オリ主が再びIS世界でいろいろと頑張る話だけど…side:ASTRAY《本編完結》 作:XENON
「調、どうしたですか?整備が上手くいかないんですか?」
「ううん。整備は完璧だよ…さっきP・Tから通信が来て、マリアが話をしてる」
「P・Tデスか!?もしかしてアレス隊長の居場所が掴めたんですか!!」
「多分だけど…あ、マリア」
「切歌、調、聞いてくれるかしら…コレから私たちはラスベガスへいくわ」
「「ラスベガス!?」」
「ええ、そこに現れると情報を得たわ…ちょうど《DiVA》のライブ最終公演地はココ、ラスベガス。ライブ開始と同時に協力者と合流、隊長をソレスタルビーイングから奪還するわ」
「…アレス隊長をアイツらより先に見つけて奪還…」
「でもライブしながらってどうしてデスか?」
切歌、少しは考えないと…アレス隊長からも言われてたのに『もう少し考えれば解るはずだ』って…わたしは作戦の概要をホロモニターに映し説明していく
P・Tから渡されたライブ会場と隊長が現れるであろうポイントを絞り込んだ関連施設にマーカーしていく
「わたしたちのガンダムをアトラクション用にもちこむ舞台装置として配置。現地協力者から隊長の所在情報が入るまでライブを続行、確定次第に搭乗して隊長がいる場所へ向かい奪還する…コレがわたしたちと協力者の作戦よ」
「…私たちのガンダムをライブを盛り上げる演出として使えば怪しまれない…」
「ま、まさに一石二鳥デスで~す!流石はマリアです!!」
やっとわかったみたいね…でもコレが最期のライブになる…少し寂しい気分だ
私たちの身分を偽り、アレス隊長の所在を見つけるために始めたアーティスト活動…マネージメント、プロデュースはP・Tのバックアップもあって瞬く間にアーティストの高みに至った
…セレナがまだ生きていた頃、お父様が戦争孤児になって養子に迎えた切歌、調の緊張を解すために一緒に歌ったのが懐かしい
歌は私たちの絆だ
そして、あの日…セレナとお父様を失い、命を奪われかけた私たちを助けに現れたアレス隊長
…火星へ招かれたけど、絶望していた私と切歌と調に生きる力と術をくれた…
あの人の生きる力、根底にあるモノが家族を奪われ、奪った要因を生みだした者達への復讐で在ることもP・Tを通して知った
私たちは、あの人に命を救われた…ならばこの命は槍であり戦刃として奮おうと誓った
でも、突然アレス隊長は姿を消した。直後にジェダ同志を含めた急進派閥の主要メンバーが拘束された…
幸い私たちには手は及ばなかった…残されたのは未調整のガンダム…ガングニール、シュルシャガナ、イガリマ、艤装艦《ミストルティン》、偽造個人ID、膨大な資産
何故、アレス隊長は姿を消したのかわからない…でもなにかに巻き込まれたのだとわかった。P・Tからある情報がもたらされた
アレス隊長が生きている、そして在る組織に記憶を消され傭兵《マルス・レディーレ》を名乗っていること、その組織Gspirit隊に命を狙われていること
私たちは直ぐさま行動に移した、PTから齎された次元転移システムを使いミストルティンで地球へと転移し降下、アレス隊長の居場所を探し、命を狙うGspirit隊へと攻撃を仕掛けた
未調整のガングニール、イガリマ、シュルシャガナで斬り伏せながら、あと僅かで旗艦を墜とせたのだけど現れた特務部隊?に切歌のイガリマが損傷、馴れない重力下でのこれ以上の戦闘継続不可能と判断し離脱した…お父様の仇だと知り歯がみした
…重力下に馴らしながら、情報を精査、ガンダムの調整、アーティスト活動を続けてきたけど。ソレも今日でおしまい
アレス隊長、必ずあなたを助けだします…ですから少しだけ辛抱を…
「……………ふう」
シャワーを浴びながらため息をつく…ツバサ君から旅行の話を聴いてからぼうっとしながらも肌にあたる湯の感覚に身をまかせながら今に至るまでの事を整理していた
あの日、トレミーと合流した僕とノーヴェ、クリスはイギリスのテイワズが所有している秘密ドックに身を寄せていた。トレミーの修復と改修はあと2割で終わる
