オリ主が再びIS世界でいろいろと頑張る話だけど…side:ASTRAY《本編完結》 作:XENON
「うわぁ~これって本当に戦艦の中なの?」
「すごいだろ~これ兄貴が作ってくれたんだ。あたし等の為にさ」
「土も芝生も全部本物か……それに風が気持ちいいな。いい鍛錬ができそうだ」
「ちょっとシグシグ?今日は鍛錬はなしだから!?」
「ふ、冗談だ」
慌てふためく束に笑顔で言うシグナム…少し目が本気だった。今皆がいるのはバビロニアヴァンガードにある特殊区画。芝生が広がりやや丈は低い樹木と芝生が風に揺れ広がる光景に海の上で生活してきた束を始めとしたメンバーの心がすぅっと癒されていく
なぜ女性陣がここにいるのかというと、バビロニアヴァンガードに興味を持った束が見学したいと言ったのがきっかけ。気分転換も兼ね艦をよくしるクリス、ノーヴェと共に来ていたのだった
「日射しもちょうどいいね…ん~いい気持ち」
「はい、艦内なのに陽が柔らかくてぽかぽかして………なんか落ちつきます」
「マ~くんってスゴいだね。でも翔くんほどじゃないけど……」
「へん、そんなことねぇよ…兄貴はな《火星で一番》優しくて、暖かくて、すっごく大きくて何時も沢山一杯にしてくれるんだ。スケベな翔真よりもスゴいんだからな!!」
「ほう…言うな雪音。確かにスケベだがマルスよりも優しく、包み込む海のように広く私やテスタロッサ、シャルロット、束、大和を深く愛してくれるが?」
「ふ、んなのより兄貴はもっとアタシの深い所(!?)まで愛してくれるんだぜ。なあノーヴェ、御門、アインハルト…今朝なんかずっと休ませてくれないし、まだ体の奥で感じるぐらい暖かいんだからな」
「ク、クリスさん!いくなんでもソレは言ったらダメデス!恥ずかしい!!」
「ゆ、雪音!?これ以上言うな!っうかシグナムも張り合うなったら。御門もなんか言えたら!!」
「あら、いっていいの?じゃあマルスってスッゴく逞しくて気絶しても逃がさないってぐらい離さないのよ?そこまでされたこと束やシグナムはあるかしら(笑」
「気絶するまでだと……うらやま…し、翔真も負けてはいない!!」
「そうだ!そうだ!、翔くんはマ~くんよりもすごく激しいんだから!!」
穏やかな空気が互いの彼氏自慢に代わりヒートアップしていく中
「シャルロットママ、なんでわたしの耳を押さえてるの?」
「つ、椿にはまだ早いから(も~う、椿がいるのに~////だ、誰かはやく止めて~)」
可愛らしく訪ねる娘の耳を押さえながら顔を真っ赤にするシャルロット…コレから数分後に来たティアーュがその内容を聞いて顔を真っ赤にして倒れてしまってようやくおさまった
閑話 平穏、静かに迫る
同時刻、トレミー、バビロニアバンガード、ハンマーヘッドが航行する海域から少し離れた無人島…しかしそれは少しずつ三隻を追尾するようにつかず離れず移動している
その内部はMS整備および、長期の滞在を可能とする居住スペースが完備されている…そのMSデッキに三機の黒い布に包まれたMSが固定されている、その傍らで金髪の少女がライブラリー画像と音声を食い入るようにみている
「…………この声はまちがいないです……」
その瞳には激しい怒りと憎悪が渦巻く…自らの愛機を腕を切り落とした特務仕様のジェガンを通じ接触回線越しに聞いた声はマリア、切歌、調にとって仇と同じ声だったからだ
「地球圏統一連合内に秘匿され存在すらない特務部隊《Ghost隊》。まさか私たちの前に現れるなんて…」
「………P・Tの情報通り。マリア、切ちゃん。Ghost隊はGspirits隊の隊長《大東貴一》と繋がっているのは間違いない」
「ならば急がないといけないわね。彼らは間違いなくアレス隊長を…」
拳を握りしめるマリアの瞳には《あの日》の記憶が蘇った…火星圏コロニー群との交渉を独自におこなっていた統一連合政府議員《スティル・カデンッヴァナ》卿。しかし用途不明な金の流れをつきつけられた。身に覚えがないと訴えるも聞き入れられず、カデンッヴァナ家は断絶と資産没収された。交渉をおこなっていた人物《A》はすぐさま火星への亡命を進めた。幾つのもコロニーを経由しあと僅かというところで、両親と恩師、妹を乗せたシャトルが撃ち落とされ火に包まれ爆散、マリア、切歌、調は未完成の都市に身を寄せ姿を隠し助けを待っていた…しかしあらわれたのは黒ぬりのMS部隊。逃げるも人の足とMSとでは違う瞬く間に追いつかれ、ビームライフルの照準にはいった
『っ!』
このまま、原子のチリまで焼き尽くされ死ぬのだと悟るマリア、切歌、調は互いに身を守るように抱き合った…しかしその時は来なかった。代わりに現れたのは剥き出しのフレームを晒し、千切れとぶ羽を思わせる《光の翼》を広げコックピットを刺し貫くMSの姿…炎に照らされながら瞬く間に三小隊を駆逐していく様は鬼、いや修羅をも凌駕した
すべてが終わりハッチを開き降りてきた漆黒のパイロットスーツに身を包んだパイロットがバイザーを開く。あらわになった顔から自分より年が下であることに驚く三人に静かに近づき声をかけた
ー………たのむ、生きてくれ……おねがいだー
怒り、悲しみ、苦痛、悲しみが綯い交ぜになりこもった瞳と声が彼女たちの心にしっかりと刻みついた。命を救った恩人である復讐の炎に身を焦がす彼《アレス・ルセディス》との炎の中での出会い
急進派閥が瓦解してから、アレスが行方知れずになってから彼女たちは残された資産、未完成のVS/GSシリーズ三機を調整しながら失踪したクリス、エクシェスを捜索しながら転移し今に至る
彼女たちに生きる目的をくれた彼に……隊長であるアレスの力となるためにP・Tから情報をもらいようやくココまで来た。
「………アレス隊長の剣として、このVS/GS-01ガンダム・ガングニール。マリア・カデンツァヴナ・イヴ」
「…VS/GS-02シュルシャガナ……月読調」
「…VS/GS-03イガリマ、暁切歌……」
「「「アレス隊長/にいに/兄様の御身と義妹クリス様を御守りする事を誓います/です/……」」」
黒い布が滑り落ち、三機の姿があらわになる…その機体は火星でレアメタル鉱床で見つけた《動力源がぬかれた三体のMS?》をアレスが極秘裏に復元した機体。その瞳に光が宿った
閑話 平穏、静かに迫る
了