オリ主が再びIS世界でいろいろと頑張る話だけど…side:ASTRAY《本編完結》 作:XENON
「よし、スラスター展開…反応を0.2secに銀ハロ、8さん、お願い」
ー了解♪了解♪ー
テイワズ秘密ドッグでエンジン修復真っ最中のトレミーⅡのMSハンガーで銀ハロの口から無数のケーブルが伸びている。蒼と金の装甲に彩られたMS…ウイングガンダムフェニーチェ・リナーシタが翼を広げ内部スラスターを閉じ角度、最大に開くと数秒で閉じた
『どうだマルス?』
「うん新しいOSとZEROシステムとの連動も問題ないか。最終調整はナガスミ君に乗って貰って…次はバルバトスか」
『マルス~前のバルバトス用装甲はどうすんだ?』
「う~ん予備装甲に回そうかな」
少し悩んで伝えるのはトレミーⅡMS整備主任兼サーペントテールに所属する傭兵《マルス・レディーレ》。8を担ぎ上げる銀ハロ達はウイングガンダムフェニーチェリナーシタをMSハンガーへと移動させていき一人残されたマルスの前に濃紺の装甲が取り付けられたバルバトスに近づく
普段ならばアインハルト、ノーヴェ、クリスが整備を手伝っているのだが、アインハルトは叔母に当たる千冬にトレミー、ハンマーヘッド内を案内、クリス、ノーヴェ、御門は数日前から体調を崩しツバサの診察を受けてていない
結果、バルバトスルプスへの改修、新たなASTRAY制作をマルスはひとりでこなしていた……
(……大丈夫かなクリス、ノーヴェ…それに涼子も具合が悪いみたいだったし………ソーナ義母さん、セラさんに元気が出る料理を教えてもらおうかな)
ルプスの装甲取り付けに加えリアクター調整を進めながら心の中で呟くマルス。その隣にあるハンガー…無数のケーブルに繋がれ固定された白銀に真紅の装甲を持つASTRAY《ファングアストレイ》が新たな目覚めの時を待つ
閑話 祝福ーチルドレンー
同時刻、テイワズ秘密ドッグ。同居住エリアにあるメディカルルーム…椅子に座るのはトレミーの医師であり、バルバトスのパイロットのツバサ。その前にはテイワズから派遣されてきたバイオコンピューター権威にしてドクター《御門涼子》、同トレミー所属パイロット《ノーヴェ・ナカジマ》、火星からアレスことマルスを探しに来た義妹《雪音クリス》がジッとして座っている。三人の胸の内は様々な想いがみちる中で静かにフローティングウィンドウから目を離した
「……じゃあ三人の検査結果なんだけど……おめでとう」
「おっめでとう~ミカミカ♪ノンノン♪ゆっきー♪」
ツバサとネプテューヌからの祝福に三人とも顔を見合わせソッと手をあてる…薄々もしかしたらと思っていた御門はうれしそうに、隣に座るクリス、ノーヴェも中で育まれる《新しい命》の母になることに驚いているのがわかる
(あ、アタシの中にマルスとの赤ちゃんがいるんだ……しんじられねぇけど……なんかうれしいな)
(……アニキとあたしの赤ちゃん…ママになるんだ……火星のみんなが知ったらおどろくかな……)
(ふふ……あれだけしてたら出来ちゃうのは間違いないわね………ハルちゃんになんて言おうかしら?)
「ねえねえ♪ミカミカ、ノンノン、ゆっきー…少しいい?」
「ナニかしらネプテューヌ?」
「えっとね……みんなのおなか少しだけさわっていいかな?あ、いやだったらいいけど…」
「ん~いいわよ♪ノーヴェもクリスちゃんもいいかしら?」
「べ、別にいいけどさ…あんまり強くするなよ」
「アタシもべつにいいけど」
「やった~♪じゃあ、その前に………女神ネプテューヌとして新しい命に祝福を…」
まばゆい光と共に女神化したネプテューヌは御門、ノーヴェ、クリスの前にたつとゆっくりとお腹に手を伸ばし優しく触れるようにかざし瞳を閉じたネプテューヌ…
(……命の鼓動を感じる…ミカドからは新しい未来を希望と共に切り開く命、ノーヴェからは困難な道を信念と共に貫き通し道標を作る命……クリスは?)
御門、ノーヴェに宿る命を見たネプテューヌがクリスに宿る命を見た瞬間、脳裏に強いイメージか流れ込んできた……
(な、ナニこれ?……)
ネプテューヌの目に映るのは闇よりも黒く、金色の翼を広げる悪魔のような機体、眼下にはトレミー、大破したエンジンブロックから煙が立ち上っている
ーいくな!アニキ!!ー
ーやめろ!マルス……いやアレス!ノインはお前にそんな事望んでなんかないんだ!!ー
ーもうやめてマルス!アナタはー
ーマルスさん!!ー
ー……ねぷ……ぱぁぱ………まぁまたち…たすけて…ー
強く純粋な願いが込められた言葉を最後に現実に引き戻されたネプテューヌを心配そうに見るツバサ、特に御門、ノーヴェ、クリスもじっとみていた。女神化をといて笑みを浮かべた
「ごめん、ごめん心配かけたみたいだね~みんなの赤ちゃんだけどスゴく元気だよ♪」
「そ、そうか…」
「ふふ、そうなんだ♪」
「あ、ありがと……」
安堵の表情を浮かべる3人…やがて妊娠初期の注意点を事細かく伝えると嬉しそうにメディカルルームをあとにしツバサとネプテューヌだけが残された
「ツバサ……みちゃったわたし」
「………いいたい事はわかってる。でもコレはまだ話すべき事じゃない…」
「わかってるよ、わたしだって……このまま《思い出さなければいい》って事も………」
顔を俯かせるネプテューヌの肩を抱き寄せ頭を撫で髪を鋤いていくツバサ…数日前、ようやくハッキングできた管理局のアーカイブズで記憶を失う前のマルスの身に降りかかった《地獄》、そして《本当の名前》と《出生の秘密》を知ってしまった
(………もしかしたらコレは運命かもしれない。オレたちとマルスが出逢ったのも……コレが四年前から何者かに仕組まれたモノだとしても)
「ツバサ?」
「何でもないよ…」
「うん…でも、後少しだけこうして欲しいかな…」
ネプテューヌの言葉にただ無言で抱きしめるツバサ…
しかし動き出した時はもう止まらない
目覚めの時は近い