でも、トレミー…ソレスタルビーイングの中心的存在で雇い主の《綾崎翔真》さん。フェイトさん、翼さん達がいない現状で離れていいのかなと想う
あの時現れた《夜架》って女の子は翔真さんの無事を告げてから整備していた機体を強奪に近い形で乗って姿を消した
なのはさんや、シグナムさんがスゴく怖かったけど…その間にも世界の情勢がめぐるましく変化していってた
ザフト、連合…そしてロンド・ミナ・サハクさんの天空の宣言、そして反ザフト現議長プレシア・テスタロッサに対抗する軍事同盟結成…様々な勢力が均衡を保つことで安定した世界になってる
でもコレは砂上の楼閣。すこしでも傾けば世界は前大戦以上の災禍に見舞われてしまうのが解る
この状況を打破するかを、僕はなやんでいた…傭兵は主義主張、大義名分は関係ない
誰かの想いを感じ、誰かの力となるために力を振るうだけなんだ
でも…
PHASE-90.5 悲劇の悪魔 ー集う歌乙女、残された刻ー
「ア~ニ~キ」
「うわ?ク、クリス?なんでココに!ていうか男性用だよね?」
「別にいいじゃねえかよ…それにアタシだけじゃないんだけどな…ん」
「ひゃおう~~!?」
背中から抱きかれて、現実に無理矢理引き戻された。僕の過去を知ってる義妹《いもうと》だっていう雪音クリス…いや大事な人になったクリスののスゴく柔らかなの二つの膨らみを押し当て熱っぽく囁いて、首筋を舐めて笑みを浮かべてる。ふと誰かの手が添えられて腰が引けてしまう
「ふふ、あいかわらずココが弱いのね…」
「り、涼子?な、なにを…っあ!?」
「なにって、久しぶりに調整しないと駄目でしょう?ほらこんなになって…今日は念入りにしないと…」
膝をついて僕を見上げているのは御門涼…涼子。僕の恋人…柔らかですべすべした指が撫でて、悪戯っぽく笑いながら挟んで《ナノリキッド》を垂らして動いた
「う、うわ?り、涼子っ?」
「ま、前より良くなってるわよ……(スゴいわ…コレが何時も私の…ダメ。我慢しなきゃ)」
「(アニキ。気持ちよさそうだ…あ、アタシも)…アニキ。ん、ちゅ…はぁ…ど、どうだ?…ん。はあ!?」
「ク、クリ?!?!…」
思わずへたり込んだらクリスが手を吸って引っぱった…あたたかくて包みこむ感覚。指がかたいのに微かに触れた。ビクッと震わせながら抱きついてきた。それにシャワーと別な暖かいなにかで濡れてる
「ア、ニキ…いきなりや…んな…ふ、ふう…ふう」
「マルスったらいけないわね…ねえクリス。少しお仕置きしない?」
「いいな、じゃお仕置きしないとな~」
熱っぽい声と潤んだ瞳…なんとか逃げようとしたけどがっつり挟まれてるから動けないし力が入らない…それに躰の一部が焼けるように熱い
「…アタシのお仕置き覚悟しろよアニキ」
「わたしのお仕置きはスゴいから覚悟してね」
シャワー浴び続けてぼうっとしながら頷いたのを最期に意識が途絶えた…目が覚めた自分のベッドにいてクリスと涼子が抱きつくように眠っていた
起きようとしたけと腰が痛いし、スゴくだるい…涼子とクリスはなんでだろう、肌がツヤツヤしてる…ああ~またやってしまった
最近、まあ迫られると。その…スイッチが入って前は三人同時に朝までしてしまった事が何回もある…
とにかく旅行の準備は明日の朝にしよう。そう決めて目を閉じた…なんか解らないけどよく眠れる気がした…
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………………て…やる…
ふく……しゅ……忘れ……
……アイツらを…………大………と…sp………t…いを
血に濡れた白衣、顔を俯かせた小さな子が赤金に耀く瞳を向けなにか呟いてる。何時もの夢…完全に修復したエクシェスに乗って、あの武器を使ってから頻繁に見るようになった
でも、今回は違っていた。ゆっくりとこちらに歩いてくる…
ーき、きみは誰なんだ?ー
絞り出すように声をかけてみた…ゆっくりと歩みを止めた髪で顔を隠しているからよく解らない。微かに声が耳に届いた
…………は、………ス・ル…………………おまえは…ふく………抹殺……
ノイズが混じりの声を聞いた僕の頭に痛みが走る…聞くなと言わんばかりの切り揉まれるような激しさにうずくまった
