声と同時に煙から現れたモノ…分厚く鉄塊にも似たハンマーが迫るのを、ジェガン系はシールドを構えるも圧倒的質量と加速した質量攻撃を前に亀裂が広がり腕ごと粉砕、勢いついて胴体をも潰しパイロットは絶命。力無く落ちていく
指揮官機らしい機体のパイロットが見たのは黒く分厚く
鉄塊にも似たハンマーを両手にかまえ、巨大なバーニア3基、クリスタルセンサーを全身に配置し真紅の装甲を持つガンダムタイプが爆発の煙を振り払うかのように佇んでいた
《いくぞ……ガンダムアスタロト・ブレイジング…潰し斬る》
バーニアから生まれた光と共に加速し鉄塊《スレッジハンマー》を構えアスタロト・ブレイジングが加速しジェガンの部隊へとなぐりこんだ
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「マリア、あそこですか?」
「ええ、指定座標は間違いないわ……でもザフトも展開してるわね…」
「…ソレにザフト以外も……」
ラスベガスへあと僅かと迫るマリア、切歌、調…ザフトが展開し、さらに第三者が介入した形跡に悩んでいた…しかし…ソレはある声と共に吹き飛ばされた
ー…い、シェ……ス…い……オレはここだ………来い!エクシェス!!ー
怒りにも似た声が全通信回線に響く中、三人は見た…魔方陣をつきねけ現れた機体を…かつて自分たちを救ったガンダムエクシェス、そしてアレス・ルセディスの声を
「マリア、あれは間違いなくエクシェスです!」
「切ちゃん、落ち着いて………アレス兄にが帰ってきた……どうするマリア?」
「……切歌、調、そうね…行きましょうアレス隊長の剣として…」
PHASE-94「蘇る悪魔の騎士」《裏》ー集うオルフェンズー
了
続きはシャルロッ党さんの最新話で!
アレスがロランへ勧誘したセリフは口説き文句?
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口説き文句に間違いない
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口説き文句じゃない
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どちらでもない