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「!?………はあ、はあ、はあ………ゆ、ゆめ………」
痛む頭を押さえながら時計を見ると深夜二時を回ってる…隣で穏やかな顔で眠る涼子、クリス、いつの間にか寝ていたノーヴェを起こさないように部屋をあとにした
頭が痛い…それに汗でシャツが重い…ふらふら歩いていると少しずつ痛みが治まった…ふと目線をあげた僕は息を呑んだ
「…………エクシェス………」
様々なケーブルが伸び、ハンガーに拘束されたVPS不活性化状態のグレーに彩られたMS…《ガンダム・エクシェス》の姿、まるで僕が来るのを待ってたかのように見下ろしていた
エクシェス…僕の喪われた記憶を知る機体。完全体の武装を見て恐怖を感じた…何故コレに乗って宇宙を漂っていて、搭載武装の殆どは余りにも過ぎた威力、エクシェスを作ったのは誰なんだ?と考えながらソファーにすわりこんだ時、声が響いた
「…マルスさん」
「ア、アインハルト?どうしてココに、それにもう夜遅いよ」
「じつは眠れなくて…歩いてたらマルスさんが歩いてるのをみて…」
「そうなんだ……」
「あの、隣いいでしょうか?」
アインハルトにいいよと手招きしたら、怖ず怖ずと隣座ってきた…何も話さないまま数分過ぎた時、眠気がしてうつらうつらし始めた…最近、余り寝れてないのもあって力が抜け横に倒れた。柔らかな温もりが頭を包んだ。なんか気持ちいい
「マルスさん!?」
上擦った声で目が少し覚めた。真上に顔を真っ赤にしたアインハルトの顔でようやくわかった…柔らかいのは太股を枕がわりしてるんだって…離れようとするけど気持ちよさが眠気を誘ってくる
「ご、ごめ……すぐにど…」
「いいですよ。迷惑してませんから…むしろこのままでかまいませんから…マルスさん、最近疲れてますよね…だから」
「……じゃあ…お言葉に甘えて……重かったら退かし…て…い…」
「おもくなんてありません。何時も頑張ってるのを見てますから……おやすみなさい…マルスさん………わたしは…あなたが」
最期まで聞き取れなかっ炊けど。深い眠りに落ちていく…少し頬になにか触れたのを感じながら意識を手放した
夢を見たきがするけど、なんか楽しくて懐かしい夢を見た気がした
次に目を覚ました僕の前には部屋から居なくなった僕を探していたクリス、ノーヴェ、涼子がいて、少し拗ねてて、アインハルトは顔を真っ赤にして見ていた
そして、ラスベガスへ旅行当日。現地に向かうには距離があるし、MS単体では人目に付く理由と万が一に備えてMS搭載可能な武装コンテナで向かうことになった。キャリアでカーゴに運ばれているにはMSの中にエクシェスは無い…変わりにゴーストガンダム《ファントム》の姿がある。
現在トレミーのMSの中で最も火力が高く破壊力を有するエクシェスは強力すぎる…搭載武装にある《アレ》を使ったらラスベガスが焦土と化してしまう。あくまで自衛的な力を持ち離脱可能なゴーストガンダムを持って行くことにしたんだ
「アニキ~早くしないと出発だって~ソーナ義母(ママ)とセラ義姉も待ってんだからさ」
「わかった~じゃいこうか」
「はい、マルスさん」
「余り待たせるのは失礼だからな」
機体整備マニュアルとバルバトス用の新しい装甲データ、キャロルちゃん達と共同開発している新型MSOS理論《シンフォギア》をハロにインストールし終え、作業を手伝ってくれたアインハルト、千冬さんと一緒にツバサ君やネプテューヌさん、ソーナ義母さん、セラ義姉さんがいる輸送コンテナに歩き出した。途中で厳重にロックされたエクシェスの前で止まる
無機質なツインアイが僕を見ているような気がしたけど、振り切るように駆け出し、みんなのところへ向かった…
僕は知らなかったんだ。この旅行が《マルス・レディーレ》の最期の日
そして、憎悪の炎と共に《オレ》の止まった刻が再び動き始める…
PHASE-90.5 悲劇の悪魔《side:ASTRAY》 了
続きは、どこかのシャルロッ党さんの最新話で